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目標設定のテクニックとやる気の正体/チームを成長思考に変える目標設定とリーダーシップ論

新型コロナウイルスの影響で、先行きが見えない状況ではあるが、こんな時だからこそチームの目標をどう設定するか、指導者としてチームをどう導いていくのか考える時間にあてみてはどうだろう?

今回はメンタルトレーニングコーチとして長く活動し、スポーツ現場での指導が経験豊富な大儀見浩介氏に「チームを成長思考に変える目標設定とリーダーシップ論」というテーマで解説してもらった。サッカーチームだけでなく、クラブ運営やビジネスにも応用できる内容なので、ぜひ参考にしてほしい。(文・鈴木智之)

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なぜ目標設定をするのか?

大儀見氏は静岡県清水市出身。中学時代は同級生の高原直泰とともにプレーし、全国優勝を経験。東海大学時代は体育会系サッカー部で活動するなど、サッカー畑を歩んできた。東海大学ではスポーツ応用心理学を学び、日本のみならず、アメリカを始めとする世界最先端の事例も吸収。文字通り、日本を代表するメンタルコーチのひとりだ。

近年はスポーツの現場にとどまらず、外資系企業などのビジネス分野に、スポーツ心理学を応用したメンタルコーチングを導入。多数のビジネスパーソンのメンタル向上に貢献している。また、サッカーだけでなく、格闘技やオリンピックを目指すアスリートなど、様々なジャンルで「心を強くする方法」を伝授している。

メンタルトレーニングは個人だけでなく、チーム全体でも有益だ。とくに大儀見氏の専門分野でもある「チームビルディング」は、セミナーやアクティビティを通じて、チーム全体で心をひとつにするための、様々な考え方が身につくものである。

前編のテーマは「目標設定」。なぜ目標を決めることが大切なのだろうか? 大儀見氏は次のように説明する。

「みなさんも、チームで目標設定をすると思いますが、継続性がなかったり、書いて終わってしまうことがあると思います。また、個人としては目標を理解しているけど、チーム全体に波及していかない、薄れてしまうケースもあります。そこでまずは『なぜ目標設定をするのか?』を理解するところから始めましょう」

大儀見氏は「目標の大切さ」を迷路を例に上げて説明する。スタートからゴールまで迷路を進んでいく中で、曲がり角にゴールまでの矢印が書いてあれば、迷わずに進むことができる。ゴールへとたどり着くための道しるべ。これが「目標」なのだという。

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子どもや選手自身が決めることが重要

「最終目標へたどり着くためのプロセス。それが目標です。大きな目標がドカンとあるだけでは、なかなかたどり着くことができません。そこで、スモールステップを作り、ステップ・バイ・ステップで越えていくことで、大きな目標へと近づいていくことができるのです」

ここでひとつ、注意したいことがある。それが「矢印(目標)をコーチや大人が入れるのではなく、子どもや選手自身が自分で入れること」だ。

「誰かに入れられた矢印(目標)をただこなすだけだと、やらされている感が出てきてしまい、おもしろくない、やる気が出ないといったことが起きてしまいます。これがマンネリや退屈になるわけです」

目標を人に押し付けられるのではなく、自分で決めることが大切なことは、実体験として誰でも持っているのではないだろうか。自己効力感という言葉があるが、大儀見氏は「いけそうだ、やれそうだという気持ちが、質の高いやる気の向上やプラスイメージの強化になり、前向きな気持ちを生むことになります」と言葉に力を込める。

「子どもや選手が、自分でプランを立てて行動するように、大人がサポートしてあげてください。それが『内発的動機づけ=自ら進んでやる気持ち』につながっていきます」

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外発的な「やる気」は発想力や創造性を低下させる

大儀見氏は「やる気には2種類がある」という。それが内発的動機づけと外発的動機づけだ。前者は「好き、楽しい、おもしろい、ワクワクする、よりよくなりたい、うまくなりたい」という気持ち。後者は「やらされている」状態で「嫌い、つまらない、怒られる」などネガティブな動機づけだ。

「怒ってやらせる、怒鳴ってやらせないと子どもたちは動かないという考えの指導者もいらっしゃいます。かつてはそういう時代だったのかもしれません。しかし、ご褒美や罰を与えてやらせた瞬間に、人間は発想力や創造性が低下します。サッカー選手から予測、判断、決断力を奪ったらどうなるでしょうか? 自分で考えて行動する力を高めることで、創造性も高めていくことができます。だから、やらせるのではなく、自ら進んでやる方向に導いていくのです」

COACH UNITED ACADEMYの動画では「カールドゥンカーのろうそく問題」という実験から、理論的な裏付けも紹介している。ぜひ興味のある人は、動画で全容を確認してほしい。

さらに動画では「モチベーションの質」の話から、質の高いモチベーションを持つ人は幸福感が高く、クリエイティブで高いパフォーマンスを発揮することについても言及されている。最適な目標の立て方である「110%目標」など、大儀見氏が年月をかけて、理論と実践の中で培ってきた「すぐに使えて効果がある」メンタルトレーニングの真髄を知ることができる。

自宅待機を強いられるサッカー少年・少女、指導者が多い中、「いまだからこそ、学ぶべき価値がある」講義だと言えるだろう。

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【講師】大儀見浩介/ 株式会社メンタリスタ 代表取締役
東海大学第一中学校(現・東海大学付属翔洋高等学校中等部)サッカー部時代に、全国優勝を経験。東海大一高ではサッカー部主将としてプレーした。東海大学で応用スポーツ心理学(メンタルトレーニング)を学び、サッカーを中心に小学生からプロまで様々なスポーツチームのメンタルトレーニングをサポート。また現在はスポーツだけでなく、教育、受験対策、ビジネス、社員研修など、様々な分野で指導にあたっている。NPO法人清水サッカー協会メンタルトレーニングアドバイザー。