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複数の選択肢を持つために相手を観ながらアイデアを増やす。チームで駆け引きを上達させる実践トレーニング

2022、2023年度の全日本U-12サッカー選手権・千葉県大会で、ベスト4に進出したWings。チームとしては相手の逆をとること、個人の良さを伸ばすことに意識を向けており、選手一人ひとりの個性を伸ばすことを重視している。

COACH UNITED ACADEMYでは、前回より、U-12のコーチを務める、高橋慎一氏による「駆け引きをしながら、相手の逆をとる実践トレーニング」を公開中だ。

後編では、グループとして相手を観ながら、複数の選択肢を持ち、相手の逆をとってゴールに向かうトレーニングを行っていく。(文・鈴木智之)

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常にゴールを意識しながら、相手とゴールの位置をよく観る

後編最初のトレーニングは「2対2+サーバー」。攻撃側はゴールを目指し、守備側はボールを奪い、サーバーの背後にあるライン突破を目指す。

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攻守は1回ずつで交代。サーバーがゴールを決めるのはOKで、サーバーは1回のみ使用可能というルールだ。

高橋コーチは「常にゴールを目指す」「どういうサポートをする?」と声をかけ、攻撃側がボールを持ったときに、もうひとりの味方があえて離れることで、局面で1対1の状況を作り出し、突破からゴールを目指す形があることに言及。

もしくは味方が背後のスペースに抜けるアクションを起こすことで、パスもあると見せかけて、カットインしてゴールに迫るなど、状況に応じたプレーの使い分けや、複数の選択肢を持つことの重要性を伝えていく。

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目的はゴールなので、ファーストタッチでゴールを目指すところに置くことが理想だ。

高橋コーチは「ゴールを観て、次に何を観る?」と問いかけ、「相手の位置を観て、カットインや裏のスペースへのパス、クロスオーバーの動きなどを使って、どう相手をはがすか。アイデアを出しながらやろう」とアドバイスしていた。

続いては「4対4+サーバー+GK」。設定は同じだが、グリッドが縦34m×横30mと広くなる。

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ここでも「相手をよく観ること」「複数の選択肢を持ちながら、より良いプレーを選ぶこと」を強調。

「テンポよくボールは動いているけど、ドリブルの選択肢を増やしてほしい」と声をかけ、「ボールを持った選手は、近いところの選択肢を探している。自分でゴールを目指す選択肢を持とう」と、ゴールを目指すことの重要性を伝えていた。

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また、ボールを奪ったあと、サーバーへのパスコースがあったのに、サイドにパスをした選手に対して「どこを目指す?」と声をかけ、「サーバーを観ていない選手が多い。前を向いたらサーバーを覗こう」とアドバイス。

「目的は突破することなので、常に前への意識を持ちながら、ボールを動かしていこう。前を覗きながら、無理だったら止める」など、選択肢を持つ中でプレーを選ぶようにうながしていった。

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グループでスペースを作り出すと、余裕ができて選択肢が増えやすい

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最後は「5対5+フリーマン+2GK」。開始前、高橋コーチは「コートが縦に長いので、サポートの縦の距離感を作ることができる。スペースがあると相手を観ることができるし、選択肢を持ちながらプレーができる。要所で逆をとりながら、ゴールに向かうプレーを増やしていこう」と声をかけ、トレーニングがスタートした。

他には、パスが出せてドリブルもできるよう、各選手がスペースを意識しながらポジションをとることの重要性を強調。状況に応じた「近づくサポート、離れるサポート」の使い分けもレクチャーしていった。

さらには守備陣にもアドバイスし、「守備が間延びしているので、前から行くのであれば準備をする。難しければ、下がるときは下がる。だた行くのではなく、状況に応じてプレーを変えよう」と声をかけていく。

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それに対し、攻撃側には「相手が前から守備に来ているのであれば、狙いを把握して、裏を取るのか。足元を狙うのか」と投げかけ「それぞれがスペースを作ることで、余裕が生まれる。相手の守り方を観て、ゴールにどうやって向かうか。複数の選択肢を持ちながらプレーしよう」とポイントを伝えていった。

以上でトレーニングは終了。高橋コーチは「今回、紹介したトレーニングを積み重ねることで、選手一人ひとりが相手を観て、どのように決断し、ゴールに向かって行くかを考えてプレーできるようになっていきます」と話した。

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今回の動画は、相手を観ること、味方とつながることなど、サッカーに必要な要素が組み込まれたトレーニングだ。ぜひ繰り返し観て、指導のポイントを整理しつつ、日々のトレーニングに活かしていってほしい。

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【講師】高橋慎一/
東京スポーツレクリエーション専門学校で指導者の勉強をしながら南葛SCで指導者としての活動をスタート。卒業後はFCリベレオでU-13,U-15の監督を務めてクラブ史上初の高円宮杯関東大会に出場。現在はWingsでU-12の監督を務め「JFA全日本U-12サッカー選手権大会千葉県大会」を2年連続でベスト4入りを果たす。「選手1人1人の良さを伸ばす事」を重視しWings U-15へ内部昇格や関東のJクラブへ選手を輩出している。