04.14.2025
ジュニア年代で身につけたい!「奪いに来る相手を恐れない勇気」を身につけ、個人で打開する力を伸ばすトレーニング
サッカーの指導が学べる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、強豪チームや豊富な実績を持つ指導者によるトレーニング動画や、指導していく中で必見な理論や情報を配信中だ。
今回のテーマは「個を磨き、サッカー観を高める! ボールを運ぶ力を伸ばすトレーニング」。ジュニア年代に必要不可欠な、相手を恐れず、個人で局面を打開する力を伸ばす方法について、茨城県つくば市を中心に活動するFC COLORZの菊池建コーチによるトレーニングを紹介したい。
菊池コーチによると、ボールを運ぶ力を鍛える上で重要なポイントは2つあるという。1つは「何のために運ぶのか」という目的を持たせること。もう1つは「奪いに来る相手を恐れない勇気」を持たせることだ。これらを踏まえたトレーニングを通じて、より実践的なドリブル技術と判断力を養っていく。(文・鈴木智之)
相手の逆をとることを意識する
COACH UNITED ACADEMY動画、前編のテーマは「相手を恐れず、個人で局面を打開する力を伸ばす方法」。
最初のウォーミングアップでは「ドリブルドリル」を実施。マーカー間を2人の選手が同時にスタートし、出会う寸前でフェイントを仕掛けて相手をかわしていく。菊池コーチは「自分からフェイントを仕掛け、相手をずらしていくこと」を意識させていった。
また「ボールを見ないで、相手がどっちに行きそうかを見てごらん」と声をかけ、相手の動きを見る力も養っていく。
加えて「フェイントを仕掛けながら、相手の逆をとれるように」「見るものはボールじゃないよ」と、状況を観ることを促し、「相手をかわした後のドリブルが大事」と、相手を抜いた後にスピードを上げることの重要性も強調していた。
ほかに、シザースのポイントである「パスを出すふりをして止めること」や「相手の逆をとるためにどこを見るか」なども実演をしているので、詳細は「COACH UNITED ACADEMY」の動画で確認してほしい。

ワンタッチごとに蹴る準備をする
続いては、フェイントで相手をかわした後、逆サイドへのパスを加えた設定へと発展。
菊池コーチは「実際の試合だと、相手をかわしてからじゃないと、パスを出してはいけないわけではない」と指摘し、ドリブルのワンタッチごとに蹴る準備をしながら、いつでもパスを出せる状態を保つことの重要性を教えていく。
次に「ワンタッチごとにキックができる持ち方になってる?」と問いかけ、「いつでも出せるような持ち方をしよう」「いつパスを出すか、バレないように」といった声掛けを通じて、相手に読まれない駆け引きを磨いていった。
また「おへその向きと違う方にパスを出す」と指示し、体の向きでフェイントをかける技術も教えていた。
動画では選手のプレーを見ながら、臨機応変にルールを変えていく様子も収録されている。必要なトレーニングを、どのタイミングで提示するのかという部分に注目すると、トレーニングを実践する際の参考になるはずだ。
1対2の状況で判断力と突破力を磨く
前編最後のトレーニングは、より難易度の高い「1対2」の状況で突破力を鍛えていく。菊池コーチは「相手が2人いるってことは、ドリブルのコースは何がある?」と問いかけ、「間」と「外」の選択肢があることを確認する。
さらに「ボールを運びながら、どこから進入できるか、しっかり見よう」と声をかけ「間が閉じてるなら外から」「相手2人の位置を意図的に広げさせて間」など、状況を判断することの重要性を説いていく。
また、相手に触られる距離で突破を仕掛けた選手に対して、「相手にぶつかる寸前でずらす」「相手の足がどこまで来るかを予測して、ぶつからないところから仕掛ける」とアドバイスを送っていった。
その他にも、プレーのディテールを丁寧に説明しているので、全容は動画で確認していただければと思う。
以上でトレーニングは終了。菊池コーチは「ドリブルドリルで大切なことは、前から向かってくる相手がどちらに行きそうか、見極めることです。フェイントを仕掛ける中で、相手の重心の傾きを見ることができるよう、ボールを見ないでドリブルすることを意識させました」「1対2では、間の突破を意識させること、どこに突破のコースがあるのか、選手が気づけることが大切です」と総括した。
後編では、グループでのトレーニングとして、3対3と7対7のミニゲームを行い、より実戦に近い形で運ぶ力を磨いていく。
【講師】菊池建/
1997年生まれ。筑波大学を卒業後、FC COLORZで指導者としてのキャリアをスタート。魅力ある選手、チームの育成を信条に指導に携わっている。
取材・文 鈴木智之