11.25.2024
限られたスペースを最大限に活かす! スモールサイドゲームを活用した、ポジショナルプレーの実践法
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
今回のテーマは「限られたスペースを最大限に活かす! スモールサイドゲームを活用した、ポジショナルプレーの実践法」。講師は福岡県朝倉郡筑前町を拠点に活動する、GULLID ASAKURA(グーリッドアサクラ)代表の原拓也コーチだ。
原コーチは高校卒業後、ジュビロ磐田・湘南ベルマーレでプレー。引退後はFCバルセロナスクール福岡校にて、10年間指導者をした後、故郷でクラブを立ち上げた。
スクールからU12、U15のカテゴリーを保有し、明確なゲームモデルのもと、一貫指導を行うGULLID ASAKURAでは、どのようなトレーニングでポジショナルプレーを指導していくのだろうか?(文・鈴木智之)
認知から前進を意識した、ボール保持トレーニング
COACH UNITED ACADEMY前編のテーマは「認知から前進を意識した、ボール保持トレーニング」。原コーチは「グーリットのゲームモデルでもある、ゲームメイクのポジショナルプレーをスモールサイドゲームに落とし込むことをテーマに、トレーニングを紹介していきます」と説明。
グーリットでは、ゲームメイクのポジショナルプレーを実践する上で「どうやればボールを握り続けられるのか」「そのためにどこに優位性があるのか」をポイントにトレーニングをしているという。
それを実践する上で、最も大切なのは「認知すること」だ。「今回のトレーニングでは、認知することも意識してトレーニングしていきます」と話し、ウォーミングアップの「2対1」に入っていった。
ここでは、対面パスの形式で、認知・判断を含む前進をトレーニング。設定としては、縦パス後、前方から守備者が寄せてくるので、来る方向を見て、縦か横にパスを入れる。
原コーチは「目的は前進すること。自分の前がどうなっているかを、いつ、どのタイミングで見るか」「どうなっていたら自分で前進し、どうなっていたら味方を使う?」と声をかけるとともに、「ボールが来る前、ボールの移動中に状況を観ること」の重要性を伝えていった。
前進を意識しながらプレーする
続いては「3対3+2フリーマン ボールポゼッション」のトレーニング。中央のグリッドを4つに分け、味方がいるエリアにはパス、味方がいないエリアにはドライブ(ドリブルで進入)する。
攻撃側は1つのエリアに1名しか入れず、守備側は制限なしというルールだ。目的はスタートゾーンからゴールゾーンへとゾーン1、2を通過してボールを移動させることで、守備側はスタートゾーン、ゴールゾーンに入ることはできない。攻守はボールを奪ったら切り替わる。
原コーチは「目的はボールを保持ではない。前のエリアに味方がいなければ、ドリブルで進入する。前進を意識しながらプレーしよう」「もし前のエリアに味方がいたら、斜めへのパスを使おう。まず自分の前のエリアがどうなっているのかを観て、判断しながらプレーしよう」とアドバイスを送っていく。
コーチングでは、周りを観るための体の向きを作ること、前進することにフォーカス。
「目的はボールを貰うことではなく、ゴールに進むこと」「どこでボールを受けることができたら簡単にゴールに行ける?」「どうやったらフリーになれる?」といった声かけによって、選手たちのプレーが変わっていく様子は、ぜひ「COACH UNITED ACADEMY」の動画で確認してほしい。
相手の動きを観ることが大切
以上で前編のトレーニングは終了。原コーチは「2対1のトレーニングでは、 受け手のオフの時の認知が大切になります。相手がどこを守ろうとしているのか。相手の動きを見て、自分で前進するのか、味方を使って前進するのか、相手との距離を見てワンタッチするのか、それともツータッチするのかといった判断が求められます」と振り返った。
2つ目のトレーニングでは「自分の状況、味方の状況、自分の前方の状況がどうなっているのかを見ておくことが大切になります。このトレーニングでは、スペースが必ず一箇所空くので、このスペースをどう有効的に使うかというスペース活用のトレーニングにもなります」と総括した。
後編ではさらに実践に近づけた、ゲーム形式のトレーニングを行っていく。
【講師】原拓也/
筑陽学園を卒業後、ジュビロ磐田、湘南ベルマーレ、静岡FC(現・藤枝MYFC)でプレーし、プロサッカー選手としての経験を積む。2009年より、FCバルセロナスクール福岡で指導者としてのキャリアをスタートさせる。2018年に「GULLID ASAKURA」を設立し、さらなる指導の幅を広げる。2020年には、全日本U-12サッカー選手権福岡県大会で3位入賞、またU-15クラブユース選手権九州大会でも3位と着実に力を付けてきている。
取材・文 鈴木智之