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コロンビアには最大限の注意を――ランデル・エルナンデスの対戦国分析(3)

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文/ランデル・エルナンデス 
翻訳/小澤一郎

<<コートジボワールは、明確なスタイルを持たない――ランデル・エルナンデスの対戦国分析(1)<<

<<ギリシャは、最後のステージまで闘える力を持っている――ランデル・エルナンデスの対戦国分析(2)<<

【特徴】
 コロンビアは現実的で多彩なプレーを展開するチームであり、南米予選においては非常に優秀な結果を残した上で出場権を獲得しました。予選トータルで14ゴールを挙げており、グループCの中で日本代表が最大限の注意を払わなければならない対戦相手と言えるでしょう。

 コロンビアはボールを保持することを好み、ボールを簡単に失わず、攻守共にバランスの取れた素晴らしいチームです。システムは4-4-2が最も多く採用されており、チームは常に適切な距離感を保ったポジションをとっているので、ボールを失った際のプレッシングやカバーリングが機能しやすく、ボールを奪い返した時には相手チームを混乱させるいような多彩なパスコースを用意しています。
 
 またスニガ(ナポリ)、アルメロ(ウェストハム)の両サイドバックが非常に攻撃的なため、展開に応じてシステムを3―5―2に変化させます。逆に言うと、相手チームはこの3バック時のコロンビアの守備の隙、スペースを突いた攻撃を考えるべきでしょう。

 コロンビアの攻撃陣について話す時、ファルカオ抜きに語ることはできませんが、残念ながら怪我の回復が間に合わず最終メンバーから外れてしまいました。ファルカオ以外にも警戒すべきストライカーを複数名揃えているコロンビアですが、やはり彼の不在は大きな痛手であり、対戦相手にとっては大きなアドバンテージとなるでしょう。
 
 とはいえ、総評としてコロンビアは多くの可能性と様々な戦略を兼ね備え、ボールポゼッションをしながらもダイナミックさを失わない攻撃ができるチームであり、攻守共にレベルが高く、間違いなくグループCの中では最も完成された代表チームと言うことができます。

【監督】
ホセ・ペケルマン

 言わずと知れた育成のスペシャリストで、アルゼンチンのユース代表を率いて3度のワールドユース優勝を果たしています。2012年1月に監督に就任して以降、コロンビア代表を着実に強化し、選手たちも自信を持ってプレーしています。絶対的なエースのファルカオと前線の選手層の厚みを最大限活かすためにもボランチより後の守備バランスを整え、今やチームは勝利から逆算した戦い方を着実に遂行できるようになっています。

【日本の勝ち方】
 コロンビアを倒すことは一番難しいですが、どのチームも長所と短所は持っているので、その2つを分析した上で、日本代表が勝利するためにどう戦えばよいかを考えたいと思います。

(1)高い位置からのプレッシング
 コロンビアの攻撃、ポゼッションにおいて最も警戒すべき点は、前線で相手のライン間に入る選手に対する縦パスの精度が高いことです。しかしながら、コロンビアのセンターバックに限って見れば、プレッシャーをかけられた時のビルドアップ、ボールを運ぶプレーが得意ではありません。そのためサパタ(ミラン)、ジェペス(アタランタ)のセンターバック2人にプレッシャーをかけながら、中央への縦パスのコースを消すような守備を心がける必要があります。
 
 また、センターバックがショートパスで近くのボランチにボールを渡すような展開を防げば、彼らは背後から前線へめがけてロングパスを蹴ってきます。ということは、日本は引いて守るのではなく、コロンビアにボールを持たれる時間があっても高い位置からプレッシングをかけなければいけません。
 
 逆に、コロンビアが日本の前線からのプレッシングをかいくぐった場合、彼らはパスのテンポを一段階上げてきますし、前線にはミドルシュートも得意なグアリン(インテル)、グディエレス(リーベル)といった世界でもトップレベルのフォワードが控えていますからできる限り押し込まれる展開は避けたいところです。

(2)攻撃的なサイドバックの裏のスペース活用
 スタート時のポジションは4-4-2を採用してくるでしょうが、スニガ、アルメロ(あるいはクワドラード)のサイドバックが攻め上がった際にはシステムが3-5-2に変形します。よって、日本としては両サイドハーフの選手が彼らとのマッチアップを制して、特にサイドバックの裏のスペースを使うことで攻撃的な両サイドバックのポジションと意識を牽制したいところです。
 
 また、意図的にセンターフォワード、トップ下の選手がサイドバックの背後のスペースに流れるなどして、コロンビアのサイドバックが高いポジショニングを躊躇する展開に持ち込みたいところです。日本の攻撃陣とコロンビアのサイドバックの攻防、マッチアップがこの試合での大きなポイントです。日本はサイドにおいて数的優位を作り出すことで、コロンビアを脅かすことができます。2列目に3人の攻撃的MFを配置する日本の4-2-3-1システムはサイドチェンジからサイドへの侵入を容易にするため、特にコロンビア戦においては有効なシステムになると考えます。

(3)横一列になった時のライン間のスペース利用
 カルロス・サンチェス(エルチェ)、アベル・アギラール(トゥールーズ)共に活動量が多く、守備能力も高いボランチですが、時折ボランチのラインを中心とした中盤のラインが一直線となり、バランスが取れていない状態が生まれます。日本にとってコロンビアの中盤のラインが横一列になった時はチャンスで、最終ラインと中盤のラインのライン間のスペースを利用すべく2列目の選手がポジショニングを取り、そこでパスを受ければチャンスを作ることができるでしょう。

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■ランデル・エルナンデス
 1976年3月6日、スペイン・ビルバオ生まれ。育成年代の指導に20年以上携わる。2006年、「アスレチック・ビルバオ主催キャンプ」でU-12からU-14の日本人を指導、2007年、2010年に日本でクリニック、指導者講習会を開催。取得資格は「弁護士資格」と「スペインサッカー協会公認上級ライセンス(LEVEL 3)」。