12.02.2024
ジュニア年代でも学べる!元Jリーガー指導者が教える、ポジショナルプレーを身につけるトレーニング
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
前回より「限られたスペースを最大限に活かす! スモールサイドゲームを活用した、ポジショナルプレーの実践法」をテーマに、GULLID ASAKURA(グーリッドアサクラ)代表の原拓也コーチによるトレーニングを公開中。
原コーチは高校卒業後、ジュビロ磐田・湘南ベルマーレでプレー。引退後はFCバルセロナスクール福岡校にて、10年間指導者をした後、故郷でクラブを立ち上げた。
スクールからU12、U15のカテゴリーを保有し、明確なゲームモデルのもと、一貫指導を掲げるGULLID ASAKURA。ポジショナルプレーを実践するためのトレーニング後編では実戦形式を通じて、認知や判断、グループでのプレーを高めていく。(文・鈴木智之)
どこで数的優位が作れているかを観る
後編のテーマは「実践で学ぶ、ポジショナルプレーの応用」。トレーニングは「4対4+1フリーマン+4ポジションゲーム」を実施する。
設定としては、攻撃側はゾーン1からゾーン2を経由し、ゾーン3の選手にパスを通すことができたら1点。守備側は2-2のシステムで、ゾーン1、ゾーン2に入って守備を行う。
ルールとして、ゾーン2に出入りできるのはゾーン1の選手とフリーマンのみ。守備側がボールを奪ったら、攻撃側と逆位置にいるチームへのパス成功で攻守が交代する。
原コーチは前編のトレーニングに続き、周囲の状況を観ることを強調。トレーニングの設定上、ゾーン1は攻撃4対守備2の数的優位が作れているので、その状況を踏まえたプレーをすることを求めていく。
「ゾーン1と2のどちらで数的優位が作れているかを、知る必要がある。数的優位の状況でボールを失うと、カウンターを受ける。数的優位のところでボールを大事しながら、自分の前がどうなっているかを観る。そこでドライブするのかフリーマンを使うのか。そこを判断しよう」
さらには判断の基準を提示。その1つが「自分の前がクリア(相手がいない状態)になっている」こと。相手が目の前にいるのに、むやみに進んでしまうとボールを失う可能性が高くなる。
「数的優位のゾーンではボールを失わない。ボールを動かしながら、自分の前がどうなっているかを観る。目的はゴールに進むこと。そのために自分の前の状況を認知する。前がクリアになっていなければ、攻撃を再構築する必要がある」
ほかに「ボールを中から外、外から中へと動かすことで、相手を動かして、自分の前をクリアにする」「前進するために、空いているレーンをみつける」といった観点からもコーチングしているので、詳細は動画で確認してほしい。
周りの選手の状況を観る
トレーニング最後は「5対5+1フリーマン スモールサイドゲーム」。コートの広さは8人制フルピッチの半分。ゴールは中央に1つ、サイドにコーンゴールを各1つずつ設置。真ん中のゴールはシュートあり(2点)で、コーンゴールはドライブ通過もしくはタッチ通過で1点。
さらにサイドの位置に、コーンゴールと平行の幅でワイドレーンを設置。このエリアに関して、守備の選手はボールが入ってからでないと入ることができないというルールだ。そのため、攻撃側はワイドの優位性を使いながら攻めることがポイントになる。
システムは3-1-1 守備の時は2-3か3-1。攻撃はフリーマンを使って2-3-1で攻めることを意識する。ここでは「ゴールを奪うために、どこでボールを受けるか」をコーチング。そのために周りがどうサポートし、ボールを運んでいくかをアドバイスしていく。
「どこに立てば仲間を助けられる? ゴールできる? そのためには周りの選手がどういう状況なのかを観ること。プレッシャーを受けているのか、受けていないのか。そこを考えながらやってみよう」
ほかに「ゴールを決める」という目的から逆算して、どのレーンが進みやすいのか。どこで数的優位が作れそうなのかを観ることを強調。細かなコーチングの様子は、ぜひ「COACH UNITED ACADEMY」の動画で確認していただければと思う。
限られたスペースでも効率的なトレーニング
以上でトレーニングは終了。原コーチは「今回紹介したトレーニングは強度が高く、限られたスペースでも効率的にトレーニングすることができます」と説明。
また「グーリットで日々実践しているトレーニングや意識していることを、スモールサイドゲームに落とし込みました」と話し、「各チーム指導者の皆様にも、それぞれのゲームモデルがあると思いますが、その目的達成のための手段として、今回ご紹介したものを参考にしていただけると幸いです」と締めくくった。
選手の判断に働きかけながら、強度の高いトレーニングで技術、戦術、フィジカルを高めていく、今回のトレーニング。狭いスペースでも実施できるので、ぜひ動画を見て、日々のトレーニングに活用してほしい。
【講師】原拓也/
筑陽学園を卒業後、ジュビロ磐田、湘南ベルマーレ、静岡FC(現・藤枝MYFC)でプレーし、プロサッカー選手としての経験を積む。2009年より、FCバルセロナスクール福岡で指導者としてのキャリアをスタートさせる。2018年に「GULLID ASAKURA」を設立し、さらなる指導の幅を広げる。2020年には、全日本U-12サッカー選手権福岡県大会で3位入賞、またU-15クラブユース選手権九州大会でも3位と着実に力を付けてきている。
取材・文 鈴木智之