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選手の自発性を生み出す声掛け/ゲーム時における判断を求める問いかけ術②

COACH UNITED ACADEMY 4月後半のテーマは「ゲーム時における、判断を求める問いかけ術」。ドイツで14年間の指導経験を持ち、ドイツサッカー協会より、DFB・エリート・ユース・ライセンスを取得した坂本健二氏を講師にお届けする。前編に続き、後編でも、坂本氏の「問いかけを通じて、選手自身が考えてプレーするように仕向けていく」という指導スタイルを紹介したい。(文・鈴木智之)

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■「問いかけ」という絶妙なコーチング術

映像後編、最初のトレーニングは「8対4」だ。ルールとしては、フィールドが隣接して2面あり、プレーは常に1面だけで行われる。その1面のコートでは8対4のボールポゼッションを行う。8人の選手たちはチーム内でボールを回し、4人の選手たちはボール奪取を狙う。もし4人の選手の誰かがボールを奪ったら、プレーしていないコートに居る味方4人のうちの1人へパスをする。4人の選手たちはボールと共にもう一つのコートへ移動し、今度は8人のグループとなってボールキープをする。ボールを奪われるまで8人だったグループから4人だけが隣のコートへ移動でき、今度はボール奪取を狙うというもの。

このトレーニングの狙いは「ボールを奪ったあと、瞬時に離れたスペースに居る味方を見つけ、確実にボールを渡すことを身につけること」。試合中、相手からボールを奪い、攻撃へと素早く移行するための意識づけをするための設定になっている。

攻撃側(ボール保持側)の選手が意識したいのは、ボールを持っている選手に対して、パスコースを作る「サポート」の動き。ボール保持者の近くにいる味方と遠くにいる味方が適切な距離と角度をとり、ボールの位置とボール保持者の状況に応じて、パスを受けられるポジショニングをとり続けていく。

坂本氏はトレーニング中、ある現象に気が付き、選手にフリーズをかけた。ボールを持っている選手に対して、味方の選手から「パスをくれ!」という呼びかけがなかったからだ。それについて、「近くにいるケイタがボールを欲しくない理由はある?」「声を出さない理由がわかる人?」と選手に質問をして、理由を問いかけるとともに、考えてプレーするように仕向けていく。

興味深かったのが、坂本氏がある選手に「どう動けばいい?」と質問したとき、その選手が答えられなければ「誰か、教えてあげて?」と、他の選手にベクトルを向けていたこと。坂本氏自身が正解を言わず「質問によって、選手自身に考えさせて、正解にたどり着くように導く」というスタンスは、指導者にとって大いに参考になるだろう。

坂本氏はトレーニングのコンセプトとコーチングの狙いを、次のように説明する。

「今回のテーマは『守備から攻撃へ、早い攻守の切り替え』です。それを実現するにあたって、まず学ばなければいけないのが、離れた所にいるフリーの味方の存在をいち早く見つけ出し、そこへ確実にボールを送ると同時に、グループで攻め上がっていくことです。一番の基点は『フリーの味方を見つけること』で、8対4でボールを奪った場合、相手は自分たちの倍にあたる8人もいます。そのため、奪った瞬間はプレッシャーがかなり強い状況です。きつい状況下に置かれながらも、隣りのコートに立つフリーの味方を見つけなければなりません。この練習では4人もフリーの味方が存在しますし、いずれも相手選手が付いていなくて、プレッシャーを受けていません。ボールを奪取した選手がフリーの選手を見つけることができさえすれば、あとは正確なボールを送るだけです。その部分に難しさはありません。つまりこの練習のポイントは『ボールを奪取したあとに、顔を上げて、少し遠い所に目を配る』ことにあります」
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■適当なプレーをしないためには「意図する」ことが不可欠

ここでは、ゴールポストの横に壁役を置き、壁役にパスをして、リターンパスを受けてシュートを打つのもOKと設定されていた。ただし、壁役はワンタッチでパスを返すことしかできないので、パスを出した選手は確実にリターンパスを受け、シュートするためにはゴール前に入らなくてはいけない。結果として自然に、ゴール前へスピードを持って入り込む意識が高められていく設定となっている。

これでトレーニングは終了。「素早い攻守の切り替え」をテーマに、ウォーミングアップからポゼッション、シュートまで多様なトレーニングが行われた。その中で、坂本氏は「トレーニングの構成だけでなく、選手に対する"判断を求める問いかけ"を見て欲しい」と語る。

「私は16年間ドイツに住み、昨年日本に帰ってきました。Jリーグ、大学、高校からジュニア年代まで試合を見ていて、私の目には日本の多くの選手が、プレーに十分な意図がなく、適当にボールを回している場面が多く見受けられました。今日は小学生の練習をしましたが、ボールを持った選手はプレッシャーがかっていないにも関わらず、すぐにボールを離してしまう。あるいは、プレッシャーがかかった状態で、味方をみつけることができないといったように、状況に応じた判断をしていないプレーがたくさんありました」

さらに、こう続ける。

「サッカーは判断が重要なスポーツです。 最初は選手個々で正しく判断しているという段階から、少人数のグループ、そしてチームへと正しい判断の輪が広がっていくことで、試合ではより良い結果が得られるようになります。それに、判断を共有して行く中で、良いプレーができると喜びと信頼が生まれますよね。そのためにも、指導者が選手に問いかけをすることで、選手自身が判断をするように仕向けていくことが大切です。判断をするために、何を見ていなければいけないのか、どこがプレーの分岐点なのか、どう判断するのが良いのか――。それらを知ることが、サッカーの深さを知ることにもなると思います。私も含めて、指導者のみなさんは、練習の中で選手に問いかけをすることで、プレーの良し悪しを共有し、正解を導き出す問いかけによって、選手に判断を求め、自ら判断のできる選手を育てていって欲しいと思います」

坂本健二(さかもとけんじ)

1960年東京生まれ。82年~89年山雅SC(現松本山雅FC)にてプレー(85年北信越リーグ優勝)。98年サッカー留学のために渡独。99年からSVヴェルダー・ブレーメンのU16、U13、U9などの指導者を歴任、01年にはクラブ史上初のコーディネーション・コーチにも抜擢された。04年ドイツサッカー協会指導強化ビデオ『「ボールを重視した」守備』を翻訳、同協会認定指導者B級ライセンス取得。06年日本人初、FCペンツベルクでアカデミー・ダイレクターに就任。15年指導者資格DFB・エリート・ユース・ライセンスを取得、日本へ帰国。


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