11.18.2018
スピードUPのカギは足ではなく股関節!自宅でもできる、切り返しを速くするトレーニング
お子さんのサッカーを見ていて、ドリブルの切り返しやディフェンスの方向転換をするときに、なんだか動きが遅いように見えることはありませんか。よーいドンなら遅くないのになぜだろう、と思う親御さんもいるのではないでしょうか。
サッカーで素早い動きをするのに重要なのは「股関節」だとアスレティック・トレーナーの松井真弥さんは言います。これまで、ジュニア年代の体幹トレーニングが必要かどうかのお話や、イメージした通りに身体を動かすためのトレーニングをご紹介してきましたが、今回はスピードアップにつながる身体の動かし方をお送りします。(取材・文:原山裕平)
※サカイク2017年11月28日掲載記事より転載
スペインの名門エスパニョールのアカデミーで10年に渡ってトレーナーを務め、ベガルタ仙台のトップチームでも同職を担った経験のある松井さんに、前回は身体の動きをスムースにして素早い動きを可能にするための骨盤の可動域の広げ方と背中をほぐすトレーニングを教えていただきました。
今回は股関節の動きをスムースにするエクササイズを教えていただいたので、動画を交えてご紹介します。
■股関節の動きをスムーズにする
骨盤、背骨の動きに加え、股関節の動きも大切な役割を担います。プレーのスピードを向上させるには、足を鍛えるのではなく、股関節の可動域を広げることこそが大事だと、松井さんは話してくれました。
股関節の動きで重要なのは、大腿骨と接地する球体状の部分が、ベアリングのような役割を果たすこと。そのためには股関節が、大腿骨に上手くはまらなければいけません。
それを確認する動きがあります。イメージしながら実践してみてください。
まず片足を上げて、上げた足の方向に身体をひねります。次に逆足でも同じ動作を行ないます。その際に、ふらついてしまう場合は、上手くはまっていない証拠です。まずは、この動作を繰り返し行い、はまっている感覚を身に付けましょう。
次に股関節をベアリングのように動かすためのトレーニングです。
床に座り、膝を立て、その状態で片足の膝の内側を床に付くように倒します。右、左と交互に倒す動きを繰り返すことで、股間節の可動域が広がります。
股関節の動きもまた、姿勢の良し悪しに左右されるそうです。姿勢が悪いと骨盤が下がってしまいます。その状態で股関節を動かそうとしても、前には動かせるものの、後ろには上手く動かせないのです。
これは猫背の状態だと、肩を上手く回せないことと同じ原理で、身体はひとつにつながっているものである以上、一方の状態が悪ければ、他の部分にも影響を及ぼしてしまうのだと松井さんは教えてくれました。
ヨーロッパの人たちは先天的に骨盤が前傾している為、姿勢が良く、股関節の可動域も日本人と比べて広い人が多いそうです。したがって意識的に骨盤を前に傾けることが、股関節の可動域を広げることにつながるのです。
※字幕と動きが重なって足の動きが見えにくくなる可能性があります。恐れ入りますが、字幕を非表示にしていただくなどのご対応をしていただけますようお願いします。
■股関節の動きが良くなるとヒザ痛軽減にも
股関節は球関節のため、あらゆる方向に可動域を持ちます。ボールのような形状の骨がスムースに回転することで方向転換や切り返しがより素早く行えるようになるのです。
また、骨盤を立てて股関節を可動させることで、連動した筋肉にも影響があります。腰痛の原因でもある大腰筋は、インナーマッスルでもあり、正しく股関節を使うことで鍛えられます。また、骨盤底筋や内転筋、ハムストリング(太もも裏の大きな筋肉)などがきちんと機能することで股関節が安定し、ヒザへの負担が軽減するのです。
したがって、股関節の動きが良くなると、ジュニア年代も悩まされる「ヒザの痛み」の予防にもなります。
松井さんは、日本の方がスペインに比べヒザの痛みを抱える子が多い印象だと言います。これも良い姿勢が身についていない事や股関節がうまく使えていないことに原因があるのです。
お子さんが「ヒザが痛い」と言い出す前に、正しい姿勢と股関節のボール(球体になっている関節部分)をスムースに動かせるようトレーニングでケガの予防に努めましょう。
ケガ・痛みなくサッカーを楽しむために、予防の知識を得てわが子の快適なサッカーライフをサポートしましょう。
取材・文 原山裕平 写真 新井賢一(U-12ジュニアワールドチャレンジ2017)