08.26.2014
ジュニア年代から取り入れたい! クールダウンの5つのポイント
ジュニアからトップアスリートまで(J1リーグチーム・日本代表ユース年代・中学高校大学サッカー部・サッカー大会など)幅広いカテゴリー・レベルの選手をトレーナーとしてサポートする金成仙太郎氏。前回はCOACH UNITED ACADEMYの収録内容から「ウォーミングアップをするときに注意すべきポイント」をテーマに記事をまとめました。
後編の今回は「クールダウンをするときに知っておきたいポイント」をテーマにいくつか内容をご紹介します。
クールダウンを行う意味や効果としてまず挙げられるのでは「疲労の早期回復(これは障害予防にもつながる)」ですが、それを実現するクールダウンの種類には以下のようなものがあります。
・アクティブリカバリー
・ストレッチング
・温冷交代浴
・アイシング
・マッサージ
では、それぞれのクールダウンについて金成氏の言葉を借りながらポイントを紹介します。(取材・文/杜乃伍真)
■アクティブリカバリー
これは中強度のランニングを指しています。試合や練習が終わったあとに、目安として『VO2MAX(最大酸素摂取量)』がおよそ40~50%となるスピードでランニングを行います。これは心拍数100程度を維持しながらランニングをするのと同程度と考えてください。このアクティブリカバリーにおいて、Jリーグのフィジカルコーチのなかには、クールダウンによって血流改善を促すために、全体的にジョギングをする時間を長めにとって実施している方もいます。そのジョギングの時間は体脂肪が多い選手ほど長めにとっているそうです。この対応によってケガ人が減少したといいます。
■ストレッチング
ストレッチングを行う際には、大前提として環境設定がとても重要です。周囲がざわついている環境では選手たちがストレッチングに集中できません。必ず静かな場所に移動し、まず選手の目を閉じさせ、集中するように促しましょう。そしてまずは深呼吸を行います。鼻から吸って、口からはく。これを3対1の割合の長さで実施します。深呼吸で心を落ち着かせることで選手がリラックスできるはずです。リラックスができると人間の身体は副交感神経が有利に働くことになります。その状態になると筋肉は柔らかくなるので、ストレッチングによって相乗効果が生まれるのです。
ストレッチングを行う際に、最優先でほぐすべきポイントは「腿前」と「ふくらはぎ」です。子どもがよく発症するケガの一つにオスグット病があります。これは腿前の筋肉の硬さが原因で発症するもので、腿前の筋肉に疲労がたまったまま練習をしていると、膝下の軟骨が出てきて痛くなってしまうのです。ですから、腿前の筋肉のストレッチは十分に行いましょう。
もう一つ、子どもが発症する代表的なケガにシーバー病があります。これはまだ骨になりきれていないかかとの骨が、強い衝撃を受けることで痛くなってしまうものです。この強い衝撃を避けるために、ふくらはぎの筋肉をほぐすストレッチが効果的です。(※腿前の筋肉やふくらはぎの筋肉のストレッチのやり方やポイントはCOACH UNITED ACADEMYの動画で詳しく紹介しています)
■温冷交代浴
温水と冷水の交代浴は、3対1の時間配分で実施するのが理想的です。3分間温かいお風呂やサウナに入ったら、そのあとに1分間ほど冷たいお風呂やシャワーを浴びると、疲労した筋肉の疲労回復につながります。また、夏の暑い炎天下のなかで体温が上昇すると、余計な体力を消耗してしまいますので、運動後は体温の上昇をできるだけすみやかに抑えることも重要。ピッチサイドに大きなプールなどを用意すれば、チームメイト同士で入ることも可能ですので、リラクゼーション効果も生まれ、筋肉の疲労回復をより促すでしょう。
最後に、これはクールダウンの延長線上として意識してほしいことですが、運動後の疲労回復という観点では「食事の補給」がとても重要になります。食事のなかの糖質を意識的に補給することで疲労回復につながるのです。金成氏はこう指摘します。
「以前は運動後30分以内に食事を通じて糖質を身体に入れましょう、と言われてきましたが、現在は、運動後はできるだけ早く糖質を取り入れることが重要だと言われています。もっとも糖質が吸収されやすい時間は、運動の直後だからです。その時間帯にゼリーを食べさせたり、可能であれば、おにぎりを食べさせたりできると非常に効果的です。指導者の方には、選手たちに素早い糖質の補給を促すように日頃から意識してもらえればと思います」
その他のクールダウンの効果など詳細について知りたい方は、COACH UNITED ACADEMYにご入会ください。
>>金成仙太郎さんが『ウォーミングアップ』をわかりやすく解説!COACH UNITED ACADEMYの入会はこちら<<
金成仙太郎
ジュニアからトップアスリートまで(J1リーグチーム・日本代表ユース年代・中学高校大学サッカー部・サッカー大会など)幅広いカテゴリー・レベルの選手をサポート。国際スポーツ医科学研究所代表取締役としてだけでなく、勝浦整形外科クリニック理学療法士/パーソナルトレーナー/大学専門学校講師/セミナー開催など多方面で活躍している。現在はできるだけ多くのサッカー選手をサポートするために、全国から医療従事者・アスレティックトレーナーを集めたサポート活動を展開中。
取材・文 杜乃伍真