11.20.2025
相手に影響を与えるポジショニングとボールの運び方!ジュニア年代でサッカーの戦術理解を高める実践的TR
サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-8~U-12年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。
前回よりENJOY FOOTBALL ACADEMY及び、FCパルティーダ新潟代表の諏訪田祐希氏による、「ボールと人がタイミングよく動き、テンポよくボールを回して、相手を崩す基本トレーニング」を紹介している。
諏訪田コーチはジュニア、ジュニアユース、2種、1種と、すべての年代の指導を経験。サッカー理解、原則を落とし込む指導に定評がある指導者だ。
前編では、パスの原則とターゲットを活用した攻撃の基本について紹介した。後編では、より実践的なポジショニングの取り方と、ゲーム形式でのトレーニングを通じて、これまで学んだ要素を統合していく過程をお届けしたい。(文・鈴木智之)
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今すぐマネしたいボール回し!これが出来れば実戦で大きく活きる
今回の動画テーマは「ボール回しの優先順位とポジショニング」。諏訪田コーチは「このトレーニングでは、ボールを動かす際の優先順位やポジショニングを意識することがポイントです。また、プレーのテンポをゆっくりから速く、速くからゆっくりと変化させることで、相手に影響を与えることを目的とします」と話し、トレーニングがスタートした。
トレーニングは「4対1のボールポゼッション」を実施。グリッド内のディフェンスにボールを奪われた場合、中と外の選手は交代。設定としては、ボールを持っている人がセンターバック、もしくはキーパーというイメージで、前に進むことを目的とする。
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諏訪田コーチは「ボールを動かすことが目的じゃなくて、前に進むことが目的のイメージでやってほしい」と強調。ポジショニングで相手の正面からズレること、パスとサポートで相手を見て何をするかを選ぶこと、フリーだったらボールを運ぶ、相手を引き付ける、仲間にプレーしやすい時間とスペースを提供することを意識させていく。
優先順位については「一番は正面、サイドのパスを受ける人は守備のラインを超えた場所で受ける。正面が難しい場合、相手がいない広いところに展開しましょう」とアドバイス。相手の動きを見ながら、最適な判断をすることを求めていった。
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技術的なアドバイスとして、諏訪田コーチは「ボールが足元に止まりすぎていると、選択肢が狭くなっちゃうので、何でもできるところに置いてほしい」と説明。
「利き足の小指の前がプレーしやすい」と具体的な位置を示し、「その瞬間にプレッシャーが来たか来ていないかを判断して、手前も出せる、奥も出せる、相手がプレッシャーに来たからブロックや逃げるという選択肢も、もてる状態で常に置いてほしい」と、ボールコントロールの質と選択肢の確保について指導した。
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コーチングの詳細はCOACH UNITED ACADEMY動画で確認してほしい。
原理原則を知る事でスムーズな攻撃展開が可能となる
最後の動画テーマは「実戦形式でのトレーニング」。諏訪田コーチは「今までトレーニングしたことを生かすゲーム形式のトレーニングです。より実戦形式の中で正しい判断や優先順位を理解しプレーすることが求められます」と説明。
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「フリーマンを加えることで攻撃側が有意な状況を作り出します。その中でどこにフリーマンがいるのか、どこにフリーなスペースがあるのかを把握し、タイミングを合わせてゴールを目指します」
トレーニングは「4対4+1フリーマン+ゴールキーパー」を実施。グリッドで4つに分けられたエリアを設定し、中央にフリーマンを配置。グリッド間の移動はOKだが、自分のエリアの場所をイメージさせながらプレーする。
諏訪田コーチは「さっきの4対1を意識してほしい。目的は、ボールを前進させること。ラインを超えたらまた4対1を作るイメージでやってみて」と、前のトレーニングとの連続性を意識させていった。
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プレーが始まると、諏訪田コーチは「ボールに関わる人は、その瞬間は1人だよ。他の5人は何にしますか? 受ける準備。あとコーチングはどう?」と問いかけ、ボールホルダー以外の選手の役割を明確にしていく。
「相手に影響を与えるために、早くいい状態作ってください」と繰り返し伝え、攻撃の優位性を作り出すことを求めた。
具体的なプレーに対しては「ラインを破れる位置を取れば、前に行けそうだよね」「角度をつけて、前向きサポート。すると2対1ができない?」といったアドバイスを送り、選手の判断を促していく。
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動画全体を通じて、選手個人の判断に加えて、グループでどうプレーするか?という部分にフォーカスしているので、戦術の基礎を植え付けたい指導者にとって、大いに参考になる動画になっている。
ぜひ動画を見て、指導のエッセンスを感じ取っていただければと思う。
【講師】諏訪田祐希/
新潟県新潟市出身。大学卒業後、出身クラブで指導を開始し、これまでにジュニア、ジュニアユース(JY)、2種、1種と、すべての年代の指導を経験。指導歴は今年で20年目を迎える。
2021年には、個人技術の向上と戦術的に賢くプレーできる選手の育成をメソッドに掲げて、「ENJOY FOOTBALL ACADEMY」を設立。
また2025年には同メソッド加え「個人の技術向上と戦術理解の実践を通じて、実力を身につける選手の育成ジュニアチーム「FCパルティーダ新潟」を立ち上げる。
2021年からは母校である東京学館新潟高校サッカー部の外部コーチも務め、高校年代の選手育成にも携わっている。
2024年には大分県やタイで出張トレーニングを実施し、多くの選手や指導者と交流を深めながらも、成長マインドセットをもち、学びを続け、日々指導に励んでいる。
資格:日本サッカー協会公認B級ライセンス、キッズリーダー、保健体育教員免許、特別支援教員免許
取材・文 鈴木智之

