09.10.2016
サッカー界でブーム!トレーニング効果を増幅させる"ヨガ"の導入
近年、サッカー選手のトレーニングにおいて、"ヨガ"が注目を集めている。マンチェスター・ユナイテッドのレジェンド、ライアン・ギグスがトレーニングにヨガを取り入れ、40歳まで現役を続けたのは有名な話で、日本代表では長友佑都選手が『ヨガ友』と題して、代表の宿舎でチームメイトとともにヨガに取り組んでいる。
2014年のブラジルワールドカップでは、優勝したドイツ代表がチームにヨガのインストラクターを招聘。もともとは前代表監督のクリンスマンがチームに取り入れ、レーブ監督に代わってからも継続して行っているという。
日本のスポーツ界にもヨガは幅広く取り入れられており、サッカー以外にも野球や相撲、スノーボードなど、あらゆる競技のトップアスリートが、トレーニングのひとつとして取り組んでいる。
なぜ、ヨガはアスリートにとって有効なのだろうか。
ライアン・ギグスはかつてインタビューで「コア(体幹)の安定にもつながり、柔軟性も上がる。フィジカルのすべてに効いている」と話し、ヨガで培った柔軟性のおかげで、ケガも少なく、長く現役生活を続けることができたことを明かしている。
日本におけるアシュタンガヨガの第一人者であり、ヨガを日本に広めた人物として知られる、IYCインターナショナルヨガセンター主宰のケン・ハラクマ氏はスポーツにおけるヨガの効果について、次のように語る。(取材・文/鈴木智之、協力/一般社団法人アスリートヨガ事務局)
■アスリートの"休息"に効果的なヨガ
「ヨガには筋力や柔軟性が高まる効果がありますが、アスリートにとって重要な"休息"についても効果的なんです。とくに大事な試合の前はプレッシャーがかかることでストレスが溜まり、脳に良くない影響が出ることがあります。そうすると、夜、安眠できなくなり、結果として身体のメンテナンスができなくなってしまいます。そうするとケガのリスクも高まりますし、パフォーマンスも低下して...と悪いサイクルにはまってしまいます。ヨガをすることで、フィジカルだけでなくメンタル面もすっきりとさせ、心身ともにリラックスさせて落ち着いた状態に持っていく。心身のメンテナンスという面からも、ヨガのプログラムはアスリートの役に立つことができると確信しています」ヨガという言葉には「交わる」や「つながる」という意味があり、ヨガをすることで自分の心と身体をつなげる。あるいは他人と交わることで、チームとしての調和を保つことにもつながっていく。そのためヨガは、サッカーのようなチームスポーツにとって、個とチームという両方の側面から働きかけるものと言える。
日本におけるヨガの第一人者、ケン・ハラクマ氏は、ヨガでアスリートを支え、アスリートを応援することを目的に、2015年に『一般社団法人アスリートヨガ事務局』を立ち上げた。「ヨガを、アスリートが行っているトレーニング効果を増幅させるための"レバレッジトレーニング"と位置づけることで、既存のトレーニングに取り入れやすいメソッドを提供していく」(ケン・ハラクマ氏)という。
■サッカーの特性を理解して取り入れなければならない
「私はこれまで、ヨガの指導者を5,000人ほど育ててきましたが、ヨガをしている人がスポーツの現場で"ヨガとはこういうものですよ"と伝えてしまうと、それぞれのスポーツの内容に適さなくなることも考えられます。そうならないために、サッカーならサッカーというスポーツを理解した上で、ヨガを伝えることができる人を育てたいという想いがあります」サッカーのトレーニングにヨガを取り入れる場合、フィジカル的な側面であれば「シュートを打つときに自分の身体を支える筋力」「相手に当たられても倒れない柔軟性」など、選手によって強化すべきポイントは変わってくる。
サッカーの競技特性を理解したサッカーコーチやトレーナーが、ヨガを指導するスキルを身につけることができれば、選手としても戸惑いが少なく、受け入れやすいだろう。これはサッカーに限らず、野球でもバスケットボールでも、格闘技にも同じことが言える。
その観点から、ケン・ハラクマ氏は「アスリートヨガ指導員」という資格を作り、アスリートがヨガを取り入れるときに、正しい知識で教えられる人材を育成している。
「サッカーの場合、サッカー上達のためにヨガを取り入れることが大切で、間違ったヨガのトレーニングをすることで、本来は緩めてはいけない筋肉を緩めたり、格闘技であればメンタル面を戦闘モードにしなければいけないのに、ピースフルな方へと持って行ってしまうこともないとは言えません。つまり、本来の目的や価値観とズレたヨガになると危険なんですね。そこは我々と各種競技の専門家でディスカッションしながら、最適なプログラムを提供していくことができればと思っています」
スポーツ現場におけるヨガの指導は「実際にそのスポーツの指導をしている人を通じて、広がってくれるのが一番いいと思っている」と語るケン・ハラクマ氏。アスリートが、ヨガをパフォーマンスアップに取り入れる流れは世界的に起きており、日本にもその波は着実に来ているのだ。
1日5分でメンタルに効果。子どもたちの指導にヨガを取り入れるメリット>>
【アスリートヨガ指導員について】
詳しく知りたい方は、ぜひ無料セミナーにご参加ください。9月17日(土)13時から、アジア最大級のヨガイベントヨガフェスタ(パシフィコ横浜)にて開催いたします。練習や試合の疲れを翌日に残さない「質の良い休息と回復」をテーマにディスカッションするとともに、「初級アスリートヨガ指導員」の講座内容についてご案内します。ヨガ関係者だけでなく、スポーツトレーナー・コーチ・選手の皆様もぜひご来場ください。
●アスリートヨガ指導員の資格認定講座について詳しく知りたい方はこちら>>
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ヨガフェスタでは、その他関連イベントも開催。ぜひこちらもご参加ください。
<9月17日(土)>
●アスリートヨガ ~強靭な肉体とボディバランスを手に入れる!
<9月18日(日)>
●正しいヨガの練習方法と指導法(座学)
●ヨガの指導に活かせる「女性のからだと自律神経の関わり」を学ぼう
<9月19日(月)>
●ウォームアップヨガ ~スポーツや一日を始める前に~
●正しく学ぶハタヨガの基本と実践
取材・文 鈴木智之