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世界で2番目に誇るべき日本の組織能力/JAPANの現在地

7月のCOACH UNITED ACADEMYは「JAPANの現在地」をテーマに、海外を舞台に戦う指導者から見た日本の現状を検証する。前半は「ベトナムから見たJAPANの座標」と題し、アジアの新興国で代表チームを率いるという難しいミッションに挑みながら、着実に結果を残しているベトナム代表監督の三浦俊也氏と、「チームビルディング」の第一人者である福富信也氏の対談を公開中だ。今回は本編の中から、「ベトナムと日本」の差から見る「日本と世界のトップ」の距離感について、三浦監督の見解を紹介する。(取材・文/鈴木智之 写真/Hayato.D

>>三浦俊也氏と福富信也氏の対談は7月13日(月)COACH UNITED ACADEMYで公開! 入会はコチラ<<

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<<日本が目指すべき「ひとつ上の」技術レベル

■「野球も相撲もなくてサッカーだけ」のベトナムの可能性

ベトナム代表監督を務める三浦俊也氏と、東京電機大学サッカー部監督・福富信也氏による特別対談。後編のテーマは「人材育成」について。日本サッカーの育成環境はアジアのトップレベルにあるが、ベトナムを始め、ASEAN諸国の育成は一般的に「日本の30年前の状態」と言われている。

これに対し日本サッカー協会は、アジア全体のレベルアップを考えて各国に指導者を送り込み、代表チームを強化するとともに指導者育成にも目を向けている。三浦監督はJFAの指導者派遣事業の一環でベトナムへ渡ったわけではないが、ベトナムからすると「憧れの対象である日本から来た指導者」であることは間違いない。

三浦氏がベトナムの代表監督に就任して1年が過ぎた。福富氏は「三浦さんが監督に就任したことで、ベトナムの指導者が刺激を受けて変わっていく、あるいは育成年代の選手が変わってきたと感じることはありますか?」と、育成年代の視点から問いを投げかける。

「もちろん、そうなってほしいなとは思いますし、私としてもそのあたりを発信したいと思っています。いまのところメディアに載るのは、試合の結果に関する報道が中心ですから。その点、私は代表監督なので発信力はあると思うんですね。影響力も発揮できるので、少しでもベトナムの指導者のレベルアップにつなげることができればと思っています」(三浦監督)

この30年で日本サッカーのレベルが上がったのは、指導者養成の仕組みを作り、トレセンを含めた環境を整備したことも要因のひとつだ。ベトナムは日本ほど組織が整備されてはいないが、今後、強化していく上で、育成年代の整備は避けて通ることができない問題である。二人の話題は「サッカーを取り巻く環境」へと進んでいく。

福富:フル代表の監督は、完成された年代の選手を扱うわけですよね。世界と戦う上で、最後は個のクオリティが必要だと思います。個の力を高めるために、ベトナムの育成年代の整備、強化を進めていく上で、何が大切だと考えていますか?

三浦:ひとつはチーム数を増やしていくことでしょうね。グラウンドは各地にあるのですが、ベトナムのアンダー世代はトーナメントの大会が多く、U-18カテゴリーでもリーグ戦が少ないのが現状です。ただベトナムのサッカー熱は日本以上。日本で言うならば、野球や相撲がなくて、サッカーだけといった状況です。誰もがサッカーに取り組む環境はあるので、あとはどうやって組織を作るか。指導者養成まではできていないので、そこに手を付けることができれば、いまよりもっとよい選手が生まれてくると思います。

福富:いま、三浦さんは代表監督という国の頂点で活躍されていますが、草の根レベルで日本人の指導者がベトナムを始め、アジアの国に行く余地はありますか?

三浦:報酬や生活の問題などありますが、可能性はあると思います。これから海外に出るコーチに求められるのは、日本語以外に最低1ヵ国語を話すことができる能力でしょうね。実際にプロのレベルでは、テクニカルエリアに一人しか出ることができません。つまり、監督に通訳が付かないのが当たり前なんですよね。モウリーニョは数ヵ国語を話しますし、グァルディオラもドイツ語を話します。僕がドイツに数年いてわかったのは、語学も監督のひとつの能力なんだということ。そこが、まだ日本人は弱いような気がします。

福富:海外に出ていくための準備として、言葉が必要なんですね。他に海外で指導をする上での心構えはありますか?

三浦:日本と比べて、『すべてがうまく運ぶわけではない』という前提で行かなければいけないですね。私もベトナムに行って、試合や強化のスケジュールが簡単に変わることに驚きました。ただ、外国人監督のアドバンテージはあると思います。東南アジアの人たちは日本人に対するリスペクトがありますし、国に対しての貢献もあるので信頼されていますよね。

■選手の目標の高さが国のサッカーレベルを決める

ベトナムという"外国"にいることで、日本のいまが客観的に見えるのではないか。それが、今回の対談を企画した主旨のひとつでもある。ベトナムの育成年代を含めた環境整備の未成熟な部分、スケジュールが変わりやすい現状――それら「組織として」のあり方を見ると、「ベトナムと日本」そして「日本と世界のトップ」を比べたときに、日本の優位性が見て取れる。三浦監督は日本の長所について次のように語る。

「日本のJリーグは組織化されていて、世界に誇れるリーグだと思います。ファイナンシャル・フェアプレーの姿勢も含めて、これ以上の組織があるのはドイツぐらいですよね。そして日本の選手に目を向けると、みんな目標が高い。ほとんどの選手がヨーロッパのビッグクラブでプレーしたいという志を持っています。ベトナムの選手はまだそのレベルにはおらず、『ASEANの大会で優勝したい』といった目標に留まっています。日本はかつて中田英寿がペルージャやローマで活躍したときに『日本人でもできるんだ』と思うことができましたよね。韓国にはパク・チソンがいて、マンチェスター・ユナイテッドで活躍しました。ベトナムにもそのような才能が出てくれば、選手の意識も変わると思います」

世界のトップレベルとの距離は、そこを飛び越えていくたったひとりの選手の出現によって一気に近づくことがある。一方で、なかなか壁を破れないこともある。次回の最終回では、日本とベトナム、両国のサッカーのレベルを引き上げるために必要なことについて、総括と提言をお届けしたい。

三浦俊也(みうら・としや)
1963年7月16日生まれ。釜石南高、駒澤大卒。指導者を目指してドイツにコーチ留学し、ドイツA級ライセンスを取得。帰国後に日本のS級ライセンスも取得した。JFL時代の仙台、水戸を皮切りに、J2の大宮アルディージャ、コンサドーレ札幌で指揮を執り、組織的なサッカーでJ1への昇格に貢献。その後もJ1のヴィッセル神戸やヴァンフォーレ甲府で監督を歴任した後、2014年5月からベトナム代表監督に就任、12月の東南アジア選手権(SUZUKI CUP)ではチームをベスト4へと導いた。リオデジャネイロ五輪を目指すU-22代表監督も兼任する。

Jリーグのレベルをどうやって「世界」に近づけるか>>

福富信也(ふくとみ・しんや)
1980年3月23日生まれ。信州大学大学院教育学研修科修了。横浜F・マリノス育成コーチを経て東京電機大学理工学部へ。専任教員として教鞭を執る傍ら、サッカー部監督として指導の現場に立つ。JFA公認指導者S級ライセンスで講義を担当している他、Jリーグから育成年代まで幅広く指導するチームビルディング指導の第一人者。サッカーのみならず、スポーツ全般、幼~高までの教育分野、社会人などへの講演、研修、セミナーなど多数。著書に『『個』を生かすチームビルディング』がある。2015年5月、組織論を主とした指導、研修、講演や執筆などの事業を行なう株式会社Humanergyを設立。7月18日には、講演「困難を乗り越えたチームが強くなる!」を主催。申し込みはこちらから。

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