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パス&コントロールと"幅"を意識した攻撃練習/東京武蔵野シティFCの「チーム全体の方向付けと個のアプローチ」

育成年代のサッカー激戦区・東京でJクラブや街クラブとしのぎを削り、U-12年代の世界一を決める『ダノンネーションズカップ』では、2014年に日本代表として出場し、世界一に輝いた東京武蔵野シティFC。強豪として知られる同クラブでは、日々どのようなトレーニングが行われているのだろうか?

COACH UNITED ACADEMYでは、U-12を率いて数々の選手を育てあげ、2016年からはU-15の監督として選手育成にあたる戸田智史監督に登場してもらった。3月の関東リーグ開幕に向けて、チームとして形作る過程でどのようなトレーニングをしているのか。ぜひご覧いただきたい。(文:鈴木智之)

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質の追求とミスを恐れずチャレンジさせる


この日のテーマは「チームの全体像を作り上げるトレーニングと、この時期にしかできない個へのアプローチ」(戸田監督)ということでメニューが組まれた。

トレーニングはウォーミングアップを兼ねた、ランニングからスタート。U-14の選手達は戸田監督の「可動域を意識しながら動かそう」という声に合わせて両腕を大きく振り、肩甲骨を広げ、股関節を動かしながら体を温めていく。さらには笛の合図に合わせてコーンを周る、ダッシュをするなど、様々なバリエーションでウォーミングアップは進んでいく。

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続いては「ムービングプレパレーション」というメニューを2セット。これはインナーマッスルや体幹を鍛える動きづくりのことで、選手達は地道なトレーニングを黙々と行っていた。

その後は2人1組で対面パスを行う「パス&コントロール」のトレーニング。ここでは2タッチというルールで「30秒間、強いボール!」など、戸田監督の声に従ってキックの種類を変えていく。

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さらに「前方にボールをコントロールして押し出し、踏み込んで強く蹴る」というキックの基礎動作に集中的に取り組んでいった。「ミスをしてもいいから縮こまらない。プレーのテンポをあげよう」というアドバイスが飛び、短い時間でメニューが変わることで、選手達の集中を切らさないようなオーガナイズがされていた。

パス&コントロールの練習後、戸田監督は選手たちを集めて、次のようなアドバイスを送っていた。

「見ていると、何気なくボールを止めてパスを出しているけど、昨日、中学3年生のトレーニングに混ざって、ボールスピードの違いを感じなかった? それは年齢や筋力の問題? 違うよね。そこに気づくか、気づかないかは大きいよ。どうせやるなら、質の高いことを繰り返した方がいい。何気ないことで変わるし、小さな積み重ねが自分の血となり肉となるんだから、ミスを恐れずやろう」

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チームとして目指す攻撃の形を意識させる

選手個々にアプローチするトレーニングの後は、チームとしての練習に入っていく。メニューは『3ユニットに分かれて3対3+2フリーマン+GK』。設定の詳細はCOACH UNITED ACADEMY動画で確認していただきたいが、この練習の目的は「幅を使い前進すること」。そのためには「近くだけでなく、遠くを見ること。横幅を使うこと。グリッド内の3人は開きすぎず、タッチラインの外にいるフリーマンを上手に使うこと」といったポイントが伝えられた。

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ここではグリッド内の3選手がタッチラインにいるフリーマンを使い、ボールを動かして守備側を揺さぶり、ゴールをこじ開ける動きが重要になる。これこそ東京武蔵野シティFCが目指す攻撃の形であり、先ほどの「パス&コントロール」でのポイントを意識させながらチームの共通理解となるようトレーニングに落としこんでいく。

そして戸田監督はプレーの質を向上させるために、「フリーマンはボールの場所によって、立つ位置が重要になる。技術的なミスはいいから、中の味方と目線を合わせてボールスピードを調整し、前進できるように」と指示を送り、グリッドの中の3人は横一列に並ばず、段差(パスコース)を作ること。フリーマンを使って数的優位を生かすこと。守備時はボール保持者に強く行くこと。オフ・ザ・ボールのときに見ておくべきポイント、局面を打開するボールの動かし方などが伝えられた。

戸田監督の的確なコーチングについては、ぜひCOACH UNITED ACADEMYの動画をご覧頂きたい。東京武蔵野シティFCのスピーディなプレーの片鱗を垣間見ることができるはずだ。

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【講師】戸田智史/
東京武蔵野シティFC U-15監督。1976年、東京都府中市出身。2002年より横河武蔵野FCスクールコーチ、ジュニアユースコーチを歴任し、2008年よりジュニア監督を務める。09年、14年に全日本少年サッカー大会で3位に輝き、14年には12歳以下の世界一を決める『ダノンネーションズカップ』に出場し、日本代表として初の世界一に輝く。2016年より、U-15の監督に就任した。