01.20.2025
ジェフ千葉提携クラブが実践! 11人制移行時に身につけたい、グループで連動してボールを保持し、相手を崩すトレーニング
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
前回より「8人制から11人制への移行に伴う、距離感の変化とオフザボールの意識改善」をテーマにしたトレーニングを公開中。実演してくれたのは、ジェフユナイテッド市原・千葉U-15コラソンにおいて、U-13のコーチを務める藤井航太氏だ。
藤井氏は前所属の水戸ホーリーホックでジュニア年代、前々所属のVERDY S.S.AJUNTでジュニアユース年代を担当するなど、育成年代の指導を長く担当。
8人制から11人制に変化することで身につけておきたい要素を、わかりやすいデモンストレーションとコーチングでアプローチしていく。(文・鈴木智之)
誰がフリーになっているかを見極める
COACH UNITED ACADEMY動画、後編のテーマは「パスと連携を活かした、オフザボールの実践」。藤井コーチは「相手のいるシチュエーションで、具体的に何をいつ観るべきかを明確にして、オフザボールの意識に刺激を入れながら、トレーニングを行っていきます」と話し、実践に移っていった。
トレーニングは「5対3 田んぼ」を実施。縦20m×横20mのグリッドを田の字に区切り、攻撃5対守備3でボールポゼッションを行う。攻撃はDFのいないマスを意識してボールを動かし、守備はボールを奪ったら田んぼの外でボールに触るところまでプレーする。
藤井コーチは「誰がフリーになっているかを見極めることが大事。グリッドを田の字に区切っているから、マスに相手がいるかいないかがわかりやすい」「相手が動くたびにフリーの選手を見つけて、そこへボールを動かし続ける」といった声掛けで、プレーのポイントを簡潔に提示。
また、むやみにボールを動かすのではなく、ボールを持っている選手がフリーの状況では、他の位置に守備の選手がいるため、パスを通すコース、スペースがない場合が多い。
そこで「そのときはボランチ(中央の選手)をうまく使い、ボールを動かしながらDFを食いつかせて、フリーの選手ができたところでその選手を使う」といったアイデアを伝えていった。
ほかに、斜めの角度を作り、下がりながらボールを受けることの重要性を説き、ボールを受ける際の体の向きやコース取りに応じて、ボールを受けた瞬間にプレーの選択肢が大きく増えることを実演。このあたりはぜひ「COACH UNITED ACADEMY」の動画で確認してほしい。
意図的に相手を動かす
最後は「10対10 ゲートゲーム」を行う。グリッドは72m×60mで実施。ハーフウェイライン上に3つのゲート(幅18m)を設置し、必ずどこかのゲートを通過して進入する。浮き球での進入は禁止で、オフサイドはなしというルールだ。
藤井コーチは「大事なのはシュートまで行く目的を遂行するために、相手が少ないゲートを通過すること」と状況を観て、適切にプレーを選択することを改めて強調。
そこで「攻撃は意図的に相手を動かしたい。相手を片方に寄せて、フリーの選手を作って逆サイドに展開する」「スペースがなかったらスペースを作り出す」とコーチング。
さらに、最終ラインの選手がボールを持ったときに、中盤の選手は「どこにボールを出してほしいかが明確にある? これがないと自分の動きが決まらない」とアドバイス。
ボールの動きがイメージできていれば、味方に伝えつつ、アクションを起こすことで相手を引き付けてスペースを作ったり、自分がボールを受けて次に展開するといったプレーをすることができる。
動画ではこれらをデモンストレーションするほか、「縦パスの差し込み方」「相手のラインを突破して前進する方法」などを整理して伝えているので、ぜひ繰り返し見てほしい
オフザボールの意識が身につく
以上でトレーニングは終了。
藤井コーチは「1回のトレーニングや同じトレーニングをするだけでは、選手の意識を根本から変えていくことはできませんが、時間をかけて様々なアプローチを行うことで、11人制で活かすことのできる、オフザボールの意識が身についていくと思います」と、COACH UNITED ACADEMY読者にメッセージを送った。
個の能力で局面を解決しやすい8人制とは違い、11人制になるとグループで連動してボールを動かすことが、相手を攻略するために不可欠となる。そのあたりにアプローチすることのできるトレーニングなので、ぜひ動画を見て、日々の指導の参考にしていただければと思う。
【講師】藤井航太/
神奈川県出身。日本体育大学学友会サッカー部所属中の20歳時から指導者のキャリアをスタート。東京都のVERDY S.S.AJUNTでジュニアユースコーチを6年間、その後活動拠点を茨城県に移し、ホーリーホックではジュニア監督、ジュニアコーチ、またU-12茨城県トレセンコーチなどを務め、現在はジェフユナイテッド市原・千葉U-15コラソンにてU-13監督として指導をしている。指導歴10年。JFA公認B級指導者ライセンス保有。
取材・文 鈴木智之