TOP > コラム > グリッドを3つに分けてサポートの位置や距離を明確に。自陣エリアでボールを失わずに数的優位を作る練習法

グリッドを3つに分けてサポートの位置や距離を明確に。自陣エリアでボールを失わずに数的優位を作る練習法

バディーSC千葉は、ボールを保持するポゼッションスタイルで、強豪ひしめく千葉県を勝ち上がり、2021年の「全日本U-12サッカー選手権大会(千葉)」で決勝に進出した。OBに大宮アルディージャでGKを務める志村滉選手やレノファ山口の高橋秀典、ジェフユナイテッド市原・千葉のルーキー・佐久間太一選手を輩出するなど、選手育成に定評がある。

バディー千葉の統括責任者を務める小峯力コーチによる「バイタルエリアでボールを失わないポゼッショントレーニング」。後編では「自陣バイタルエリアで数的優位を作り出すトレーニング」を通じて、選手たちのサッカー理解を高めていく。(文・鈴木智之)

この内容を動画で詳しく見る

komine02_01.png

<< 前回の記事を読む 

自陣エリアでは1対0(ボール保持者がフリーの状況)を作る

後編最初のトレーニングは「3ゾーン設定の4対2」。35m×25mのグリッドを3つのゾーンに分け、攻撃側は4対2の状況で前進を目指す。

komine02_02.png

ルールとしては「攻撃側は各ゾーンに入れるのは2人まで」(攻撃側は越境サポートして良い)。「守備者は1つのゾーンに1人しか入ることができない」というもので、守備がボールを奪ったら、その選手がいる2人組ごと攻守の役割が変わる。

小峯コーチは「セーフティサードでのドリブルは奪われるリスクが高いので、その位置では1対0(ボール保持者がフリーの状況)を作ろう」と話し、トレーニングがスタートした。

トレーニングの狙いのひとつが、攻撃側の選手がフリーでボールを受け、素早く前進(縦パス)すること。そのタイミングを逃さず、前進するためのボールの受け方、体の向きにフォーカスしていく。

守備側には、ボールを失った選手が、すぐに取り返しに行くことを強調。さらに攻撃側には「自分でプレーを決める」という意思と責任を強く持つように訴えかけていた。

フリーマンを上手く使うコツは味方同士が同じレーンに入らないこと

2つ目のトレーニングは「3ゾーン設定の5対5+2フリーマン」。グリッドを50m×35mと広くし、3つのゾーンに分ける。大まかなルールはトレーニング1と同じだが、攻撃は各ゾーンに2-3-2、守備は1-3-1でポジションをとる。

komine02_03.png

小峯コーチは「プレッシャーを受けていない選手(フリーマン)はどこにいるのか。そこをチームで共有しよう」と声をかけ、「味方にはボールだけでなく、時間も一緒にあげること。パススピード、タッチ数、アングルを作ることも考えながらやってみよう」と、受け手をイメージしながらプレーするように働きかけていく。

komine02_04.png

このトレーニングでは「味方同士が同じレーンに入らないこと」や「味方が幅を取ったときに、前にいる選手が内側のレーンに顔を出してパスコースを作ること」などをていねいに説明。小学生にも理解できるようなアプローチをすることで、考えてプレーするようにうながしていく。

数的優位を作ってボールを保持するにはGKの参加も不可欠

最後は同じグリッドで「7対7+GK(ゲーム)」を実施。2-3-2のシステムで行い、これまで同様「攻撃側のみ、1人が越境サポートOK」というルールで行う。

komine02_05.png

小峯コーチは「ボールを保持している側は、数的優位を作りたいよね。GKを入れて8対8だけど、必ずフリーな選手(GK)がいる。GKが参加しないと1対0の局面は成り立たないよ」と、GKもフィールドプレーヤーの一員としてプレーすることを強調していった。

このトレーニングで重要なのは、ボールの入り口と出口をチームで共有すること。各自がどこにポジションをとれば、ボールを受けられるのか。フリーの味方はどこにいるのか。味方のために、どこにサポートするのかなど、常に考えながらプレーすることが求められる。

また、小峯コーチはハーフターンのボールの受け方など、具体的なプレーも解説。技術や動作にアプローチすることで、スムーズなプレーへとつなげていくとともに、味方同士で声をかけ、プレーイメージを共有することの大切さも伝えていった。

komine02_06.png

トレーニング終了後、小峯コーチは次のように振り返った。

「このトレーニングでは、前進と惰性を識別させることが、個々のスキルアップとともに、相手とサッカーをすることにつながります。自陣からのビルドアップにはミスがつきものですが、コーチングよりも、決断をうながす声かけをしてあげてほしいと思います」

後編のトレーニングはグリッドを3つに分けることで、ポジショニングやサポートの位置、距離が理解しやすくなっている。またグリッドの大きさが適切なので、プレー強度もちょうど良い常態が保たれている。

オーガナイズを工夫することで、サッカー理解に働きかけやすくなっている部分にも注目し、コーチングのポイント、声かけの内容を確認していただければと思う。

この内容を動画で詳しく見る

【講師】小峯力/
大学卒業後に都内私立高校にて指導者としてのキャリアをスタート。同校にてインターハイという場をコーチの立場で経験し、大学研究室にて指導者としての経験を積み、バディースポーツクラブに入社。その後2000年に「バディーSC(神奈川県)」の兄弟チーム「バディーSC千葉」を立ち上げ現在に至る。
バディーSC千葉では22年、平行して千葉市U-11・U-12トレセンスタッフに携わり、現在はバディーSC千葉 統括責任者とU-12の監督を務めている。 現在までにバディーSC千葉の卒業生で3名のJリーガーを輩出している。