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ウォーミングアップをするときに注意すべきポイントとは? 金成仙太郎氏インタビュー

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<<金成仙太郎の「ウォーミングアップ×クールダウン理論」>>
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ブラジルワールドカップがその象徴だったように、もはや、現代サッカーのトレンドは攻守の切り替えの速さが尋常ではなくなっており、また、一試合で何本のスプリントが行えたのかがデータとして客観的に把握できる時代に突入しています。

それに伴い、身体動作の理論を駆使するなどして時代が求めるパフォーマンスを発揮できる身体の重要性が叫ばれていますが、まさに試合当日や日々のトレーニングの前後におこなうウォーミングアップやクールダウンは、丹念に準備した身体能力の最高値をたたき出すために必要不可欠な要素となっているのです。

特に欧州では担当するフィジカルコーチの査定要素のなかに「途中出場した選手がいかに短時間で100%の力を出せるか」という項目があり、もしもウォーミングアップの強度が足りずにその選手が試合の流れに乗れなければフィジカルコーチの責任が追及されるほどだといいます。

ただし、予算や環境などによりすべてのチームが専門のフィジカルコーチを置くのはまだまだ難しいといえるでしょう。そこで選手自身や指導者がウォーミングアップやクールダウンの要点を抑えて、日々それらに取り組む習慣や意識の高さを身につけることが重要になるのは言うまでもありません。

そこで今回はジュニアからトップアスリートまで(J1リーグチーム・日本代表ユース年代・中学高校大学サッカー部・サッカー大会など)幅広いカテゴリー・レベルの選手をサポートする金成仙太郎氏にウォーミングアップやクールダウンの効果と理論をCOACH UNITED ACADEMYにて紹介してもらいました。

そのなかから今回は前編として「ウォーミングアップをするときに注意すべきポイント」をテーマに、いくつか気になった内容を列挙します。(取材・文/杜乃伍真)

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■ウォーミングアップの目的

そもそもウォーミングアップの目的には、

・パフォーマンスの向上
・外傷・障害の予防
・運動に対する心理的準備

などがあります。

たとえば、「パフォーマンスの向上」という観点でみたとき、以前から「静的ストレッチ」(その場に座って太ももの裏を伸ばす行為など)は、むしろ筋肉のほどよい緊張感を必要以上に緩めさせてしまい、実際の試合で筋力のパワーを落としてしまう、むしろ逆効果であるとの声がありました。しかし、と金成氏はこう指摘します。

「最近では静的ストレッチも30秒以内であれば大丈夫だという研究結果が出てきています。私も現場での肌感覚として、パフォーマンス向上を最優先させるために静的ストレッチを行わないと、肉離れなどを生じさせる可能性を高めるではないかとの懸念を感じていました。研究結果を受けて、私自身も選手たちに15秒から30秒以内の静的ストレッチを行うように指導しています」

チーム全体でウォーミングアップを始める前に、各自による数分間のセルフウォーミングアップを行うことがとても重要ですが、その時間内に各自で程よい静的ストレッチを行い、その後にブラジル体操などの動的ストレッチに移るのがベストと言えるでしょう。

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■「リウォーミングアップ」ってなに?

また、チーム全体で行うウォーミングアップには、指導する立場となる者に様々な注意すべきポイントがあります。そのなかで金成氏が強調したのが「ウォーミングアップによって体温を一気に上昇させてしまうのは避けたい」という点です。

金成氏は次のような流れによって身体に過負担がかかるのだと注意を促します。
 
低環境から体温を一気に上昇させてしまうと......

「急激に乳酸が発生し、水素イオンが発生」

「筋肉が酸性化し、筋収縮に支障をきたす」

 また別の観点でいえば......
「酸素負債に悪影響がある」

「呼吸循環機能にも大きな負担がかかる(=過呼吸など身体に大きな負担がかかる)」

特に冬場のウォーミングアップ時には注意が必要になるでしょう。

また、体温の急上昇を避け、たとえ緩やかに体温を上昇させることができたとしても、一方で、体温の低下にも注意を払わなければならないと金成氏は指摘します。
 
たとえば、控え選手はウォーミングアップをしたあとにベンチで待機することになるので自ずと体温が下がります。そこで重要になるのが「リウォーミングアップ」という考え方です。

「チーム全体で一度ウォーミングアップを行った選手が控えの選手の場合はリウォーミングアップの対象として配慮すべきです。また、スタメンで試合に出場した選手であっても、ハーフタイムで安静にすると体温が2度ほど下がり、後半戦のスプリントパフォーマンスに影響が出たという報告もあります。体温の低下がパフォーマンスに直結する場合があるので指導者は注意深い配慮が必要になるでしょう」

最近のJリーグなどを注意深く見ていると、ハーフタイムを終えてロッカールームから出てきた選手たちが、フィジカルコーチの指導の下、短いスプリントを数本入れてから後半のピッチに入っていく姿を確認できるチームも出てきています。リウォーミングアップの観点からすれば適切な処置といえるでしょう。

ウォーミングアップの持続時間について、金成氏は次のような研究報告に触れています。

・筋温の上昇効果 45~90分
・中枢神経 30~45分
・呼吸循環系 5~10分

その他のウォーミングアップの効果など詳細について知りたい方は、COACH UNITED ACADEMYにご入会ください。

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金成仙太郎
ジュニアからトップアスリートまで(J1リーグチーム・日本代表ユース年代・中学高校大学サッカー部・サッカー大会など)幅広いカテゴリー・レベルの選手をサポート。国際スポーツ医科学研究所代表取締役としてだけでなく、勝浦整形外科クリニック理学療法士/パーソナルトレーナー/大学専門学校講師/セミナー開催など多方面で活躍している。現在はできるだけ多くのサッカー選手をサポートするために、全国から医療従事者・アスレティックトレーナーを集めたサポート活動を展開中。

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