08.01.2024
低学年から取り組めるマーク外しの練習法!相手の視野から消える・相手と縦軸をずらすトレーニングとは?
サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-8~U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。
低学年の年代では、相手にマークにつかれたときに、外す動きができなかったり、その場に立ち止まってボールを受けようとし、相手に奪われてしまうことがよくある。
そこで今回より、関東フットサルリーグで18年間選手として活躍した後、マルバ水戸FCの監督を務め、F2リーグ参入初年度ながらリーグ準優勝に導いた、サロニスタフットサルスクール代表の鳥飼武志氏による「ボールを受けるためのマーク外し」を紹介したい。
フットサルの駆け引きをベースに、楽しみながら「マークを外す動き」を学ぶことのできるトレーニングは必見だ。(文・鈴木智之)
マークを外す動きとタイミングを身に付ける
フットサルの選手・監督として豊富な経験を持つ鳥飼コーチは「U-10年代では、ボールを扱うテクニックは優れているものの、良い状態でボールを受けられず、持ち味を発揮できない選手が多く見られます」と話し、次のように続ける。
「相手のマークを外し、いかにいい状態でボールを受けられるかが、次のプレーを成功させる上で、重要なポイントになります。今回紹介するトレーニングを継続することで、子どもたちが相手と駆け引きをするようになり、試合の様々な場面で活かされていきます」
まずは「タイミングよく、相手のマークを外す」をテーマに「近距離でのマーク外し」のトレーニングを行っていく。
設定としては、3人組で攻撃、守備、フリーマンの役割に分かれ、それぞれ順番に行う。攻撃はフリーマンからパスを受けることが目的で、40秒間でなるべく多くのパスを受ける。
守備者は攻撃に対してマンマークを行い、インターセプトを狙う。(フリーマンに近づいて、パスコースを遮断しない)
このトレーニングは守備者がマンツーマンで、積極的な守備を行うことで、攻撃側がマークを外す動きや駆け引きをするよう、うながしていく。
鳥飼コーチは「守備の選手は、フリーマンと攻撃の両方を観られるように」「攻撃は相手の背中に入ろう。細かい動きを入れながら、相手の逆をとる」とデモンストレーション。
さらに、スピードを高めるために、進行方向におへそを向けて本気で動き、それに対して相手が動いたら、逆をつくことをデモンストレーション。キレのある動きで手本を示していく。
続いて、「フリーマンは頭上にボールを投げ、キャッチして1秒以内にパスを出す。」というルールにチェンジ。
ボールを上がっているときはパスが出せないので、フリーマンが投げることのできる瞬間(落下したボールをキャッチする瞬間)にあわせて、マークを外すことがポイントだ。
このトレーニングはステップワークと駆け引き、手でボールを扱うのでコーディネーションの要素も含んでおり、低学年にはとくに有効な設定になっている。詳細は動画で確認してほしい。
背後がだめならDFとの縦軸をずらしてボールを受ける
2つ目のトレーニングは「ボールを受ける優先順位」をテーマに「1対1+1サーバー(センター)」を実施。
1対1をする中で、両者とも進行方向にあるラインをドリブルで突破することを目指す。プレーはサーバーの配球から始め、ボールを受けた選手はサーバーへ、2タッチ以内にパスを返し、サーバーからのリターンパスを相手の背中で受け、ライン通過を目指す。
「必ずサーバーにパスを返す」というルールなので、自然とマークを外してリターンパスを受ける現象が起きる。シンプルだが効果的な設定になっている。
鳥飼コーチは「攻撃の優先順位、1番は相手の背後。それが難しければ前向きでボールを受ける。その次がボールをキープしてサーバーにパスを返すこと」と説明。
さらに、相手と自分の軸をずらし、斜め後ろにバックステップで離れ、そこでパスを受けると、縦のコースが空くことをデモンストレーション。これはフットサルなど狭い局面ににおいて有効なマークを外す動きで、サッカーでも重要なプレーである。
最後は守備の仕方をレクチャー。相手に裏を取られないために、バックステップでボールと相手の両方を視野に入れながら、ついていくことにチャレンジしていった。
今回紹介した2つのトレーニングは、U-10はもちろんのこと、U-12などの高学年でも取り組みたい内容になっている。
マークを外す動きは、サッカー・フットサルの基礎基本でもある。この年代からチャレンジして身につけることで、将来的にプレーしやすくなるだろう。
トレーニングの設定としても、楽しみながらボールに関わることができるので、ぜひCOACH UNITED ACADEMY動画を参考に、繰り返しチャレンジしていただければと思う。
【講師】鳥飼武志/
1977年12月6日生まれ、埼玉県出身。
高校卒業後、当時北信越リーグ、長野県の山雅サッカークラブでプレー。
その後、23歳からフットサルへ転身し、関東フットサルリーグで18年間プレー。
全日本フットサル選手権全国大会出場3回、全国地域チャンピオンズリーグ準優勝などを経験。
選手としてプレーを続けながら、2011年にサロニスタフットサルスクールを開校し、指導者としてのキャリアをスタート。ジュニア時代に指導した選手の中から2名が、フットサルU-19日本代表にも選出された。
2022年には日本フットサルリーグ(Fリーグ)に新規参入したマルバ水戸FCの監督を務め、F2リーグ参入初年度でリーグ準優勝に導く。現在は4種年代の指導をメインに行いながら、第1種のフットサルの埼玉県選抜チームの指導も行っている。
JFA公認フットサルB級ライセンス、JFA公認サッカーC級ライセンス保持
取材・文 鈴木智之