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相手を観てボールを運ぶと優位な状況ができる。人数が多い局面で1対1と2対1の要素を活かすトレーニング

個人での突破やグループでの崩しなど、攻撃に違いを生む選手を育成するmalvaサッカースクール。全国的な強豪としても知られ、2019年のバーモントカップ(全日本U-12フットサル選手権大会)では、malva千葉とmalva茨城が揃って3位になる快挙を成し遂げた。

元Fリーガーの塩澤昴コーチによる「1対1のボールの運び方とボールを持っていないときの動き方」をテーマにしたトレーニング。後編では「人数が増えた局面で、1対1と2対1の要素を活かすトレーニング」を紹介したい。(文・鈴木智之)

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DFの立ち方、寄せ方、目線等を感じて何を狙っているのかを見極める

塩澤コーチは後編に際し「前編に比べて、2対2、3対2と人数が多くなっていますが、1対1、2対1の要素が基礎になっているので、複数になったときにどのように考えていくのか、どのように選択肢を持っていくのかをトレーニングしていきます」と説明し、実践に移っていった。

最初のトレーニングは2対2。グリッドの対角線上に攻撃側、守備側を交差するように配置し、コーチからの配球で2対2を行う。

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両チームともグリッド内でプレーし、攻撃側はゴール側のゲートを通過してシュートを狙う。守備側はボールを奪ったら、攻撃側の背後のラインをドリブルで抜けていく。

塩澤コーチは「これまでやったトレーニングとつながっているからね。ボールの持ち方、自分の位置を常に意識しながらやってみよう」と声をかけ、トレーニングがスタートした。

その後、プレーとシンクロしながら「相手が絞っているのか、止まっているのか、寄せているのか。相手の守り方に対して、どう攻めていく?」「止まってもいいんだぞ。なんとなく動かない」などとコーチング。さらに守備の選手2人が、攻撃側のパスコースを閉じた場面でフリーズし、次のようにアドバイスを送っていく。

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「よくありがちなのが、守備側2人の間を通せるか、通せないかギリギリの状況でチャレンジして、インターセプトされてしまうこと。気持ちはわかるんだけど、ボール持っている選手はDFの間ではなく、縦のスペースも観て欲しい」と話し、塩澤コーチは縦にドリブルでボールを運んでいく。

すると、縦のコースにいるDFがボールを奪いに近づいてくるので、「このときに、DFがどういう寄せ方をしているかを観ること。立ち方と自分との距離、ボールを取りに来ているのか、パスコースを消しに来ているのかを観察しよう」と考え方を提示していく。

また、パスの受け手にも言及し「ボールを持っている選手をただ見ていると、プレーが止まってしまうので、DFがパスコースを消してきたら、反対側のスペースに出るといったように工夫しよう」とアドバイス。

パスの出し手に対しては「それを観て、どうするかを自分で判断できるようにね。味方に『ヘイ!』と言われたからパスを出すのではなく。そこが(相手を観る→選択肢を持つ→判断する→決断する)一番楽しいところだから、どういう選択肢を持ってプレーするかを意識しよう」と駆け引きの醍醐味を伝えていった。

試合では「運ぶドリブル」で2対1の局面を作り出す

2つ目のトレーニングは「3対2」。グリッドが広くなり、攻撃側3人、守備側2人でプレーする。

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「3対2だけど、考え方は変わらないよ。中央に線を引けば2対1になる。さっきやったドリブルとパスの選択が生まれるので、相手の立ち方を観て、ドリブルかパスかを判断しよう」

塩澤コーチは「シンプルに考えよう。線を作ると、2対1がわかりやすいよ」と話し、攻撃側の3人はボールばかりを見ず、相手を観ることで、どこにスペースができるかを察知することもポイントに挙げていた。

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最後はフットサルコートの中で4対4+GKを実施。これまでのトレーニングで取り組んだことを、人数が増えた中で取り組んでいく。

ここでも「相手を観て」「ボールを運べば2対1ができるよ」「(攻撃側が守備側の)相手と合わない位置をとろう」など、観ることの重要性を繰り返し伝えていった。

さらには塩澤コーチが、マークする相手をどう外すかを実演。元Fリーガーならではの、わかりやすい説明をぜひ動画で確認してほしい。

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塩澤コーチはトレーニング後、次のようにメッセージを送った。

「後編のトレーニングは、人数が複数になりますが、前編で行った1対1、ボールを持っていないときの1対1、2対1が原則になります。どう応用するかを整理することができれば、基本的な考えは5対5、8対8、11対11でも変わりません。実践を通して、頭と体で理解することで、サッカーが深く、楽しくなっていきます。ぜひ楽しみながら、練習を行ってみてください」

今回の動画は、塩澤コーチのわかりやすいデモンストレーション、malvaの選手たちの質の高い技術、判断も確認できる。全国レベルのプレー基準を感じることで、多くのヒントを得ることができるだろう。

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【講師】塩澤昴/
江南南サッカー少年団、東京ヴェルディJrユース、東京ヴェルディユース、青山学院大学体育会サッカー部(主将)を経て、Fリーグのバルドラール浦安、ステラミーゴいわて花巻、府中アスレティックでプレー。現在はmalva mito fc(関東フットサルリーグ) malva SC(千葉県サッカーリーグ)、で選手としてプレーしながら、malvaサッカースクールのコーチを務めている。malvaの育成メソッド内の1つである、「子供の可能性と才能に出会えることに感謝し、子供達から学ぶことを大切する」ことをモットーにしながら日々子供達の指導に努めている。