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選手育成に定評のあるFC PORTA!「技術」と「判断」同時に働きかけ、実践で活きるドリブルスキルを磨く練習法!

サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-6~U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。

前回に引き続き、神奈川県の強豪クラブ・FC PORTA代表の谷口凱哉氏によるドリブルテクニック指導を紹介する。FC PORTAは創設6年目ながら、数多くの選手をJクラブのアカデミーに送り出すなど、近年、存在感を増しているクラブだ。

その背景には「PORTA BASE」という、選手としてクリアしなければいけない基準を明確に示した独自の育成システムがある。

今回は実戦に即した高強度の中で「運ぶ・剥がす・隠す・正対」を判断する1対1のトレーニングと、相手の守備ライン突破するための侵入技術を高めるトレーニングを紹介してもらった。(文・鈴木智之)

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1対1の中でTRで行ってきた「剥がす・運ぶ・隠す・正対」を実践

前編に続く、3つ目のトレーニングでは「1辺突破 1対1」を実施。このトレーニングの特徴は、守備側の本気度にある。

谷口コーチは「守備は本気で奪いに行く、最後まで諦めずに体をぶつける。その中で、攻撃側はちゃんと判断できるようにしよう」と、単なる技術練習ではなく、試合の中で活きる技術の習得に目を向けていく。

ルールとしては、攻撃側はドリブルで素早くゴールラインを突破することを目指し、守備側は最後まで諦めずにハイプレッシャーをかけ続ける。その中で選手たちは剥がす、運ぶ、隠す、正対の中から最適なものを瞬時に選択することが求められる。

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ここで谷口コーチは、スピードやフィジカルといった身体能力のみで勝負するのではなく、相手を見て判断することを強調。

「自分よりも身体能力の高い相手だったら、海外に行ったときに、ギリギリの剥がしでは絶対についてこられる」とアドバイス。相手の身体の向きを変えさせてから、逆方向に仕掛ける、相手の背中をとるといった駆け引きの重要性を説いていく。

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トレーニングの途中から、ゴールのラインを遠くにすることで、抜いた後に追いかけてくる相手をどうかわすのか、剥がすのか、ボールを隠すのか、正対し直すのかといった駆け引きもトレーニングしていく。

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最後は、ドリブルとパスがある中での駆け引きにトライ。谷口コーチは「パスモーションをして、相手が足を出してきたら、ドリブルでかわせる」など、デモンストレーションを交えて説明。守備側には「パスコースを切りながらプレーしよう」とアドバイスを送っていた。

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ドリブルの始め方・終わり方、どこで受けるかどう運ぶか

4つ目のトレーニングでは「相手の守備ラインを崩壊させる」をテーマに、より戦術的な要素を取り入れた2対2を実施。

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谷口コーチは「 1対1ができるようになってきたら、ドリブルの始め方、終わり方に意識を向けて、センターラインを侵入する方法に制限をつけ、ドリブルにとどまらず、パスやファーストタッチのクオリティを求めていきます」と説明。

トレーニングは「1辺突破(センターラインあり)2対2」を行う。サーバーからのパスを受けて2対2がスタートし、以下の4つのルールを設定。

1:センターラインをドリブルのみで突破
2:センターラインをパスのみで突破
3:センターラインをファーストタッチで突破
4:センターラインを2タッチアンダーで突破

谷口コーチは「守備ラインを突破するためには、入り口を選ばなきゃいけない」とアドバイス。人と人の間なのか、サイドの間なのかを瞬時に判断し、守備がそこを閉めてきたときには、別の入り口に変更する柔軟性が求められる。

また「どこでボールを受けたら、ファーストタッチで入っていける?」と選手に問いかけながら「同サイドのライン際、高い位置に速いボールをつける」など、具体的に指導。

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動画では選手たちの質の高いプレーを見ることができるので、ぜひそちらにも注目していただければと思う。

トレーニングを通じて、FC PORTAの指導は技術と判断力に、同時にアプローチしている様子が見て取れる。単純な反復練習ではなく、常に実戦を意識した声かけと段階的なルールの変更により、選手の思考力と適応力を育成している。

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このような質の高いトレーニングと指導哲学により、FC PORTAは継続的にタレントを輩出し、Jクラブとも遜色のない選手育成を実現しているのだろう。

今回の動画は指導経験の浅いコーチにとって、技術指導と戦術理解、そして判断力の育成を学べる内容になっているので、ぜひ繰り返し見て、日々の指導に役立てていただければと思う。

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【講師】谷口凱哉/
愛知県名古屋市出身、幼稚園年中で地元サッカースクールでサッカーを始める。
小学6年生で愛知県トレセン、東海ナショナルトレセンに選出、高校2年時には東海トレーニングキャンプに参加(愛知県内高校生代表5名)。2018年、大学1年時に現FC PORTA監督の羽毛勇斗氏と出会いサッカーコーチへ転身、大学2年時にFC PORTAを創設。現在では神奈川県の強豪チームとして成長し、FC PORTAの代表を務める。