TOP > コラム > 全国大会出場チームが実践!「考えるより先に体が反応し、即座に奪い返す」ための、トランジション向上トレーニング

全国大会出場チームが実践!「考えるより先に体が反応し、即座に奪い返す」ための、トランジション向上トレーニング

サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者による、トレーニング動画を配信中だ。

前回より、FC Kanaloaを率い、昨年度の日本クラブユース選手権U-15全国大会に出場した、須藤純矢コーチによる「切り替え0秒のトランジショントレーニング」を公開している。

アルゼンチンやウルグアイといった、南米でのプレー経験を持つ須藤コーチによる、個人の判断をグループに昇華させ、連動してボールを奪い、攻撃に持ち込むためのトレーニング。

後編では、実戦形式を通じて、素早い判断で瞬時に寄せ、奪ったボールを攻撃につなげるプレーを高めていく。(文・鈴木智之)

この記事の動画はコチラで配信中>>

sudou0021.png

<< 前回の記事を読む 

守備の時間が減れば、攻撃の時間が増える

後編のテーマは「共通理解が大切な、グループで取り組む0秒トランジション」。攻守の切り替えを高めるために、「4対2ボールポゼッション」を行う。

sudou0022.png

ルールとしては、パスを8本つないだら1点。守備側はボールを奪ったら、コーンゴールにシュートを決めれば1点となる(ボールが外に出たら、コーチの配球で再開する)。

途中からフリーマンを投入し、4対2+1フリーマンの状況で「フリーマンはグリッドの外でのみボールに関わる」というルールを追加した。

須藤コーチは「ボールを取られてから考えるのではなく、ボールを持っていない選手が、奪われることを想定しながら準備しよう」と声をかけ、ボールを奪いに行ったが、取り切れずに展開されてしまった場面に注目。

sudou0023.png

「実際の試合だとピンチになる」と話し、守備側に「相手の選手がどういう関係で、どこにポジションをとっているかを観ながら、相手を追い込みたい」とアドバイスしていく。

攻撃側に対しては「ボールを持っている人、関わっている人がいて、残りの2人がぼーっとしていると奪われてしまう」と話し、「守備の時間が減れば、攻撃の時間が増える。早く取り返して攻撃につなげたい。ポジションを取って、失わない立ち位置をとることも大事になる」と、常に頭を回転させ、攻守に関わり続けることの重要性を伝えていた。

620_300.png

ファーストDFを決める

後編2つ目のトレーニングは「3対3+2フリーマン ボールポゼッション」。フットサルコートで実施し、GKを配置。攻撃側(コーチが最初に配球したチーム)はパス8本つなぐことを目指し、守備側はボールを奪い、ゴールを目指す。

hirota0024.png

途中から、守備側がボールを奪ったら、シュートを打つまで、フリーマンもディフェンスして良いというルールにチェンジ。

須藤コーチは「数的不利でキツいかもしれないけど、ファーストDFが決まると、ボールを奪うチャンスが出てくる」と声をかける。

最後に「パス8本つなげば、シュートを打ってもOK」というルールを追加。シュートの意識を持たせていく。

hirota0025.png

ここで須藤コーチが称賛したのが、ファーストDFがプレスにかけたことに対し、周囲が連動してボールを奪ったプレー。

「数的不利の状態なので、どこかのマークを捨ててでも、ボールを奪い切れるチャンスがあれば狙いたい。そうすると、優位な方向に持っていくことができる」というアドバイスで、連動してボールを奪う意識を高めていった。

考えるより先に体が反応し、即座に奪い返す

hirota0026.png

続いては「4対4+2GK」。フットサルコートでゲームを行う。ここでも「ファーストDFを決めること」を強調。

「パスが出る前から周囲がコーチングして、ファーストDFを設定しよう」と話し、「奪いどころを合わせていくよ」と声をかけていく。

さらに、途中でプレーを止めて「ボールを奪えなさそうであれば、戻って味方の帰陣を待つ」「後ろから声をかけて、行くか引かせるかのジャッジをしよう」と、判断面にもアプローチしていった。

hirota0027.png

加えて「GKにプレスをかけるときは、絶対に奪いに行くところだよ」「自分のマークを捨てて行くときは絶対に奪い切るよ」とアドバイスし、狙いを持って周囲がコーチングし、ボールを奪い切る意識を持つことの重要性を伝えていった。

最後に須藤コーチは選手たちに向けて「ボールから遠いところにいる選手も反応すると、失点の数も減らせて、攻撃の回数が増やせる」「切り替えがある中で、具体的にコーチングする習慣をつけよう」とアドバイスし、トレーニングを締めくくった。

hirota0028.png

以上でトレーニングは終了。須藤コーチはトレーニングを振り返り、「今回のトレーニングでは、考えるより先に体が反応し、即座に奪い返す狙いがあります。ネガティブトランジションをポジティブにとらえることで、守備を楽しみながらできようになります」とエールを送ってくれた。

今回のトレーニングはフットサルコートで実施していることからもわかるとおり、それほどスペースを必要としないので、環境的に限られたチームでも取り入れやすいだろう。ぜひ「COACH UNITED ACADEMY」の動画を見て、活用してほしい。

<< 前回の記事を読む 

この記事の動画はコチラで配信中>>

COACH UNITED ACADEMYのログインはこちら

【講師】須藤純矢/
日本サッカー協会公認B級ライセンス保持。FC Kanaloa クラブ代表。川崎フロンターレU-18を退団後アルゼンチンの名門リーベルプレート4軍(U20)への留学を経て、ディフェンサイフスティッシア(アルゼンチン2部)に入団する。その後、アルビオンFC(ウルグアイ3部)でプレーし、帰国後は、YSCCでプレーする傍ら、サッカー指導者を始める。2010年に現役を引退し、指導者としてのキャリアを本格的にスタートする。2017年にジュニアユース設立、2019年に独立、カナロアサッカースクールを開校する。2023年日本クラブユース選手権U15関東大会では、横浜Fマリノス(関東1部首位)などJクラブを破り、5期生で全国大会出場、全国ベスト32に進出した。現在は、U13監督を務めながら、川崎市トレセンコーチ・神奈川県クラブジュニアユース連盟理事を務める。