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「バイタルエリアでは逃げない」ゴールを意識した技術・判断の習得方法/RIP ACEの戦術的トレーニング2

樺山諒乃介(横浜F・マリノス)、林尚輝(鹿島アントラーズ)、中島大嘉(北海道コンサドーレ札幌)などのJリーガーを輩出し、注目を集めるクラブが大阪にある。それが『RIP ACE SC』(リップエース・サッカークラブ)だ。個の育成に定評があり、興國高校で1年生ながら背番号10をつける宮原勇太(U-16日本代表候補)もOBのひとりだ。

彼らは普段、どのようなトレーニングを実施しているのだろうか? RIP ACE U-15 今村康太監督による「バイタルエリアの攻略からフィニッシュにつなげるトレーニング」。このテーマは、前回の出演の際に行った「ビルドアップからバイタルエリアを攻略する戦術的トレーニング」の続きとして設定された。今回の動画前編では「ゴールを意識した、オン・ザ・ボールのトレーニング」を紹介したい。「すべての動作を、ボール足重心で行うこと」にこだわるトレーニングは必見だ。(文・鈴木智之)

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パスやドリブルなどすべての動作をボールに触る足に重心を乗せて行う

トレーニングの最初は3対2(2対2+1フリーマン)から。

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ドリブル、ワンツー、ミラーパス(リターンパス)、スイッチ(ヒールor足裏)のみでボールを保持し、ワンツー、ミラーパス、スイッチ後のプレーがワンタッチならば、ボールを受けた選手の選択肢は自由というルールでスタートした。

ポイントは「ゴール前(バイタルエリア)での崩しをイメージすること」「ワンツーやミラーパス、スイッチ後のプレーをイメージし、1つ先の目的から逆算して仕掛けること」「スペースがあればドリブルで仕掛けていくこと」などが挙げられる。

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今村監督からは「フリーなのに簡単にはたかない。ワンツー、ミラーパスをしたあとのプレーをイメージしよう」「相手が食いついていないのにワンツーはないよ。バイタルエリアでは逃げない。守備の背中を取りに行く」など、相手の状況を見ながら、攻撃的にプレーすることへの指示が飛んでいた。

2つ目のトレーニングは「ゴール前のシュート」。1対1(+GK)の状況で、攻撃側の選手が守備側の選手をドリブルでかわし、シュートを打つ。守備側は4割程度のパワーでついていき、攻撃側は数種類のフェイントを使い、ドリブル突破からシュートを狙っていく。

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攻撃側のポイントは、シュート、パス、ドリブル、すべての動作を、ボールに触る足に重心を乗せて行うこと。シュート時は軸足に重心を残さず、蹴り足に重心を乗せ、シュートを打った後は蹴り足で着地するといったように、細部の動作にフォーカスしていく。

今村監督は選手たちのプレーを見ながら「ゴールを見て、突破を仕掛けている人?」「目の前の相手を見て仕掛けている人?」と質問。そして、「目の前の相手は間接視野で見ればいい。ゴールを見て仕掛けよう」と、ゴールという目的を見据えたプレーの重要性を説いていた。

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さらにはシザースの仕方にも言及し「右足でシザースしたら、左足に重心を移行させよう」など、重心移動のポイントも指導しているので、詳細は動画で確認してほしい。

攻撃の重要ポイントは「フィニッシュまでスピードを落とさないこと」

3つ目は「3対3」(GKあり)。中央の選手からの横パスでスタートし、ボールを受けた選手の前のDFはマーカーを回ってから守備をする。攻撃の選手はダイアゴナル、プルアウェイのいずれかでDFラインの背後を狙う。

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攻撃側のポイントは、フィニッシュまでブレーキを踏まない(スピードを落とさない)こと。パス、ドリブル、シュート動作をボール足重心で行うことは、これまでと同様だ。

トレーニング開始時、攻撃の選手は「クロスオーバー」もありとしていたが、スピードが上がらないと見るや、「クロスオーバーなし」に変更。今村監督は再三、スピードに乗ってゴールを目指すプレーの大切さを訴えていた。

前編最後のトレーニングは「5対4(2対2+2対1+1対1)」(GKあり)。中央で2対2、左サイドで2対1、右サイドで1対1と人数が増えていき、プレーした選手は最後の1対1までピッチに残り、プレーに関与し続ける。(最終的に5対4になる)

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今村監督は攻撃の選手に対して「ゴール、GK、FWを見て仕掛けよう。目の前の相手だけを見ていたら、ドリブルでかわすことしか考えていないことになる。中(ゴール前)がフリーだったら、ドリブルでかわさず、パスするやろ? 中を見ながら仕掛けよう」と、ゴールを奪うための判断、プレーについて重点的にコーチングしていく。

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選手たちに「本番(試合)でやらないことを、なんでやるの?」と問いかけていたが、すべてのメニューが、試合に直結している様子が見て取れる。そのトレーニングオーガナイズ、コーチングの内容はぜひ参考にしてほしい。

練習後、今村監督は次のように振り返った。

「今回の練習のポイントは、ドリブル、パス、シュート、すべての動作をボール足重心で行うこと。すぐにブレーキを踏まないことや、軸足で踏ん張らないことも大切です」

身体操作に裏付けされた、スピードを落とさないドリブルの秘訣や、スピードに乗った攻撃を実現するためのトレーニングを知りたい人は、ぜひ動画を確認してほしい。多くの発見と気づきがあるはずだ。

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【講師】今村康太/
習志野高校時代に本田裕一郎監督(元・流通経済大学付属柏高校)の指導下でプレー。大学生で指導者の道に入り、2002年に「RIP ACE (リップエース)サッカークラブ」を創設。 OBには樺山諒乃介(横浜F・マリノス)、林尚輝(鹿島アントラーズ)、中島大嘉(北海道コンサドーレ札幌)らJリーガーも輩出しており、全国的に注目を集めている。