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海外での経験を若い世代に伝えたい。FCカナロア須藤純矢監督の挑戦

サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や指導理論を配信中だ。

COACH UNITED ACADEMYに出演してくれた指導者による「サッカー指導を学ぶ」をテーマにしたインタビュー第4回は、FCカナロアを率いる須藤純矢監督だ。

FCカナロアは「40分以内に通える選手を育てる」という地域密着の理念のもと、選手一人ひとりをしっかり見る、ジュニアユース年代の育成クラブとして知られている。2017年の前身チームから着実に実績を積み、2023年には全国大会(日本クラブユースサッカー選手権U-15大会)出場を果たした。

現役時代はJクラブのアカデミーを経て、アルゼンチンとウルグアイでの選手経験を持つ須藤監督は、日々どのようにしてサッカーを学び、選手たちに伝えているのだろうか?

COACH UNITED ACADEMY動画に出演して好評を呼んだ、須藤監督のインタビューをお届けしたい。(文・鈴木智之)

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選手時代に南米へ挑戦

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須藤コーチは兄と一緒に、学校の校庭でボールを蹴り始めたことがきっかけでサッカーにのめり込み、小学4年生の時に横浜フリューゲルスのジュニアチームに加入。その後、街クラブを経て、川崎フロンターレU-18に入り、高校卒業後にアルゼンチンやウルグアイでプレーした。

「フロンターレの頃はメンタル的なこともあり、なかなか試合で結果を出せずにいました。卒業にあたって大学に進学するか考えた時に、環境を変えてサッカーで勝負したいと思い、アルゼンチンに留学しました」

そしてアルゼンチン2部リーグのチームと契約後、ウルグアイでのプレーも経験。須藤コーチはその経験から、日本と南米のサッカーの違いを、次のように語る。

「日本の場合、能力を円グラフで表した時に、平均的に上手な選手が多いですが、アルゼンチンの場合は何かは欠けているけど、突出している部分で欠けている部分をカバーできる選手が多かったんです。その経験から、選手個々の特徴を活かして、チームを形成することは意識しています」

指導者への転身

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日本に帰国後、Y.S.C.C.で選手として活動しながら、小学生チームの指導を始めた。とはいえ、指導者になる考えはなかったという。

「選手時代、指導者になることは少しも考えていませんでした。でも、実際に指導してみると、子どもたちの変化や成長を見るのがすごく面白くて。ほんのちょっとのことで変わっていく姿を見て、自分がプレーすることよりも、指導する方が楽しく感じるようになりました」

そして選手を辞め、指導者に専念。「南米でプレーした経験を伝えるのが使命」と感じ、子どもたちの指導を始めた。

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大木監督との出会いが転機に

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南米での選手経験同様、須藤コーチに大きな影響を与えた人物がいる。川崎フロンターレU-18時代に監督を務めていた、大木武氏(現・ロアッソ熊本監督)だ。

「大木監督はすごく厳しいし、何も隠さないドストレートな人でした。でもそれが自分にはすごく響いて、足りないところに向き合うきっかけになりました」

海外挑戦の原動力になった大木監督について、須藤コーチは「ユースの選手に向かって『俺はここでは終わらない。俺の夢はマンチェスター・ユナイテッドの監督になることだ』と言っていて、実際に英語も喋れたり。今でも理想的な指導者像だと思っています」と語る。

須藤コーチの学び方は多岐にわたる。サッカーの本だけでなく、野球の落合博満・元監督のような、異なるスポーツの指導者の本も読み、そこからヒントを得ているという。

「指導者として大事なのは、選手が納得できたり、選手の心に刺さる言葉を使うことだと思います。私は中高時代から本を読むのが好きだったので、できるだけ本を読むようにしてます」

動画を咀嚼して伝える

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須藤コーチも出演したCOACH UNITED ACADEMYについては、「良い指導を見ることが学びになる」と評価する。

「いまは便利な世の中なので、空き時間にスマホで動画を見られる環境があります。ただし、そのまま真似するのではなく、自分自身で咀嚼してからでないと、選手には伝わりません。様々なスタイルのチームの動画の中から、自分の指導に還元できる部分を引き出す視点で見ると良いのかなと思います」

須藤コーチは今後の目標について「関東リーグ昇格と全国大会出場、そして『選手一人ひとりをしっかり見る』というクラブのコンセプトを守りながら、若いスタッフが学べる環境も作っていきたい」と言葉に力を込める。

インタビューから数日後、FCカナロアU-13は関東リーグ昇格を決めた。決してトップ層の選手が来るわけではないクラブが、関東リーグ昇格を決めたのは、選手の努力とスタッフの情熱の賜物だろう。

南米での経験を胸に、次世代の選手と指導者を育てる須藤コーチの挑戦は続く。

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