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1対1の球際で負けない!腕と体の使い方/アルゼンチンサッカーに学ぶ「体の使い方」と「メンタリティ」

COACH UNITED ACADEMY、今回の講師はU-20アルゼンチン代表コーチを務め、アルゼンチン女子代表監督として北京五輪に出場したホルヘ川上氏。自身も選手として活躍したホルヘ氏はアルゼンチンサッカーの特徴に「ボディコンタクトとメンタルの強さ」を挙げる。アルゼンチンのメッシや、マスチェラーノ、テベスなど、上背はそれほど大きくはないが、抜群のボディコンタクトの強さで、世界の一線で活躍する選手は枚挙にいとまがない。

ホルヘ氏は「今回のトレーニングは1対1の球際の争いで、どのように腕や体を使えばいいか。ボールと自分の体を守るためにどうすればいいかをテーマにお届けします」と語り、小学生を対象としたトレーニングがスタートした。
(文 鈴木智之)

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■"声でも負けない"意識づくり

ホルヘ氏は日本の子ども達の印象について「あまり声を出さない」と元気のなさを挙げる。「1対1のときも気持ちで負けない。声で負けないことを意識することが大事」と話し、ウォーミングアップでは早速、感情を動かす要素を入れたものから始まった。

まず、ホルヘ氏が「4人1組!」というと、言葉にあわせて選手達が4人組を作る。ここで赤のウェアと黒のウェアを来たグループがあったのだが、両方の選手をミックスさせて4人組を作るというルールが設けられた。選手同士で声を出し、コミュニケーションをとって素早く4人組を作る判断をすることが狙いだ。

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続いてはドリブル練習に移行。グリッドの四隅に選手達が並び、マーカーをジグザグにドリブルで進む、コーンの間にボールを通すなど、一直線のドリブルと斜めの方向へのドリブルという、エリアによって異なるドリブルを実施。

細かな設定はCOACH UNITED ACADEMYの動画をご覧頂ければと思うが、ここではホルヘ氏から「ドリブルはインサイドでやろう」という技術的なポイントが提示されるとともに、四隅から一度に選手がドリブルを始めることから、「周りを見ながら他の選手とぶつからないように!」という声が飛んでいた。

続いては、設定は同じでボール無しで同じコースを走ることにトライし、再びドリブルに取り掛かった。ひとつ前のドリブルでは選手各自がボールを所持していたが、ここでは列に並ぶ一番目の選手のみがボールを所持し、ドリブルを開始。マーカーやコーンの間を抜けていき、前方にいる選手へパスをするトレーニングをおこなった。

ここでは、「2分間ミスなくおこなう」という設定で集中力と緊張感を持たせるとともに、「インサイドドリブル、インサイドパス、インサイドトラップ。周りを見る、声を出す」とうポイントに絞ってコーチングがおこなわれていた。

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■相手の前に入る「体の使い方」とは?

ここからは、トレーニングのメインテーマでもある「フィジカルコンタクト」を高めるメニューがスタート。選手2人が1メートルほどの距離に向かいあって立ち、その後方にコーチがボールを足元に置いてスタンバイ。コーチの笛の合図で3メートル先にあるマーカーの右側を2人とも回り、コーチがパスをしたボールを受ける。ボールを先に触った選手がドリブルを開始しゴールに向かって進み、あらかじめ決められた方のゴールにシュートを打つという流れだ。

ここで選手達は、最初は考えなしにマーカーを回っていたのだが、すかさずホルヘ氏がアドバイスを送る。このプレーのポイントは、相手より体を前に出してボールを受けるため、マーカーの内側に先に入ること。その際にフィジカルコンタクトが生まれるのだが、先に前に入られてしまった後方の選手も挽回のチャンスがないわけではない。

「前にいる相手の腰の位置に手を入れて、肩を相手にぶつけて、腕で相手の動きを抑える。そして、相手の前(マーカーより内側)に入ろう」とアドバイス。さらに、最初にマーカーの内側にいた選手に対しては、「腕を使って相手に前に入られないようにする」という助言が送られていた。

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指導の現場で「球際の強さ」という言葉が聞かれるが、球際で強さを発揮するために、具体的に体をどう動かし、相手のどこを狙ってコンタクトを仕掛ければ良いかという、具体的なコーチングがおこなわれていたので、非常に参考になるものだった。

さらに、先にマーカーの内側に入った選手には「マーカーから離れすぎないように!」という指示があった。なぜならばマーカーから離れると、その隙間(内側)に相手選手に入られてしまうからだ。ここでも、先に内側に入った選手は相手が出してきた腕を上から払うようにして、体を入れさせないようにする意識を持つという指導があった。

フィジカルコンタクトの具体的な方法など、さすがアルゼンチンというコンセプトが随所に見られる、ホルヘ氏のトレーニング。全容をCOACH UNITED ACADEMYで公開中なので、ぜひ指導の参考にして頂ければと思う。

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【講師】ホルヘ川上/
1963年、アルゼンチン生まれ。アルゼンチンサッカー協会S級ライセンス保有。1992年から2013年までアルゼンチンサッカー協会のコーチとして、U-20代表コーチ、女子代表監督などを歴任。U-20W杯優勝、女子W杯、北京五輪(女子)出場など、数々の経験を持つ。

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