09.10.2021
試合で出たチームの課題を解決するために/私が「COACH UNITED ACADEMY」で指導を学び続ける理由
「サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』」会員の方々が、動画を始めとする情報をどのように役立てているかを紹介するこの企画。
今回登場してくれたのは、千葉県君津市の君津中学校で指導をする岩村和記さん。教員をしながら「ACカラクテル」に所属し、千葉県リーグを闘うプレーヤーでもある。教員、サッカー部監督、フットサル選手と三足のわらじを履く岩村さんはCOACH UNITED ACADEMYをどのように活用しているのだろうか?(文・鈴木智之)
(岩村さんの取材はオンラインで実施。)
外で勉強する機会の減少により動画の活用を開始
岩村さんがCOACH UNITED ACADEMYに加入したのは、コロナ禍がきっかけだった。
「以前は他のチームの練習を見学させてもらったりと、外に出て勉強する機会が多かったのですが、コロナになってから行けなくなりました。どうやって指導の勉強をしようかと思っていたときに、同じ地域をよりよくしていこうと切磋琢磨している指導者の知人に『こういうのがあるよ』と教えてもらったのが、COACH UNITED ACADEMYに加入したきっかけです」
加入してすぐに、西宮タイガースや帝京長岡高校、バディSCの動画を見て、トレーニングに取り入れたという。
「動画は毎週配信されているものをチェックするのと、週末の試合で出た課題を解決するために、どんな練習がいいかと参考にしています。たくさんの動画があるので、何かしらの解決策を見いだせるのはいいなと思います」
西宮タイガースの動画は、千葉総体前に「攻撃を強化したい」という理由で参考にし、バディSCの動画は「守備を向上させたい」という目的で見て、練習に取り入れたという。
「動画を見て、同じオーガナイズをするときもあれば、コートサイズを変えたり、タッチ制限を加えたりしながら、子どもたちに合った内容に落とし込んでいきます。動画で参考にするのは、コーチの声かけの内容とタイミングです。『ここはプレーを止めて指導するんだ』『ここは流すんだ』など、コーチングを見ながら、自分だったらどうする? と考えながら見ることもあります」
未経験者にも「サッカーって楽しい」と思ってもらえる指導をしたい
かつては指導現場に足を運び、現在は動画を活用して学びを続ける岩村さん。その根底にあるのが「部活でサッカーをしたいと選んで来てくれた子たちに、少しでも質の高いトレーニングを提供したい」という想いだ。
「私が指導しているのは中学校の部活なので、サッカー未経験の子もいます。そういう子にもわかりやすく、サッカーって楽しいなと思ってもらえるような指導をしたいです」
インタビューの中で「中学校からサッカーを始めた子が、公式戦でゴールを決めたんです」とうれしそうに話す岩村さん。熱心な指導の甲斐があり、君津中学校としては10年ぶりとなる千葉県大会に出場し、新人戦と千葉総体で県3位になるなど、就任4年目にして結果を残している。
「部員は3学年で50人ほどいます。3学年が一緒に練習するので、上手な子もいれば初心者の子もいます。その中で、どうすればうまくプレーできるか、周りをサポートしてあげられるかを考えたり、学ぶことができるのが、部活の良さだと思います」
中学生年代はクラブチームが隆盛だが、サッカーにかかる費用が安価で移動時間も少なく、勉強との両立がしやすいなど、部活動にもメリットはある。
岩村氏のように、質の高いトレーニングを提供する指導者がいるのであれば「部活でサッカーをしてみようかな」と思う子どもも増えるだろう。
「COACH UNITED ACADEMYの動画を見ていると、どのチームの選手も生き生きとプレーしていますし、練習の最後にはプレーが向上しているのがよくわかります。私としても、そのような指導に少しでも近づけるようなトレーニングを心がけています」
動画を見るのは、家族が寝静まったあと。翌日の練習で何をしようかと考えながら、動画を参考にしているという。
「私は教員なので学級経営であったり、授業の準備等が最優先であり、部活に対しての準備は最後になってしまいます。サッカー指導にかける時間が限られる中で、自分の都合に合わせて動画を見られるのは、すごく助かっています。サッカーは常に進化しています。自分の経験を元に教えるだけでは十分ではないので、勉強することは大切だと思いますし、意識している部分です」
サッカー経験者から初心者まで、様々な子どもを指導する岩村さん。自身がプレーするフットサルのトレーニングを取り入れるなど、指導内容の向上に余念がない。
発言は常に謙虚で「まだまだ学び足りないところがあるので、動画を継続して見て、勉強したいです」と振り返る。様々な学びをもとに指導をレベルアップさせる指導者が率いる、君津中学校サッカー部。今後のさらなる躍進が期待できそうだ。
取材・文 鈴木智之