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バルセロナはGKの何を見ているのか/Jリーグ育成年代GKコーチ研修会レポート(2)

7月初旬、日本のGKのレベルアップを目指すJリーグが、FCバルセロナの育成組織GKダイレクターのリカルド・シガラ氏を招聘し、Jクラブのアカデミー指導者(GKコーチ)に向けた講習会を行なった。バルセロナのGK育成のシステム、哲学、トレーニングについて語り尽くされた中から、今回は「GKのスカウト」について紹介したい。(取材・文・写真/鈴木智之)

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<<レポート1:バルセロナに学ぶGK育成の視点

■選手を獲得する一番良いタイミングは15歳

FCバルセロナはスペイン全土にスカウトを置いているが、12歳まではカタルーニャ州内で選手を発掘する。ここでは年間を通じたリーグ戦が行なわれており、バルセロナが対戦する相手のGKに加えて、対戦しないチームの選手(GKを含む)をチェックするためにスカウトを派遣している。GKをスカウトするために、重視している部分はどこなのか。シガラ氏が説明する。

「もっとも大切なのは身長です。18~19歳になったときに、最低185cmを求めます。ただ、これを見極めるのはとても難しいのです。身長の伸びを予測するために、選手の手首のレントゲンを撮ります。ですが、12歳の段階で100%予測できるわけではありません。また、両親の身長も見ます。私の経験上、母親の身長が子どもの成長に影響しています」

トレーニングメソッドが確立されているFCバルセロナであっても、どうすることもできないのが身長だ。シガラ氏は「バルセロナのU-12のGKは、カタルーニャ州で一番レベルの高いGK」と言うが、過去にU-12からバルサに所属し、トップチームまで上がったGKはひとりもいないという。「FCバルセロナのトップチームのGKは、世界で5本の指に入るGKである必要がある」(シガラ氏)という、限りなく高いハードルがあることも事実だが、それだけU-12年代というのは不確定要素が多い年代なのだ。

13~15歳のカテゴリーは、スペイン全土でスカウティングする。各州に選手スカウトを配置し、「マドリードに良いGKがいると聞けば、私がまず見に行き、この年代を担当しているコーチも見に行く。そこで気に入れば練習に参加してもらう」(シガラ氏)という。ただし、プロクラブに所属している選手は、練習に呼ぶことができない。練習に参加させることさえできれば、選手のパーソナリティや細かな手と足の技術、判断のレベルなどを見極めることができるのだが、そうもいかないため獲得には慎重を期すという。

「選手を獲る一番良いタイミングは15歳です。思春期、成長期も終わるので、パーソナリティも安定し始めますし、将来的な身長の伸びもある程度予想することができます。それに15歳なら、どのクラブの選手でも取りに行くことが可能です。しかしこれが16歳になると、プロクラブの選手はほぼ全員がプロ契約しているので移籍金が発生します。この年代の選手を、お金を払ってまで獲りに行くことはほとんどありません」

■DF・MF・FWの仕事を知り、サッカーを知ること

スカウトする際のチェックポイントは多岐に渡る。最優先事項は身長の伸びだが、次にスピード、動きの速さなどのフィジカル面。さらには考える速さも重要だという。プレーの状況を読めているのか、ゲームを理解できているのか、速く決断できているのか、チームの中でリーダーとして存在感を発揮しているのか...。GKは守備のリーダーでなければいけないため、ゲームを理解する力、チームメイトをまとめるリーダーシップが求められるのだ。シガラ氏が言う。

「アヤックスに移籍したアンドレ・オナナは、15歳のときにバルセロナにやって来ました。彼はピッチに出たとき、チームメイトにアップの指示を出していました。その姿はまるで指導者のようでした。それを見るだけで、彼のパーソナリティがわかります。チームでキャプテンを務めているというのも良い目印です。ピッチ内で強い声を出し、良い指示を適切なジェスチャーで出せているか。それも重要です」

FCバルセロナのGKに求められることは、ゴールを守る=「ゴールディフェンス」だけではない。攻撃・守備の一員として、プレーに参加することも重要だ。練習参加にこぎつけたとしても、そう簡単に「バルサが求めるGKのプレー」ができるわけではない。シガラ氏が説明する。

「スペインでは90%のチームが、バルサのようにGKを使ってビルドアップをしたり、ボールを動かしたりはしません。GKのところにボールが入ると、一番前のラインをめがけてボールを蹴ります。そこに判断はなく、どの選手がヘディングが強いか? を判断するだけです。しかし、我々のGKは最終ライン、中盤、前線と10人の中から最適な選択肢を選び、ボールを動かす必要があります。プレーの状況を見ながら、チームを落ち着かせるのか。すぐに攻撃に出るのか。常にプレーを読み、理解しながら、判断しなければいけないのです。GKはDF、MF、FWの仕事を知り、サッカーを知ることが必要です。これらを早い段階で理解することが、そこから先の育成に必ず役に立つのです」

2年前、15歳で獲得したあるGKは足元の技術があり、キックの精度も高いのだが、「いつ・どこへパスを出すのか」といった判断の向上に時間がかかり、今年17歳になったという。「バルサBに入る19歳まで、あと2年でレベルの高い判断ができるようにならなければいけない。これは難しいことなので時間がかかる」(シガラ氏)という。

バルサのGKの育成は、獲得した選手を『バルサメソッド』で磨いていくことから始まる。ゴールディフェンスのベース部分に加えて、足元の技術、動き方、攻撃のスタートとなるパスの配球、DFラインの統率や連携などを、19歳の時点で完成に近づけるためにトレーニングを重ねていく。これこそ、GKの重要性を熟知しているがゆえの育成モデルであると言えるだろう。

バルセロナがGKを育てる4つの段階>>

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