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バイタルエリアの攻略は相手の背後を狙いDFラインを下げさせる/RIP ACEの戦術的トレーニング2

大阪で活動する『RIP ACE SC』(リップエース・サッカークラブ)は、樺山諒乃介(モンテディオ山形)、林尚輝(鹿島アントラーズ)、中島大嘉(北海道コンサドーレ札幌)などのJリーガーを輩出するとともに、迷彩柄のウェアと相まって、注目を集めるクラブだ。

COACH UNITED ACADEMYには過去にも出演しており、1回目のテーマは「ビルドアップからバイタルエリアを攻略する戦術的トレーニング」だった。2回目の今回は RIP ACE U-15 今村康太監督による「バイタルエリアの攻略からフィニッシュにつなげるトレーニング」を紹介したい。(文・鈴木智之)

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ドリブルで仕掛ける時は「ゴール前の味方とGK観る」

前編では「ゴールを意識した、オン・ザ・ボールのトレーニング」を通じて、身体操作に重点を置いた攻撃のトレーニングを実施した。後編では「実戦形式でバイタルエリアを攻略する応用練習」をテーマに、ゴール前の攻防と試合が行われた。

後編最初のトレーニングは「5対4(3対2+4対4)」。攻撃方向の手前から、攻撃3対守備2、ゴール前に4対4を配置し、3対2の攻撃側の選手にコーチが配球してスタートする。

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手前の攻撃側3人は守備側2人をかわし、前方で4対4(+GK)の状況にいる攻撃側の選手にパスを送る。つまり、中盤ゾーンを突破し、アタッキングサードにボールを入れる状況のトレーニングだ。

前方の4対4にボールを入れたところで、手前で3対2をしていた選手の中から、攻撃側の選手が1人だけ前進し、攻撃側に加わる。最終的には攻撃側5対守備側4(+GK)の状況で、ゴール前の攻防をトレーニングする。

今村監督は攻撃の選手に対し、「バイタルエリアに顔を出そう」「相手とかぶらないように」「FWはまず背後を狙おう」などの指示を送っていた。

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さらには途中でプレーを止めて、センターバックとボランチの間で攻撃側の選手がボールを受けようとする際に、守備側の選手(センターバック)は素早くアプローチしにいくことに言及。

FWは守備側にインターセプトさせないように、最終ラインの背後に抜けることで、相手のラインを下げさせ、他の選手がバイタルエリアでボールを受けるためのスペースを作ることなどをアドバイスしていた。

ここでも、前編に続いて周囲を観ることの重要性を指摘し、ドリブルのときは「目の前のDFではなく、ゴール前にいる味方とGK観ること」を強調。攻撃の目的を理解し、ゴールに迫るように意識付けをしていった。

ゴール前では「スペースを作る動き」と「味方との連動」を意識する

2つ目のトレーニングは「6対6」。

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最初に実施した「5対4(3対2+4対4)」と設定は同じで、手前のエリアから、ゴール前のエリアに参加できる攻撃の選手が2人、守備の選手が2人に増える。

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最終的にゴール前は6対6+GKになるので、状況が複雑化する。その中で攻撃の選手は、味方がプレーするためのスペースを作る動きをすること、味方と連動すること、ゴールを目指してプレーすることにフォーカスしていった。

最後は「ハーフコートのゲーム」。守備側がGKを入れて11人、攻撃側が10人の設定で実施。攻撃側はゴールを目指し、守備側はハーフコートのライン通過で1点となる。

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攻撃はこれまでのトレーニングで取り組んできた、最終ラインの背後を狙うことや、バイタルエリアでどうパスを受けてシュートに持ち込むかといった部分にトライしていく。

また、試合の途中で1分間のミーティングをはさみ、選手同士で改善点を話し合う姿が印象的だった。今村監督からは「人任せにせず、自分の思ったことを伝えよう」と声が飛んでいた。

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今村監督はトレーニング後、COACH UNITED ACADEMYの読者に向けて、次のように語った。

「どうやってゴールを奪うのか。そのために、どのようなシステムを採用するのか。クラブのフィロソフィやゲームモデル、プレーモデルを構築することが大切です。対戦相手はどんな守備戦術を採用してくるのかを考え、そこから逆算して、トレーニングを組むことを意識しています」

さらには「今回紹介したトレーニングメニューを参考にしてくださるのはうれしいのですが、このような考え方も参考にしていただき、オリジナルのトレーニングを考案してみてはいかがでしょうか」と話しており、ただコピーするのではなく、指導者の考え方にもアドバスを送っていた。

試合に直結した状況で、選手の技術と判断に働きかけるトレーニングの数々を、ぜひ動画で確認してほしい。さらには、その背後にある狙いについても、考えを巡らせていただければと思う。

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【講師】今村康太/
習志野高校時代に本田裕一郎監督(元・流通経済大学付属柏高校)の指導下でプレー。大学生で指導者の道に入り、2002年に「RIP ACE (リップエース)サッカークラブ」を創設。 OBには樺山諒乃介(モンテディオ山形)、林尚輝(鹿島アントラーズ)、中島大嘉(北海道コンサドーレ札幌)らJリーガーも輩出しており、全国的に注目を集めている。