06.22.2026
自分の体を自由自在に操る感覚を育てる!「身体環境」を整える、5つのセルフケア
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
今回のテーマは「筋力に依存しない動きを身につける! 器具なし・自重中心の動きづくりトレーニング」。講師を務めるのはスポーツトレーナー・フィジカルコーチ・理学療法士の中野崇氏だ。
中野氏はプロ選手を中心に様々な競技のアスリートを指導し、サッカーだけでなくプロ野球やフィギュアスケートのトップアスリートも数多く手がけている。
小学生年代では筋力を鍛えて高めることよりも、自分の体を自由自在に操る感覚を育てることが重要だ。そこで今回は特別な器具や広いスペースを必要とせず、体一つで取り組める身体操作のトレーニングを紹介してもらった。
子どもから大人まで、幅広く取り組むことのできるトレーニングは必見だ。(文・鈴木智之)

成果が出る体と出ない体を分ける「身体環境」
力まず、筋力に依存せずに動くための重要なポイント。それは「どういう状態で練習やトレーニングをするか」だ。
中野氏は、そのために必要な体の土台の状態を「身体環境」と呼ぶ。それが「呼吸、血流、関節の噛み合わせ、腱(主にアキレス腱)の弾力性」の4つだ。
中野氏によると「小学生年代では、早い子だと低学年ぐらいから身体環境が崩れ始める」という。「予防の意味も込めて、なるべく早い段階から、身体環境を整えるアプローチを取り入れてほしい」と話す。
今回は小学生年代に重要なものに絞った、5つのセルフケアの方法を紹介していく。
足趾・ふくらはぎ・アキレス腱を整える
1つ目は足趾を整える方法。足の指の動きが崩れてしまうと、足首にも影響が出て、身体全体が崩れていく。そのため、しっかりと足の指の動きを確保することが重要だという。
エクササイズは親指と人差し指を持って上下に限界まで引き伸ばし、水かきの部分に動きを入れていく。それぞれの指で20回ずつ行う。

「時間が少なくて難しい場合は、親指と人差し指の間、小指と薬指の間の2箇所を念入りにやりましょう」と中野氏。続けて、かかとを固定したまま足の甲の部分の足趾をほぐす方法も紹介。具体的な説明とやり方は、「COACH UNITED ACADEMY」動画で確認してほしい。
2つ目はふくらはぎへのアプローチ。ふくらはぎは全身の血流を良くする役割があり、固くなると、全身の血流が低下してしまう。
結果として、疲れやすくなったり、回復しにくくなったり、反応が遅れるようになるという。
方法は、ふくらはぎの真ん中に反対側のスネの骨を当てて体重をかけ、少し痛みを感じる程度でキープし、深呼吸を2、3回行うものと、皮膚を内側と外側にねじってほぐすものの2つ。

皮膚と筋肉はつながっているため、「皮膚が固まってしまうと筋肉も固まります」と、皮膚のケアも欠かさず行うよう呼びかけた。
3つ目はアキレス腱ほぐし。アキレス腱の弾力性が落ちると、それを補うためにふくらはぎを使ってしまい、ふくらはぎがごつくなったり血流に影響するという。
ここでは、後ろから圧迫し、痛い場所を見つけてポンプのように押して離す方法。横から圧迫する方法。アキレス腱の溝に指を押し当ててほぐす方法を紹介。
中野氏は「いい選手はアキレス腱がくっきりしていて、ふくらはぎの下半分が細い」と、目指すべき状態を示した。
股関節と呼吸を整えて体幹の働きを取り戻す
4つ目は股関節の状態を整えるアプローチ。片膝立ちになり、股関節のストレッチ感を感じない範囲で、まずは小さく動かして円を描くように回す。
5つ目は呼吸を深くするための体作り。呼吸が浅くなると、体幹が不安定になる。中野氏は「体幹が崩れると、腕や足でうまく力が出せなくなるため、力みの根本原因になってしまう」と注意を呼びかける。
ここではサッカーボールを使って、肩甲骨の間(背面)、胸の上部(前面)、脇(側面)に当てて、圧迫しながら深呼吸を繰り返す方法を紹介。

中野氏は「呼吸を深くし、体幹の状態を良くすることは、体幹を鍛える以上に大事」と力を込めた。
以上で前編のトレーニングは終了。中野氏は「地味な動きばかりですが、積み重ねることで確実に体は変わっていきます」と総括した。
どれも続けることで、パフォーマンスの向上に繋がることは明白なので、ぜひ個人やチームで取り入れていただければと思う。
【講師】中野崇/
大阪教育大学教育学部障害児教育学科(バイオメカニクス研究室)卒業。理学療法士。2013年にJARTAを設立し、国内外のプロアスリートへの身体操作トレーニング指導およびスポーツトレーナーの育成に携わる。イタリアのトレーナー協会であるAPFで日本人として初めて名誉会員となる。イタリアプロラグビーFiamme oroコーチを務める。また、東京2020パラリンピック競技大会ではブラインドサッカー日本代表フィジカルコーチとして選手を支えた。YouTubeをはじめとするSNSでは、プロ選手たちがパフォーマンスを高めるために使ってきたノウハウを一般の人でも実践できる形で紹介・発信している。
取材・文 鈴木智之

