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サイドを攻略する3つの攻撃法。大豆戸FC U-15が実践するニアゾーンの崩しの質を高めるトレーニング

激戦区・神奈川に、存在感を放つクラブがある。横浜市港北区を拠点に活動する大豆戸FCだ。

ジュニアユースのOBに横浜FCの小川航基選手がおり、2022年に行われた「高円宮杯JFA第34回全日本ユース(U-15)選手権大会 神奈川県大会」で優勝を果たすなど、強豪として知られている。

同大会では、サイドから鋭い攻撃を繰り広げ、ニアゾーンの崩しでチャンスを演出した。そこで今回は、大豆戸FCで17年に渡って指導し、チームを神奈川王者に導いた森下亮監督に「ニアゾーンの崩しのバリエーションを増やすトレーニング」を実施してもらった。

「サイド攻撃」をどのように指導し、構築していくのか。神奈川チャンピオンに輝いたチームのトレーニングは必見だ。(文・鈴木智之)

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ニアゾーンの攻略で大切なのは、攻撃の型をチームで共有すること

大豆戸FCは選手の特徴を活かし、攻守に攻撃的なサッカーを志向している。森下監督は言う。

「大切なのは、攻撃の型をチームで共有しつつ、相手をしっかり見た中で、型にとらわれないこと。ゴール前では一人ひとりがアイデアを出して、ゴールを奪うことを意識して伝えています」

トレーニングはウォーミングアップを兼ねた「パス&コントロール」からスタート。長方形の頂点に選手を配置し、パス&コントロールを2タッチ以内で実施する。

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森下監督は「まずは精度。ボールスピードは徐々に上げていけば良い」と話し、長方形の長い辺でプレーするときは、強いボールを蹴るというルールを加えていく。

「コントロールから蹴るまでを速くしよう」

次に、長方形の長い辺を使ったパス&コントロール。パスのスピードを上げて、ランニングしている選手に合わせることに意識を向けていく。

「ボールを受けたあとのコントロールで、ゴールに向かうイメージを持とう」

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ポイントは、ランニングしている選手のスピードを落とさないパスを出すこと。森下監督は「エラーはいいから、ギリギリを狙っていこう」とチャレンジをうながすような声掛けを行っていた。

ドリル形式の練習でタイミングやスピードを確認する

ここから、今回のテーマでもある「ニアゾーンの崩し」にフォーカスしたトレーニングを実施。まずは「インナーラップ」から。

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ゴール前に選手を配置し、インナーラップをトレーニングする。中央→サイド→インナーラップの選手とボールをつなぎ、クロスを上げてフィニッシュに持ち込む。シュートはダイレクトというルールだ。

ここで強調したのが、クロスはゴールラインぎりぎりの深い位置へ出すこと。また、ゴール前に入っていく選手はニア・ファー・マイナスのどこでフィニッシュをするかをイメージして入っていくこと。

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インナーラップの次は「オーバーラップ」のトレーニング。クロスを上げる選手は、ボール保持者の外側を回ってパスを受け、クロスを入れる。

森下監督は「ゴール前に入る選手はスピードを持って。(実際の試合で)相手がいたら、マークが外れないぞ」と、実戦をイメージしてプレーすることを意識させていく。

具体的には、緩急をつけた動き出しや、迫力を持った飛び込みでシュートに持ち込む動きでゴールを狙うことがポイントだ。

最後は「3人目を使った突破」。設定はこれまでと同じで、クロスを上げる選手が「3人目」としてボールを受けて、クロスに持ち込む。

ここでは、クロスを上げる選手に対して「ボールの状況を見て、どのタイミングで追い越していくか。速く動き出すと、前で詰まってしまう」と指摘。

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味方と呼吸を合わせて動き出し、クロスを上げるスペースがある状態で、前方へと入っていくことで、ゴール前の選手とのタイミングも合わせやすくなる。

以上で、前編のトレーニングは終了。

森下監督は「前編ではニアゾーンを攻略するため、ドリル形式のトレーニングを行いました。味方を追い越していくタイミング、そこにパスを合わせることやスピードにメリハリをつけることが大切になります」と、指導時に重視する点を教えてくれた。

後編では、前編でトライした動きを、ゲーム形式の中でトレーニングしていく。

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【講師】森下亮/
2006年より、大豆戸FCで指導者としてのキャリアをスタート。現在は、大豆戸FC U-15の監督とU-7のアシスタントコーチを務める。2022年に行われた「高円宮杯JFA第34回全日本ユース(U-15)選手権大会 神奈川県大会」でチームを優勝へと導いた。