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サッカーの育成年代で、13歳までに指導しておくべき「守備の個人戦術」

スペイン・バルセロナを拠点に、世界中のクラブ、選手の指導&コンサルティングを行っているサッカーサービス。 世界中で指導を行ってきた彼らだからこそ語れる、日本サッカーの課題である「守備」の指導法についての連載です。

第4回目の今回からは、サッカーサービスが提案する年代別の守備コンセプトについて、フランコーチに解説してもらいます。
(この連載は2016年5月に開始したメールマガジン「知のサッカー:守備」の内容を転載したものです)

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試合中に考えていては間に合わない

これまで3回に渡って、日本代表からジュニアまで分析した結果、浮かび上がった「日本人選手の守備の課題」について、我々の考えをお伝えしてきました。

前回のワールドカップでは、守備の個人戦術、チーム戦術を向上させることができれば、防ぐことのできた失点がいくつかのケースで見ることができました。

我々が考えるに、大人になって守備のコンセプトを教えたからといって、すぐに実行できるものではありません。何より、現代サッカーは目まぐるしいスピードでボールが動き、プレーが連続しています。考えて判断していては間に合いません。プレーの中で素早く認知・判断・実行を行うためには、ジュニア年代からの積み重ねが不可欠なのです。

この連載を読んで頂いている、熱心な指導者の方は「どのようなコンセプトのもとでトレーニングをすれば、守備の個人戦術、チーム戦術を向上させることができるのだろうか」と、日々、自問自答していると思います。選手を向上させたいと思い、サッカーと真摯に向き合う。その姿勢は素晴らしいものだと思います。

我々サッカーサービスは、守備を習得するために必要なことを体系立てて整理しました。それをみなさんにご紹介したいと思います。

ここでは、U-13とU-18にカテゴリーを分けてお伝えします。

なぜならば、選手の発達や発育の年代において適した内容をトレーニングすることで、選手はスムーズに理解し、身につけることができるからです。

<<U-13向けコンセプト>>
「1.個人での守備(味方のサポートが無い状態)」

今回はU-13向けのコンセプトを紹介します。


【守備における認知】
●相手にプレスをかける前に後ろを確認する
●守備時のポジション調整

守備において、まず考えるべきが「一人で守るのか」それとも「複数(2人以上)で守るのか」ということです。

ボールホルダーに対して、選手一人で対応しなければいけない場合、優先すべきは「抜かれないこと」。つまり、自分の背後のスペースを使われないことです。

ボールホルダーと1対1の場面で闇雲にボールを奪いに行き、かわされてしまい、背後のスペースを使われてしまうと、一気にピンチを招きます。

そのため、まずは自分の背後の状況がどうなっているか、スペースはどこにあるかを確認してから、プレスに行くべきか、そうでないかを判断します。これがもっともシンプルな守備の認知です。


【1対1でのプレス】
●相手を意図する方向へ誘導する
●プレスをかけられる位置へ素早く到達する
●最適なポジションをとるために腕と体を使う
●素早く戻り、後方のスペースを守る

周囲の状況を見て、ボールを奪いに行っても良い状況であれば、ボールホルダーに素早くプレスをかけます。このときにポイントになるのが、「ボールホルダーを意図する方向へ誘導すること」です。

ボールホルダーがサイドでボールを持っている場合、危険なエリアであるピッチ中央部に入らせないように、相手をピッチの外側へと誘導するようにプレスをかけて行きます。

このときに、相手の利き足も意識して「どちらの方向へ誘導すれば相手は困るか」を考えながら、プレスをかけていきます。

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(うまくDFを誘導し2対1を作り出している。DVD「知のサッカー第3巻」より)

ルーズボールやフィフティ・フィフティのボールに競り合う時、選手がもっともプレーしやすい状況を作るために、腕や身体を使ってポジションを確保します。また、相手のドリブル突破に対応するときに、腕を使って進行方向のスペースをブロックすることもあります。 守備の際に守るべきスペースに戻るときは、一目散に、素早く移動することが大切です。ゼロコンマ何秒の遅れが、失点につながるのがサッカーというスポーツです。

ここまでが、U-13年代で一人で守備をするときに必要なコンセプトです。

これらの状況が起こりやすいトレーニングを設定し、その中で段階を経て習得していきます。

<<U-13向けコンセプト>>
2.味方のサポートがある状態での守備

続いて、U-13年代における「味方のサポートがある状態での守備」について説明していきたいと思います。


【マーク】
●守備のトライアングルを正確に行う
●ゴールに近づくにつれ、相手との距離を縮める
●相手とゴールの間にポジションをとる
●相手のマークを外す動きを、体を利用して防ぐ

試合中、相手チームのボールホルダーが、プレッシャーがかかっていない状態で、パスを出す選手(受け手)を探す状況があります。そのときに、守備側の選手はボールホルダーとマークするべき相手(受け手)を同時に見ることのできる位置関係と身体の向きを作ります。ボールホルダー、自分、マークすべき相手の3人でトライアングルを作るような位置関係が理想です。

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(トライアングルをつくるトレーニング。DVD「知のサッカー第3巻」より)

さらに、基本のポジションとしては、相手とゴールの中心を結んだライン上に立つこと、そして相手がゴールに近づくにつれて距離を縮めて、ペナルティエリアの中では「相手を手で触ることのできる距離」を保ちます。そして、相手がマークを外そうと動いてくるところを 腕や体を使って防ぎます。


【カバーリング】
●味方のポジションを確認し、カバーリングの範囲を調整する
●マークする相手のポジションにより、カバーリングを調整する
●ディフェンス間のギャップを優先して守る
●100%の力でポジションに戻る

味方のサポートがある状態では、それぞれがプレーするエリアを決め、相手選手の位置に応じてカバーリングを調整します。このときに、選手間にできたギャップを埋めるようにポジションを取り、背後にいる選手へのパスコースを閉じたり、相手にプレーさせるエリアを作らせないようにします。
もしプレスをかけた結果、背後を突破されてしまったら、100%の力でポジションに戻ります。これはカルレス・プジョルが得意とするプレーです。

ここまでが、U-13年代で身につけるべき、守備時のコンセプトです。

具体的にどのような練習メニュー、コーチングを通じて選手を向上させていくかは、DVD「知のサッカー3巻」を参考にして頂けると、わかりやすいかと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
次回は「U-18年代の守備コンセプト」についてお伝えします。

グラシアス、アデウ!
(注:カタルーニャ語でありがとう、さようならの意味)

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フランセスク・ルビオ/Francesc Rubio Sedano
サッカーサービス社の分析、コンサルティング部門責任者として、選手やクラブ育成コンサルティング業務を担当。C.Fカン・ビダレットの下部組織(U-18)の監督、コーディネーターと、カタルーニャサッカー協会技術委員を兼任。2014年までJFAアカデミー福島U13の監督も務めた。現在は、エコノメソッドを導入するパリ・サンジェルマンでコーチを務める。

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