08.15.2024
マークを外しのポイントとは?低学年で取り組む相手の守備位置を見てボールを受ける場所を変える練習法!
サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-8~U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。
前回より「ボールを受けるためのマーク外し」をテーマに、サロニスタフットサルスクール代表の鳥飼武志氏によるトレーニングを公開中。
鳥飼コーチは関東フットサルリーグで18年間選手として活躍した後、マルバ水戸FCの監督を務め、F2リーグ参入初年度ながらリーグ準優勝に導いた実績を持っている。
フットサルの駆け引きをベースに、楽しみながら「マークを外す動き」を学ぶことのできるトレーニング。今回の動画では、個人からグループへとトレーニングを発展させ、実戦に近づけていく。(文・鈴木智之)
サイド相手のマークを外してボールを受けるコツ
最初の動画のテーマは「サイドで相手と駆け引き」。鳥飼コーチは「攻撃方向を設定することで、前進するという目的を明確にします」と話し、「1対1(サイド)」を実施。
攻撃はシュートを狙い、ディフェンスはボールとゴールを結んだラインに立ち、相手にプレスをかけてボールを奪いにいく。
鳥飼コーチは、守備の選手に対して「相手との距離を詰めていくこと。積極的にボールを奪いに行ってください」と声をかけ、攻撃の選手には、プレーの優先順位を伝えていく。
1:相手の裏のスペースでボールを受ける
2:ファーストコントロールで入れ替わる
3:前向きでボールを受ける(体を前に向ける)
4:ボールを失わない
また「後ろ向きなど、状態が悪いときは無理に仕掛けるのではなく、しっかりボールをキープしてサーバー(コーチ)を使ってボールを失わないこと」とアドバイスを送り、「相手に対して、縦軸をずらすこともできるといい」と話した。
設定としては、コーチが攻撃の選手にパスを出し、トラップして、コーチにリターンパスをしたところからスタート。
鳥飼コーチはは「相手が食いついてきたら、ワンツーで裏を取ろう」と声をかけ、ボールを受ける際の身体の向きにも言及。
いいフェイクをして、相手を剥がして、距離をとってボール受けた選手に対して、「後ろを向いた状態でボールを受けると、ボールを下げなくてはいけない」と指摘し、「前を向いて、勝負を仕掛ける意識は常に持ってください」と声をかけていく。
さらに「相手の裏を取りに行って、相手を下げさせたら、斜め後ろに下がって幅を取り、相手の縦軸をずらす動き」を実演。
そして「相手が近づいてきたら、カットインで中に入っていく」と説明。この動きは、年代問わず、サッカー・フットサルをするうえで、非常に重要な概念だ。
ほかに「バックステップを踏むことで、体の向きが良い状態でボールを受けられる」という動きも実演している。質の高いデモンストレーションなので、ぜひ動画で確認してほしい。
常に相手の背後を狙いながら空いたスペースを認知する
続いてのトレーニングは、実践に近づけた「2対2+2サーバー」。ここではリスタートでのマーク外しに加え、インプレー中でのマーク外しを指導していく。
設定としては、サーバーは常に攻撃側の仲間で、サーバーがボールを持っていられるのは4秒以内。ボールがサイドを割った時は、サーバーのキックインからスタートというルールだ。
鳥飼コーチは、前回のトレーニングでも注力した、プレーの優先順位を伝え、「まずは相手の裏を取ること。ダメだった時は前向きでボールを受ける。難しい時はボールを失わないようにしよう」と整理していく。
さらに、攻撃側の選手に対し、2人の関係でプレーする中で「アクションを起こして、味方がプレーするスペースを空ける動き」をアドバイス。
ほかにも、これまで取り組んできた、方向を変えて幅を取る動きを使い、中央のスペースでボールを受けるといった動きも実演。
「どこにスペースがあるのかを認知しよう。スペースを常に狙いながら、マークを外すことを意識しよう」
コーチングとしては「どこにスペースがある?」「サーバーを使って、動きでマークを外そう」といった声掛けで、ポイントを意識させていった。
以上でトレーニングは終了。
鳥飼コーチは「今回のテーマに即したトレーニングを行う上で大切なのが、攻撃方向を設定することと、目的と優先順位を明確にすることです」と説明。そのうえで、冒頭に紹介した、4つの優先順位を意識させることの重要性を提示していった。
「マークを外す動き」を低年齢で身につけることで、ボールを受けやすくなり、ドリブルやパス、シュートといった、プレーの発揮につながる。
基礎でありながら、非常に重要な要素なので、ぜひ動画を繰り返し見て、鳥飼コーチのデモンストレーションを参考にしながら、日々の指導に取り入れていただければと思う。
【講師】鳥飼武志/
1977年12月6日生まれ、埼玉県出身。
高校卒業後、当時北信越リーグ、長野県の山雅サッカークラブでプレー。
その後、23歳からフットサルへ転身し、関東フットサルリーグで18年間プレー。
全日本フットサル選手権全国大会出場3回、全国地域チャンピオンズリーグ準優勝などを経験。
選手としてプレーを続けながら、2011年にサロニスタフットサルスクールを開校し、指導者としてのキャリアをスタート。ジュニア時代に指導した選手の中から2名が、フットサルU-19日本代表にも選出された。
2022年には日本フットサルリーグ(Fリーグ)に新規参入したマルバ水戸FCの監督を務め、F2リーグ参入初年度でリーグ準優勝に導く。現在は4種年代の指導をメインに行いながら、第1種のフットサルの埼玉県選抜チームの指導も行っている。
JFA公認フットサルB級ライセンス、JFA公認サッカーC級ライセンス保持
取材・文 鈴木智之