04.17.2025
ボールを「奪う」「守る」為の体の当て方、腕の使い方!足元のテクニックだけでなく潰されない強さを磨く!
サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-6~U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。
前回より、M&Aサッカースクール代表の荒野将輝氏による「攻守の体の使い方を覚えるためのトレーニング」を公開中。サッカーでは1対1の局面を制することが、試合の流れを大きく左右する。特にジュニア年代では、適切な体の使い方を身につけることで、プレーの質を高めることにつなげていきたい。
前編に続き、後編では「守備の立ち位置と腕を使う寄せ方」「相手に捕まらないボールの運び方」をテーマに、実戦で役立つスキルをトレーニングしていく。(文・鈴木智之)
守備の寄せ方、腕の使い方
最初の動画テーマは「守備の立ち位置と腕を使う寄せ方」。トレーニングは「1対1+2フリーマン」を実施。四角形のスペース内で1対1を行い、外側のコーン間に配置された選手がフリーマンとなる。
オフェンスの選手は片方のフリーマンからボールを受け取り、反対側のフリーマンにパスすることを繰り返す。ディフェンスの選手は、ボールを奪ってフリーマンに繋いだら攻守交代というルールだ。
荒野コーチは守備の基本として「相手を自分より背中に置くのはやめよう。背後を取られない位置に立って」と指導。そして「足元にパスを出されちゃうかもしれないけど、しっかり寄せて、相手が反対側に向かいにくい状態を作ろう」とアドバイス。
さらに「もっとがっつりディフェンスにいこう」と守備の強度を上げるようにうながしていく。続いて「相手の背中にお腹をくっつける寄せ方はダメ」と指摘。「腕一個分。肘一個分挟むこと。そうすると相手が反転してもブロックできる」と実演しながら説明していく。
また、ボールと相手選手の両方を視野に入れる守備姿勢についても言及。「首を振らないでボールとマークの両方が見えるところに立つこと」の重要性を伝え、選手一人ひとりの立ち位置を確認しながら指導を行っていた。
さらに動画では、ボールを奪いに行く際の「腕の使い方」も実演しているので、ぜひ参考にしてほしい。

ルーズなボールをマイボールにする体の使い方
続いてのテーマは「相手に捕まらないボールの運び方」。トレーニングとしては「1対1対1、3ゴール」を実施。荒野コーチは「ディフェンス能力が高くない選手が多いチームでも、ボール保持者にストレスを与えられるトレーニングです」と説明。
このトレーニングでは黄色、赤、青の3つのゴールを設置。選手たちは各ゴールの左側に並び、順番に中央からスタートする。
コーチがパスを出した瞬間にプレーが始まり、ボールを持った選手は3つのゴールのいずれかをドリブルで通過することを目指す。他の2人はすべて「敵」となり、ボールを奪ってどこかのゴールに向かう。
選手たちが陥りがちな問題点に「1対2の数的不利にも関わらず、ボールだけを動かして局面を打開しようとすること」がある。荒野コーチは「ボールタッチ、足技、フェイントだけでどうにかしようとしている」と指摘。
解決策として「ボールを守るために、腕を使いながら相手を攻撃する」「ブロックを入れると突破できる」と、積極的な体の使い方をうながしていく。
また弱いパスへの対応についても「相手より体を先に入れ、ボールに触れさせない」と具体的な動き方を実演。「相手を邪魔してマイボールにした後も、警戒してブロックする」といったアドバイスを行っていた。
荒野コーチの指導を通じて見えてくるのは「相手との接触の仕方」「ボールと相手の両方を意識した位置取り」など、実戦で役立つ実践的なスキルを教えていく姿勢だ。
特に「肘一個分」「腕一個分」といった具体的な表現や「浮き球の時は、相手の体に触る」などの指示は、子どもたちにとって分かりやすく、すぐに実践できる内容となっている。
荒野コーチの指導法は、経験の浅いコーチにとって大いに参考になるだろう。体の使い方という基本的なスキルを、楽しみながらも実戦に即した形で学べるトレーニングは、子どもたちの成長につながっていくはずだ。
興味のある方は、ぜひCOACH UNITED ACADEMY動画をチェックしてほしい。理論と実践が融合した荒野コーチの指導から、多くの気づきを得られるに違いない。
【講師】荒野将輝/
1995年6月5日生まれ。
1FC川越水上公園U-12、1FC川越水上公園U-15、関東第一高校でプレー。
2017年から埼玉のJ-FOOTサッカースクールで指導者スタート。
2019年FC狭山ジュニアユースで指導スタート。
2021年にM&Aサッカースクール設立。
現在は埼玉、千葉、長野、愛知、大阪で個人レッスンやスクール指導。
取材・文 鈴木智之