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体を自由自在に動かせるようになる方法とは?/ジュニアからボディコンタクトスキルを習得するトレーニング

昨今、サッカー選手のアスリート化は著しく、スピード、身体操作などの重要性が高まってきている。一方でそれに反するように、外遊びの場所や時間が減り、様々な運動体験の機会が少なくなってきていることから、子どもたちの体力や運動能力の低下が問題視されている。

そこで今回はワセダJFCと国分寺キッズアカデミーで代表を務め、U-12専門フィジカルコーチとしても活動する鎌田豊氏に「小学校低学年から、ボディコンタクトスキルを身につけるトレーニング」を紹介してもらった。ボールスキルと同じぐらい重要な、フィジカルのスキルを高めるトレーニングは必見だ。(文・鈴木智之)

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ボディコンタクトスキルはサッカーの局面で三つに分けられる

動画前編のテーマは「ボディコンタクトスキルの概要とウォーミングアップの実践方法」。鎌田氏は「サッカーはボールを操作するスポーツですが、同じように、どうすれば自分の体を自由自在に操れるようになると思いますか?」と問いかける。

「私のもとには『自分の体を、どのように使えばいいのでしょうか?』『どうすれば、自由自在に体を動かせるようになるのでしょうか?』という質問が寄せられます。そこで私は、自分の体を自由自在に操ることについて、計算式を作りました。それが『物真似力』です」

物真似力は、運動の多様化×運動の洗練化で成り立つという。つまり、量的獲得と質的獲得を掛け合わせた結果、自分の体を自由に操ることができるようになるというものだ。

「たくさん運動をし、多くの動きを学びながら、洗練した動作を身につけることで、物真似ができるようになっていきます。その結果、自分の体を自由自在に操ることができるようになる。私はそう考えています」

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なかでも大切なのが、コーチや指導者が見本を見せることだという。

「子どもたちはコーチの物真似をして、動作を習得していきます。たくさんの運動やスポーツを経験することで、動きの質が上がり、動作の成熟につながります」

動画では、運動発達段階の紹介や基本動作を細分化して、個々にどのような動作があるのかを説明。さらには「ボディコンタクトスキル」について、話は移っていく。

鎌田氏によると、ボディコンタクトスキルは三つに分けることができるという。それがボールキープ、ボール奪取、空中戦でのバトルである。

「これらのシチュエーションにおける、ボディコンタクトに大切な三つの力があります。それがバランス能力、受身、身体接触です。バランス能力は自分の体をコントロールすること。そして、ケガを予防するための受身。低学年はケガが少ない年代ですが、ケガを予防しながらトレーニングを進めることが大切です。三つ目の身体接触は、力を入れること、力を抜くこと。脱力や古武術の動きがヒントになります」

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サッカーのプレー中、真っ向からぶつかり合うのではなく、相手の力を利用したり、タイミングをずらしてぶつかるといった駆け引きをもとに「接触を楽しむ」ことがポイントだという。

「フィジカルコンタクトスキルを高めるために大切なことは、ボディコンタクトを楽しむことです。幼児や小学生のうちから接触を楽しむことで、怖がらずにボディコンタクトを行うことができるようになっていきます」

遊びの中で自分の体重を操ること、バランス感覚を身に付ける

では、どのようなトレーニングをすればいいのだろうか? 鎌田氏は「体作りのウォーミングアップでは、自分の体重をコントロールできるようにしましょう」と話す。

「最初は手押し車やおんぶなどを通じて、腕を支持することを体験します。そうすることで、自分の体重を操る、バランス感覚が身についていきます。次に、動き作りのウォーミングアップになります。相手の体重をコントロールすることや、どのようにしたら相手が動くのかを、遊びの中で身につけていきます」

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ここからは、子どもたちをモデルにし、どのようなトレーニングをするかを紹介していく。最初は「手押し車」から。鎌田氏は「お尻をぷりぷり動かさないこと。後ろで支える人は、どうすれば姿勢を維持できるかを考えよう」「どうやったらしっかり脚を持てる?」と声をかけ、楽しんで取り組む雰囲気を作っていく。

続いてはおんぶ。映像では、うまくおんぶで進めない子もいる。これは出演している子どもたち特有のことではなく、一般的な現象である。ただ鎌田コーチの指導で,動作が次第に改善されていく。

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改めて、動きづくりを始めとする、フィジカルトレーニングの重要性を痛感するシーンだ。

ほかにも、馬転び前転、受け身トレーニング、手押し相撲すってんころりん、かかとタッチなど、様々なメニューが収録されている。ルールはシンプルでわかりやすく、すぐにグラウンドで活用できるものばかりだ。

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子どもたちの運動能力向上にアプローチしたい指導者は、ぜひグラウンドで実践してみてほしい。子どもたちのフィジカル面の「現在地」がわかるはずだ。

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【講師】鎌田豊/

1982年3月19日生。東京都出身。母校の中学校で指導者としてのキャリアをスタート。現在は、ワセダJFC と国分寺キッズアカデミーで監督兼代表を務め、日本初U-12専属フィジカルコーチとしても活動中。フィジカルコーチとして、RENOVA FC(山梨県甲府市)と西南学院大学サッカー部(福岡県)でも指導を行っている。