TOP > コラム > 動きにキレが出る「足の接地方法と上半身の使い方」/長期のオフ明けに身体のキレを戻すフィジカルトレーニング

動きにキレが出る「足の接地方法と上半身の使い方」/長期のオフ明けに身体のキレを戻すフィジカルトレーニング

COACH UNITED ACADEMYでは、「タニラダー」でおなじみ、ヴァンフォーレ甲府・フィットネスダイレクターの谷真一郎氏に「長期のオフ明けに身体のキレを戻すフィジカルトレーニング」をレクチャーしていただいた。後編では「サッカーの局面に近づけた、ステップワークの習得」をテーマに、前後左右、斜めに動く際に、スピーディで安定した動きをするためのトレーニングを紹介したい。(文・鈴木智之)

この内容を動画で詳しく見るには
こちらから会員登録!

tani02_01.png

<< 前回の記事を読む 

足裏のアーチの内側で地面を踏むと、動きにキレが出る

谷氏は後編のトレーニングに臨むにあたり、「サッカーの局面に近づくと、動きがダイナミックになります。そこで正しく動けるか、動けないかで局面が変わります」と、正しいステップの重要さを説明する。

後編最初のステップは「後方→サイド→前」。マーカーを四角の形に置き、Uの字型に動いてボールを蹴る動きを繰り返す。

tani02_02.png

ここでのポイントは、前編で詳細に解説した「足の裏側のアーチを感じながら方向を変えること」。

足裏のアーチとは、拇指球とかかとを結んだ線上にある土踏まずのことで、この内側で地面を押すようにして動くことで、地面からの力(地面反力)を得やすくなり、速く、力強い動きができるようになる。

tani02-thumb-580xauto-5356.png

「足裏のアーチの内側で地面を踏むと、動きにキレが出て、バランスも崩れにくくなります。ありがちなのが、横に動いてから前に出るときに、つま先を進行方向に向け、ひざを曲げて前に出ようとする動きです。この状態で地面を踏み込むと、必要以上に沈み込むので動きが遅くなり、後ろ足が滑りやすく、バランスを崩す原因なります」

後ろから横、横から前と移動していくときに、足裏のアーチで地面を踏み、方向を変えると、安定して素早く方向変換ができる。これは動きの基礎となるので、ぜひ覚えておいてほしい動作だ。

足の指を痛めたり、骨折してしまう選手はターンの仕方に問題がある

続いては「後方→斜め前」。スタート位置からバックステップで下がり、マーカーを目印に三角形を描くように移動して、後方から斜め前に出る動きを繰り返す。ここでも、ボールから目線を切らずに、足裏アーチで地面を踏み込み、斜め前に出ることがポイントだ。

次の「斜め後方→前方」では、ターンの仕方を実演。ボールを見ながらクロスステップで下がり、前に出てボールを蹴るのだが、進行方向に対して遠い方の足を回すようにターンしてしまうのが、いかに足に負担をかけるのかを説明している。

「サッカーでありがちな、足の甲付近の指(中足骨)を痛めたり、骨折してしまう選手は、ターンの仕方に問題があり、足裏のアーチで地面を踏むことができていない場合が多いです。ケガ予防のためにぜひ頭に入れて、身につけてください」

ここでは、正しいステップワークだけでなく、上半身の向きにも言及。サッカーは下半身だけでなく、上半身の動きも重要なスポーツだ。進む方向を変える際に、素早く足を踏み変えると同時に、上半身を進行方向に向けすぎてしまうと、背中側の方向へ動くときに、すぐに反応することができなくなる。

tani02_03.png

「当然のことながら、ボールがどこにあるかによって、身体の向きは変わります。動き方の基本としては、上半身は目線の方向に少し残しておき、背中側に動く時は骨盤を回旋させて足を踏み変え、身体の向きを変更させます」

この動きを深めるのが「ウィークサイドのターン」の実演だ。ウィークサイドとは背中側のことで、身体と顔が向いている方向へボールが来たら、そのまま進んでいけばいいが、ウィークサイド(背中側)にボールが来た時は、ステップを踏んで身体の向きを変える必要がある。

「この場面では足を踏み変えて、腰を回旋させて背中側へ向きを変えるのですが、ボールに対して下半身は半身、上半身は正対した態勢をつくります」

上半身、下半身ともボールに対して半身になると、骨盤を回旋させにくく、ステップの踏み変えがスムーズにできなくなる。このあたりはぜひ動画で確認してほしい。

さらに、谷氏の実演はサッカーの動きに近づいていき、ボールや相手の動きによって進むコースを変える「三度追い」や、ボールを見ながら左右に動き、身体の向きを変えて対応する「ウェーブ」の動きなど、単なるステップワークにとどまらず、実際のプレーに必要な「スムーズな身体の向きの作り方」や「首を振るのではなく、姿勢を崩さずに目を動かして、状況を認知する方法」などを実演している。谷氏は言う。

tani02_04.png

「今回の動画では、汎用性の高いトレーニングを紹介しました。練習や試合の準備として、狭い場所や少人数、空いたスペースでできるトレーニングです。オフザボールのステップの質が上がると、サッカーのパフォーマンスも間違いなく上がります。選手の力を最大限引き出すためにも、ステップワークのトレーニングに取り組んでいただければと思います」

<< 前回の記事を読む 

この内容を動画で詳しく見るには
こちらから会員登録!

【講師】谷真一郎/ 愛知県立西春高校から筑波大学に進学し、蹴球部に在籍。在学中に日本代表へ招集される。同大学卒業後は柏レイソル(日立製作所本社サッカー部)へ入団し、1995年までプレー。
引退後は柏レイソルの下部組織で指導を行いながら、筑波大学大学院にてコーチ学を専攻する。その後、フィジカルコーチとして、柏レイソル、ベガルタ仙台、横浜FCに所属し、2010年~2019年までヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチを務める。「日本で唯一の代表キャップを持つフィジカルコーチ」。現在は、「ヴァンフォーレ甲府・フィットネスダイレクター」として育成年代を中心に指導を行っている。