11.06.2025
相手を崩す為に必要な動き出しのタイミングとパスのテンポとは?攻撃の優位性を構築するプレーの原則を学ぶ
サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「CCOACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-8~U-12年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。
今回のテーマは「ボールと人がタイミングよく動き、テンポよくボールを回して、相手を崩す基本トレーニング」。ジュニア年代ではプレーの連続性がなく、1プレーで終わってしまうことがよく起きる。その原因は、ボールに関わり続けることができず、タイミングよく連動できない。グループとしてのテンポを保てないといったことが挙げられる。
そこで今回は、ENJOY FOOTBALL ACADEMY及びFCパルティーダ新潟代表の諏訪田祐希氏に、ボールと人がタイミングよく動き、テンポよく相手を崩すためのトレーニングを実践してもらった。
諏訪田コーチはジュニア、ジュニアユース、2種、1種と、すべての年代の指導を経験。指導歴は20年を数え、2021年には、個人技術の向上と戦術的に賢くプレーできる選手の育成を目指す「ENJOY FOOTBALL ACADEMY」を設立。2025年にはジュニアチーム「FCパルティーダ新潟」を立ち上げた。
サッカー理解、原則を落とし込む指導に定評がある諏訪田コーチは「相手を崩すための攻撃」を、どのように指導していくのだろうか?(文・鈴木智之)
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試合で頻出する状況下で味方と繋がる4つのパス&コントロール
最初の動画テーマは「仲間と繋がる為に理解するパスの原則」。パスの基礎技術と、味方がプレーする時間とスペースを作るための連携を向上させるトレーニングを行っていく。
諏訪田コーチは「このトレーニングはボールを動かすことが目的ではありません。相手に影響を与えながら味方にプレーする時間とスペースを作り、ボールと人がリズムよく連動することでゴールへとつながっていくことを狙いとしています」と話し、トレーニングがスタートした。
最初は「パス&コントロール」のトレーニングから。設定としては、ボール保持者も受け手もフリーな状況からスタートし、段階的にプレッシャーを加えていく。
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最初のステップでは「ボールホルダーも受け手もフリーだったら、マーカーから離れて受ける」という原則を確認。角度のある方向にパスを出し、スペースでボールと出会うことを意識する。
諏訪田コーチは「味方がボールを蹴る瞬間、マーカーから斜め45度の位置にパッと離れて受ける」「味方のへそを狙ってパスを出し、『ターン』と伝える」というアドバイスを通じて、ただボールを蹴るだけでなく、タイミングとパスの質の重要性を伝えていった。
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続いて、マークがついてきた状況を想定したトレーニングへ。マーカーから離れたが、相手がついてきたので、ひとつ飛ばしてパスを出し、リターンパスを受けるプレーにトライ。
ここでは「パスをひとつ飛ばすタイミング」について、2つのパターンを解説。「ボールが自分の前を超えた時に行くサポート」と「ボールを蹴った瞬間に行くサポート」の違いを明確にし、「ゴール前は時間がないので、蹴った瞬間に関わる。手前のエリアでは確認してから行く」とゾーンによる、サポートのタイミングの使い分けを指導した。
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最後はマーカーが中間ポジションをとっているので「プレッシャーが来るか来ないか分からない状況」という、試合で多い場面を想定。「幅を取ってから、高さを調整する」といった選択肢を提示し、状況判断を促していった。コーチングの詳細はCOACH UNITED ACADEMY動画で確認してほしい。
同数で相手を崩す為にターゲットを活用する攻撃方法
2つ目の動画テーマは「ターゲットを活用した攻撃の基本原則」。諏訪田コーチは「中盤で同数の状況になった際に、フォワードを活用して突破する場面を想定しています。相手の守備を崩すために必要な要素を整理し、優先順位を意識して取り組むことがポイントです」と説明。
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トレーニングは「2対2+1ターゲット」を実施し、設定としてはドリブルインスタートで、攻撃側は守備側の奥のラインを超えることが目的となる。突破方法は「自分で行く」「パスで超える」「ターゲットを使って、リターンパスを受けて超える」の3つから選択。守備側はボールを奪ったら、2つあるミニゴールのどちらかを目指す。
諏訪田コーチは成功したプレーに着目し、「同数の状態でプレッシャーが来たら、優先順位の一番は自分で何とかするではなくて、奥のターゲットを使って、前向きの人が関わる」という原則を伝える。
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守備側には「一人目がプレッシャーをかけて前への道を消し、二人目がパスの方向を予測し、素早く寄せて奪う」といったポイントを提示し、コミュニケーションをとりながらプレーするように促していった。
その他にも的確なアドバイス、コーチングでプレーの原則を伝えているので、ぜひ動画を繰り返し見て、日々のトレーニングの参考にしていただければと思う。
【講師】諏訪田祐希/
新潟県新潟市出身。大学卒業後、出身クラブで指導を開始し、これまでにジュニア、ジュニアユース(JY)、2種、1種と、すべての年代の指導を経験。指導歴は今年で20年目を迎える。
2021年には、個人技術の向上と戦術的に賢くプレーできる選手の育成をメソッドに掲げて、「ENJOY FOOTBALL ACADEMY」を設立。
また2025年には同メソッド加え「個人の技術向上と戦術理解の実践を通じて、実力を身につける選手の育成ジュニアチーム「FCパルティーダ新潟」を立ち上げる。
2021年からは母校である東京学館新潟高校サッカー部の外部コーチも務め、高校年代の選手育成にも携わっている。
2024年には大分県やタイで出張トレーニングを実施し、多くの選手や指導者と交流を深めながらも、成長マインドセットをもち、学びを続け、日々指導に励んでいる。
資格:日本サッカー協会公認B級ライセンス、キッズリーダー、保健体育教員免許、特別支援教員免許
取材・文 鈴木智之

