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サッカーの根本はゴールを奪い、守ること/東京武蔵野シティFCの「チーム全体の方向付けと個のアプローチ」

COACH UNITED ACADEMYでは、東京武蔵野シティFCのトレーニングを公開中。U-12の監督としてダノンネーションズカップで世界一に輝き、現在はU-15の監督を務める戸田智史監督に登場してもらった。トレーニングの前編では個にアプローチする補強トレーニングやキックなどを経て『3対3+2フリーマン』を実施。後編では引き続き、サッカーの原理原則に基づいた「ゴールを奪い、ゴールを守る」というポイントにフォーカスしたトレーニングを紹介したい。(文:鈴木智之)

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「ゴールを奪う」ためには何をすべきか

COACH UNITED ACADEMY動画後編の最初は「4対4+GK」。設定の詳細は動画をご覧いただければと思うが、ゴール前の場面が連続するシチュエーションで「ゴールを決める、ゴールを守る」というプレーが繰り返し行われていく。

戸田監督はトレーニングが始まる前、選手達に「切り替えの瞬間にボールを取り返しに行こう。守備の時は体を張ってシュートを打たせないこと。攻撃時は相手にゴールを守られた際、ゴールをこじ開けるために横幅を使おう。パスを繋ぐのが目的ではなく、シュートゲームだということ意識しよう」とアドバイスを送っていた。

前編のトレーニングの流れから、両サイドの選手に対しては、相手の最終ラインと並んだ状態で斜めのパスを受け、ワンタッチで前を向いてラインを突破し、ゴールへ向かう意識をコーチング。さらにはファーストタッチでシュート打てる場所にボールを置くことを徹底し、「ボール半個ずらせばゴールを狙える!」「このタイミング、隙間を逃さないように!」と声をかけていた。

また、シュートを打たずにプレー時間を超えると「このチームはシュートがあった? 目的はなんだ?」と問いかけ、ルールを「3点取った方が勝ち」とし、シュートへの意識を高めるように導いていった。

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守備も攻撃もゴールからの逆算

続いては「9対9」。プレー時間は12分。システムは1(GK)-3-3-2で、「試合形式になったからといって、後ろが重たくならないように」と、縦への早い攻撃を意識しゴールへ向かうようにアドバイス。このトレーニングでは、実戦形式の中で、戸田監督がどのような声掛けをするのかを動画で確かめてほしい。

練習の締めくくりは、選手を集めてフィードバック。ここでも強調したのは『ゴールを奪い、ゴールを守る』ことだった。

「最近の試合では、チームとして後ろが重くなる印象があった。何度も言うけど、試合の中ではゴールを目指さなければいけない。それは11人でやる作業。ゴール前の4対4をやったけど、サッカーの根本はゴールを奪い、ゴールを守ること。トレーニングの中で体を張れなかったら、試合のいざという時に体を投げ出してスライディングできない。シュートのタイミングを逃していたら、いざ試合になったときにシュートを打てない」

プレーのディテールが、勝負の明暗を分ける。世界大会で優勝した経験を持つ戸田監督らしい、シビアな言葉だ。さらにこう続ける。

「相手は必死にゴールを守ってくる。そこをこじ開けるためには、ゴールに張り付いている人間をどかさなければいけない。そのために必要なのは、ボールのないところのポジショニング。どこでボールを受けるか。そして横幅を使いこなすこと。それができたときにゴールが見える。守備も攻撃もゴールからの逆算だから。ベースを積み上げていこう」

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COACH UNITED ACADEMYでは、東京武蔵野シティFCのトレーニングを公開中。U-12を世界一に導いた戸田監督のコーチングをご覧いただき、日々のトレーニングに役立ててもらえればと思う。

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【講師】戸田智史/
東京武蔵野シティFC U-15監督。1976年、東京都府中市出身。2002年より横河武蔵野FCスクールコーチ、ジュニアユースコーチを歴任し、2008年よりジュニア監督を務める。09年、14年に全日本少年サッカー大会で3位に輝き、14年には12歳以下の世界一を決める『ダノンネーションズカップ』に出場し、日本代表として初の世界一に輝く。2016年より、U-15の監督に就任した。