04.21.2025
個を磨き、サッカー観を高める! 実戦形式で身につける「ボールを運び、ゴールを奪う方法」
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前回より「個を磨き、サッカー観を高める! ボールを運ぶ力を伸ばすトレーニング」をテーマに、茨城県筑波市を中心に活動するFC COLORZの菊池建コーチによるトレーニングを公開している。
前編では「相手を恐れず、個人で局面を打開する力を伸ばす方法」として、ドリブルドリルや1対2の突破などのトレーニングを紹介した。
後編では「ボールを運ぶ目的を理解し、ゴールへ向う力を伸ばす」をテーマに、より実戦に近い形でボールを運ぶ力を磨くため、3対3と7対7のミニゲームを通じたトレーニングを展開していく。(文・鈴木智之)
3対3で空間認識能力を養う
後編では、3対3のミニゲームを実施。ラインゴールをドリブル突破で目指すというルールで行われた。
菊池コーチは「3対3なので、1枚抜いたらチャンスになる。相手を抜けなくてもボールを運んでいったら、カバーの人はどうなる?」と問いかけ、「自分がドリブルすることで、周りのスペースがどうなっていくかを感じながらやろう」と声をかけ、グループでプレーすることへの理解を深めるようにうながしていった。
ほかに、トレーニングを見ながら「完全に相手を抜けなくても、ボールを運んだら変わるものがあるんじゃない?」「相手を1枚剥がしたら、人数的に有利になるからチャンス」など、状況の変化に気づくためのヒントを与えながら、選手たちの気づきを引き出していった。
また、ボールを運ぶことで生まれるチャンスにも言及。「目の前の相手を抜けなくても、相手に取られないようにボールを運んだら、どこにスペースが空いた?」と問いかけ、「カバーの選手を食いつかせて、味方が動いてくれたらスペースが空く」と説明。
「自分はどこから進めるか。ボールを運んだ時に、周りの人がどこから進めるかを感じて動いてあげよう」と、ボールを持たない選手の動きの重要性も強調していった。

7対7のミニゲームで実践力を磨く
後編の最後は7対7のミニゲームを実施。ここまでのトレーニングで身につけた「運ぶ力」を実戦に近い形で発揮する場となった。
菊池コーチは「次の場面がどうなりそうか。ピンチになりそうか、チャンスになりそうか。そこの予測を持ってプレーしよう」と話し、トレーニングがスタートした。
ここでは「ドリブルでボールを運んだら、この先の状況はどうなる? 相手の目線はどうなる?」と選手たちに投げかけ、「相手が行く先を止めようとしたら、どこが開く?」と、自分の動きが相手に与える影響を考えさせていく。
また「自分が向かった先を相手は守る。そうなった時に逆を使えたり、周りの選手がどこのスペースを使えるかを感じよう」とアドバイス。
「相手がボールの動きに反応して、目線も体の向きも揃っている状況で、同じサイドを攻めるのではなく、相手の逆をとって、自分から逆に展開できるように」とデモンストレーション。「ボールを動かして、相手が何を見ているか。そこをちゃんと観察しよう」と、アドバイスを送っていった。
個を磨くことで選手のサッカー観が高まる
以上でトレーニングは終了。菊池コーチは「3対3では進行方向があるため、どこから前進できるかを分かっておくことが大切です。さらに、スペースを探すだけでなく、自分で剥がして侵入できるスペースを作ることを意識させました」と説明。
7対7については「最初からグループで打開することではなく、個でどこまで局面を有利にできるか。たくさんボールに触ってチャレンジしてほしいと考えています」と狙いを明かした。
最後に「今回紹介したトレーニングは、ボールを運ぶ力を鍛えること、そして選手の個の力を伸ばすことを目的としています。個を磨くことでサッカー観が高まり、よりサッカーの楽しさを感じられると思います」と締めくくった。
前後編を通して紹介されたトレーニングメニューは、ジュニア年代の選手たちに不可欠な「ボールを運ぶ力」を段階的に鍛えるものとなっている。個人の技術を高めながら、チーム全体の戦術理解も深めていく指導法は、多くの指導者にとって参考になるはずだ。
ぜひ「COACH UNITED ACADEMY」の動画を見て、全容を理解し、トレーニングに取り入れていただければと思う。
【講師】菊池建/
1997年生まれ。筑波大学を卒業後、FC COLORZで指導者としてのキャリアをスタート。魅力ある選手、チームの育成を信条に指導に携わっている。
取材・文 鈴木智之