08.10.2026
子どもの「まだ見ぬ才能」を引き出す! 2万人を変えた専門家が伝授する、コーチングスキル徹底解説
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
今回のテーマは「子どものまだ見ぬ才能を引き出す、指導力を最大化させるコーチングスキル」。講師はコーチングスクールを運営し、これまで2万人以上の人生やビジネスを支援してきた株式会社アウェイクの森田市郎氏だ。
そして対談相手として、埼玉県と茨城県で5カ所のサッカースクールを運営し、指導者歴22年目を迎える上田原剛氏が登壇。上田原氏はブラジルのクラブや鹿島アントラーズでの指導を経て独立し、これまでに約10万人の選手に関わり、15名以上のプロ選手を輩出してきた実績を持つ。
選手が持つ才能をいかに引き出すか。前編ではコーチングの基礎知識から、目標設定の考え方、指導者の在り方の重要性まで、詳しく紹介してもらった。(文・鈴木智之)

コーチングとティーチングの混在
前編のテーマはコーチングの基本と、選手への向き合い方について。上田原氏は現在のサッカー指導現場の現状について、次のように指摘する。

「現在の指導現場では、コーチングとティーチングが混同されている事例が多く見受けられます。ティーチングそのものをコーチングとして、認識している指導者が多いのではないかと推察しています」
上田原氏自身もかつてはサッカーの技術的な教え方ばかりを学び、行き詰まりを感じていた時期があったという。知識が増えても、それを選手に伝える能力は別物だからだ。
しかし、森田氏のスクールでコーチングを学んだことで、これまで得た知識がより伝わる形へと変化したと語る。
「自身の才能というものは、自分自身では気づきにくいものです。本人にとってはそれが当然の基準となっているからです。私の場合は仲間のフィードバックや、森田さんからコーチングを受け、対話を重ねる中で人生が変わっていきました」
目標の抽象度と効力感を高める
森田氏は、コーチングには大きく分けて2つの役割があると説明する。それは、目標の抽象度を上げることと、効力感を上げるコミュニケーションだ。
一つ目のポイントは、目標の抽象度を上げること。「自分が得点を決める」という個人の目標だけでなく、「チームを勝たせる」あるいは「他のメンバーを導くリーダーになる」といった目的を持つことの重要性を森田氏は説く。
「物事を自分ごととして捉える範囲をいかに広げていくか。それこそが我々コーチの目指す地点です。単独の目標は達成された瞬間に熱量が低下する傾向にあります。しかし、目標の抽象度を上げることで、ビジョンや目的に昇華されます。そこから逆算して日々の行動に落とし込むことで、情熱を持って取り組むことが可能になるのです」
二つ目のポイントである効力感とは、未来の目標に対する確信感のこと。
瞬間的なモチベーションは時間とともに低下しやすいが「その目標を達成しているのが、当然の自分である」という確信を持つことで、脳の機能が働き、自然と結果に近づいていくのだという。
上田原氏は、小学生に対して夏までの目標設定を行った際の実例を挙げる。
「以前、ある選手が関東大会優勝という目標を掲げました。そこで関東大会で優勝している自分とはどのような人物かという、外側と内側の双方からゴール設定をした結果、彼のやる気が大きく向上しました。アプローチや心の在り方といった要素は、伝え方を工夫すれば、小学生であっても十分に理解できることがわかりました」
選手を勇気づける言葉がけ
指導においては、行動や成果を生み出す土台となる心の状態、つまり在り方が非常に重要になる。森田氏は「人の意識には順番があり、まずは心の状態である在り方があり、それが行動につながり、最終的な成果へと結びつく」と語る。

「指導者の役割は、行動と成果の大部分を占めるとされる在り方の課題を改善し、そこに勇気づけを行うことです。選手自身が『自分にはできる』という方向性と勇気を獲得できるように支援する。そのような関わり方をすることが、最も効果的に行動と成果に変化をもたらします」
上田原氏自身、15歳の時に憧れのジーコ氏から直接かけられた言葉が、30年経った今でも挑戦への勇気につながっているという。
「君にはプロになる可能性がある。ジーコの一言によって、私は一生分の勇気をもらいました。だからこそ、今後は私自身が選手たちにとってそのような存在になれるよう、選手たちと向き合っています」
コーチングの詳細や、現場で選手の在り方を変えるためのヒントを知りたい方は、ぜひ「COACH UNITED ACADEMY」動画で全容を確認してほしい。きっと選手を見る新たな視点が加わるはずだ。
次回の後編では、コーチングの前提を踏まえて、具体的なやり方や声かけをどのように変えていくかを解説する。
【講師】森田市郎/
23歳の時に親友の自殺未遂を機にコーチングと出会い、「人の可能性を引き出す関わり方」を探究し始める。2017年にコーチ・講師として独立後、2,000名以上に個人コーチングを提供。現在はプロコーチ育成、セミナー講師、組織コーチとして全国で活動し、上場企業からベンチャー企業まで人材育成・組織開発を支援。小学校・中学校・高校・大学でもコーチングの授業を行う。コーチ経験13年、育成プロコーチ数700名、セミナー・セッション参加者は累計2万人以上。三児の父としても、子どもの"まだ見ぬ才能"を引き出す関わり方を伝えている。
取材・文 鈴木智之

