TOP > コラム > 相手のシュートコースを限定し確実にセーブするポジショニングとは?/FC東京U-18のGK実践トレーニング

相手のシュートコースを限定し確実にセーブするポジショニングとは?/FC東京U-18のGK実践トレーニング

COACH UNITED ACADEMYでは、FC東京U-18の山下渉太GKコーチによる、トレーニング動画を公開中。今回のテーマは「GKの1対1における、正しい対応とシュートストップ」。試合の分かれ目になる、ゴール前の大事な局面において、GKはどのようなプレーでシュートをストップするのか。後編では、実戦的なトレーニングの様子を紹介したい。(文:鈴木智之)

この内容を動画で詳しく見る

<< 前回の記事を読む 

yamashita2_1.jpg

前方への意識を強く持つことで、より早くボールホルダーへのアプローチが可能になる

山下コーチは最初に「どのようにシュートストップをするかにフォーカスした、ゲーム形式のトレーニングをします」と説明し、一つ目のトレーニングに取り掛かる。

まずはゴール前の局面から。ペナルティエリアの中、サイドからのボールに対して、シュート役がワンタッチでコントロールし、前方にあるポールを越えればシュートを打って良いというルールだ。GKはボールがポールを越えた瞬間を見逃さず、前方に動いてボールをキャッチ、もしくはシュートをセーブする。

シュート役はワンタッチでコントロールして、2コントロール目でシュートを打つだけでなく、3タッチ目でゴールキーパーをドリブルでかわしてシュートを打つのもOK。様々なパターンがあるため、GKはファーストタッチのコントロールを見逃さずに奪い、最初のチャレンジでボールをキャッチできなければ、すぐに次の動作に移る必要がある。

yamashita2_2.jpg

ここで山下コーチは「ファーストアクションに移る際のポジショニング」に言及。シュート役はポールを越えない限りはシュートを打てないので、GKはできるだけファーストタッチのボールが足元から離れた瞬間を狙ってアタックできるよう、前方への意識を強く持つことの重要性が伝えられていた。

次に、シュート役に「ワンタッチシュートはOK」というルールが加わった。そのため、GKはワンタッチシュートが来るのか、それとも前方にコントロールしてからシュートを打つのかを、予測のもとに正しく判断しなければならない。トレーニング中、山下コーチは、GKがシュート役のボールコントロールが流れたところを見逃さず、前に出てキャッチしたところで「ナイスプレー!」と声をかけていた。

角度が限定されたシュートは、ボールに正対する体の向きが重要

ゴール正面にボールがあるシチュエーションのトレーニングを終えたところで、次はゴールに対して角度をつけた状態でのシュートストップへ移行していく。

まず、ゴールに対して斜め横と正面をそれぞれ「ゾーン1」と「ゾーン2」と区切る。設定の詳細はCOACH UNITED ACADEMY動画に譲るが、「ゾーン1」「ゾーン2」ともにボールの位置を始点とし、ゴールの四隅にロープを引いて、GKにシュートが飛んでくる軌道を確認させる。そうすることで、ボールに対してどう正対し、どのコースに手を伸ばせばゴールを守ることができるのかを体感できる。普段、なかなか見ることのできない設定なので、詳細をぜひ動画で確認してほしい。

yamashita2_5.jpg

「角度が限定された状況でのシュート」。最初はゾーン1から。ゴールエリアの左角付近にシュート役がいる状態で、シュートをストップする。ここでは「ボールに正対する体の向き」「構えの正しい姿勢」に加えて、足元に飛んできたシュートに対して、足を伸ばしてブロックする技術についても言及。身体のあらゆる部位を使って、ボールに当てるという、GKの大事なプレーを確認することができる。

さらには発展型として「シュート役はシュートだけでなく、中央にいる味方にパスを出しても良い」というルールが追加された。これにより、シュートストップだけでなく、移動してのセービングという要素も加わる。ここで山下コーチはGKの立ち位置について「中央へパスを出されたとき、ニアサイドのゴールポストより前に立つと、ゴールを守る範囲が狭くなるので気をつけよう」とアドバイスを送っていた。

ボールにアプローチするタイミングとどのセービングを選択するのかを見極める

ゾーン2のトレーニングは、ゴール正面のやや左よりからスタート。テープを使ってボールの軌道を確認し、ポジショニングを身体に覚え込ませていく。そして、ボールとゴールを結んだ延長線上に立ち、手と足をどの角度で出せば、ボールにアタックできるのかを考え、最短距離でアプローチしていく。

ここでは「シュートコースを塞ぎながら前に出ること」「身体の面を大きく使って、ボールにアタックすること」「味方と連携してゴールを守ること」などが伝えられていた。

yamashita2_4.jpg

トレーニングの最後は「ワンツーで最終ライン突破してシュート」という設定で、実戦さながらの迫力で実施。スルーパスに対して、いつボールにアプローチするのか、シュートストップに切り替えるのかという、瞬時の判断と決断が求められるトレーニングである。

山下コーチは「GKのトレーニングでは、まずはトライをする姿勢が重要です。その際にミスが出るのは仕方がないこと。指導者は修正しながら、ある程度ミスを許容することも大切だと思います。とくに育成年代のGKには、トライするメンタリティを持って、試合に臨めるように意識させること。それも、指導者としての大事な役割だと思います」と、GKを指導する際の心構えを教えてくれた。

FC東京U-18で実施する、バリエーション豊かなGKトレーニングの全容は、COACH UNITED ACADEMYで配信中。GKコーチだけでなく、フィールドのコーチもぜひご覧いただき、日々のトレーニングに活用していただければと思う。

<< 前回の記事を読む 

この内容を動画で詳しく見る


【講師】山下渉太/
1987年、千葉県出身。FC東京U-18 GKコーチ。JFA公認B級、JFA公認GK A級ライセンス所持。東京学芸大ではキャプテンを務めた後、早稲田大学でGKコーチとしてのキャリアをスタート。2011年にFC東京U-15GKコーチとして加入。12年からは、U-15深川GKコーチ専任、16年途中からトップチームGKコーチを担当。17年よりU-18GKコーチとして、選手育成に力を注ぐ。