02.17.2025
個人戦術とグループ戦術を高めたいチームは必見! 味方と繋がり、スペースを活用するトレーニング
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
前回より「ボールの出口を探すトレーニング~味方と繋がり、スペースを活用する」をテーマに、ラポームサッカースクールの瀬尾大樹コーチによるトレーニングを紹介中だ。
前編では、3対1のロンドや2対2+1フリーマンなどを通じて、味方と繋がり、スペースを活用する感覚を養うトレーニングを紹介した。後編では、より実戦的な場面での活用を目指し、3対3+2フリーマン、5対5のゲームを行っていく。(文・鈴木智之)
常に味方と繋がることを意識
最初のトレーニングは「3対3+2フリーマン(発展 ゴールあり)」。15m×15mのグリッドで実施。攻撃側(ボール保持側)はフリーマンを使い、数的優位の状況でボールポゼッションを行う。
瀬尾コーチは「中を使うと外が開いてくる。中に誰かいるかな」とアドバイスを送り、「次の人と繋がったポジションをとろう」と、常に味方との関係性を意識させる。さらに、グリッド内にある4つの四角形のうち、守備側がいない1つの四角形を有効活用するように促す。
また「鬼がいない四角形を見つけて、そこにボールを運ぼう」という声かけにより、選手たちは空いているスペースを認識し、そこを目指すプレーを展開。ボールを受ける際は「相手を観て、寄ったり離れたり」と、状況に応じたポジショニングの重要性も指導していった。
プレッシャーを受けた際の対応も重要なポイントだ。瀬尾コーチは「足元にボールを止めるだけでなく、相手が来ていたらスペースに運んで出口を見つける」と説明。実演を交えながら、プレッシャー下でのボールコントロールとスペースの使い方を指導していった。

ゴールを意識したゲーム形式
続いて、「3対3+2フリーマン(発展 ゴールあり)」にトライ。ゴール前のラインを突破したらシュート可能で、シュートが決まれば2点、8本パスを回せば1点というルールを導入。試合時間は1分半で、フリーマンはエリアの外に出ることはできず、シュートも打てないという設定だ。
瀬尾コーチはゴールを目指す上で「誰がボールを取りに出てくるかを観てご覧。それをみんなで共有しよう。そうすればボールを受けられる」と話し、「自分とボールだけが繋がらないように。味方と繋がり、相手を観る」とアドバイス。そうすることで、ボールの出口を作るように促していった。
相手を観てプレーする
最後は「5対5(4対4+GP)」のゲーム形式。35m×15mのグリッドで実施し、これまでのトレーニングで意識してきた「ボールと自分だけが繋がらないように」「味方と繋がって、相手を観る」という要素を保ちながら、実戦的な展開を目指す。
ここで瀬尾コーチが声をかけたのが、ボール保持者のプレー判断。「ボールを持ってフリーの状態になったときは、相手を引き付けよう」とアドバイス。そうすることで、味方にとって、時間的、空間的な余裕が生まれる。
ほかに「前線の選手とサイドの選手が高さ(深さ)を取る」ことで2対1の数的優位を作り出すことや、菱形(ダイヤモンド)のポジションをとることで、ボールの動きがスムーズになることを指導していった。
トレーニング終盤では、背後のスペースを意識することの重要性を強調。「遠く(相手ゴール)から観られるように。最初から(ボールを受けるために、下がってスペースに)入ってくるのではなく、まず背後を狙えるように」とアドバイス。相手が背後を警戒して下がることで、手前にスペースが生まれる状況を作り出すことがポイントだ。
ジュニア年代で身につけておきたい要素
以上でトレーニングは終了。瀬尾コーチは「ボールまたは人が動くことで相手が動き、スペースが生まれます。そのスペースを活用することで前進しやすくなります」と、トレーニングを総括した。
今回のテーマである「味方と繋がる」「ボールの出口を探す」といったことはサッカーの基本として、ジュニア年代から身につけておきたい要素だ。
「COACH UNITED ACADEMY」の動画では、シンプルなトレーニングを通じて、戦術理解にアプローチするためのヒントがたくさん詰まっているので、ぜひ動画を参考にしていただければと思う。
【講師】瀬尾大樹/
3歳からサッカーを始め高校卒業後、社会人チームなどを経て茨城県で指導者をスタートし、今年で指導歴15年。これまで幼児から社会人の指導に携わり、2023年にラポームサッカースクールを設立。現在はラポームサッカースクール代表の他、外部指導でジュニアユース監督、トレセンチーフコーチなども務める。日本サッカー協会公認A級ジェネラルライセンス、キッズリーダー、キッズコーチングアドバイザー、タニラダーC級ライセンス保持。
取材・文 鈴木智之