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強度の高い状況で技術と判断力を高める。関西の強豪街クラブが行う止める・蹴る・運ぶを実践する練習法

奈良県の強豪クラブとして知られ、「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ」や「全日本U-12サッカー選手権大会」など、全国大会にコンスタントに出場しているYF NARATESORO。

同クラブは、選手の個性を大事にしながら、ボールを止める、蹴る、運ぶ、見て考えることを重視した指導を行っている。

YF NARATESOROで12年間、指導に携わり、U-10で監督を務める大西晃平氏による「ボールを止める・蹴る・運ぶのスキルを同時に習得するトレーニング」。

後編では「攻撃方向をつけて、止める・蹴る・運ぶを実践する練習法」をテーマに、複数の選手が関わるトレーニングで、技術と判断を高めていく。(文・鈴木智之)

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ボールの移動中に相手の状況や空いているスペースを確認する

後編のテーマは「攻撃方向をつけて、止める・蹴る・運ぶを実践する練習法」。これらの要素を、まずは「3対2+2対3」を通じて、トレーニングしていく。

設定として、グリッドサイズは横22m、縦を16mと16mに分け、センターに4m幅の「フリーゾーン」を設置。フリーゾーンには誰が入ってきても良いが、後方のエリアから前方エリアへの進入は1人のみというルールだ。

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目的は、ボールを保持しながら前方へ進入し、ドリブルでラインを通過するか、ラインを超えてパスを受けたら1点となる。

大西監督はプレーを観察した後、ドリブルのスピード、相手にボールを見せていたか、隠していたか、どこにスペースがあるかなどを指摘。

パスを受ける選手に対して、DFを外してボールを受ける動きをするといった、サポートの重要性を投げかけ、状況判断とボールへの関わりに言及していく。

ほかには「周囲の状況を見て、どこが数的優位かを見ることや、ボールの移動中に相手が来ているかを見ることが大事。ボールを止める場所も大事になる。選択肢を増やして、状況に応じて変えていこう」と声をかけていった。

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また「ドリブルで運ぶよという矢印を出すと、相手はどうなる?」と投げかけ、相手を食いつかせておいて、空いたコースへパスを出すなどの駆け引きを伝えていく。

攻撃方向が決まっていると、前後の関係性が大切になる

続いてのトレーニングは「3対2+2対3+2」。グリッドの設定は先程と同じだが、中央のフリーエリアに両チームから1人ずつ配置する。

フリーエリア内の選手は、前方と後方のどちらのエリアでのプレーに参加しても良く、DFが前のエリアに出て守備をするのもOKとする。

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大西監督は「(フリーエリアに選手を配置したことで)ターゲットができるから、そこの狙いを持ちながらやろう」と声をかけ、トレーニングがスタートした。

全体を通じて、YF NARATESOROの選手たちは技術が高く、小気味よくパスがつながっていく。その中でも大西監督は改善点を見逃さず、適宜、声をかけていく。

「中央のフリーエリアの選手は、後ろに降りてビルドアップに加わってもいいし、前に出てもOK。守備の選手もついていっていい」とアドバイスをし、「中央の選手は、前後に出入りしよう。いつ後方エリアに落ちるのか、いつ前方エリアに出るのかを、周りを見て判断しよう」と、状況判断の重要性を説いていった。

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ほかにも、選手のプレーを止めて、「前進するためには、どこでボールを受ければいいか」をていねいに説明しているので、コーチングの内容を含めた詳細は動画で確認してほしい。

大西監督はトレーニングを終え、次のように振り返った。

「このトレーニングのポイントは、攻撃方向がある中で、いつボールを運ぶのか、いつパスをするのかに働きかけること。そのほかに、後ろと前の選手の関係性も大切になります。今回紹介したトレーニングは、ボールを止める・蹴る・運ぶを同時に習得し、ただボールを繋ぐのではなく、プレッシャーのある中でボールを運び、状況を打開しながらゴールを目指すための技術、判断のスキルアップが期待できます」

今回の動画は、実戦に近い設定を通じて、複数の要素に対して同時にアプローチできるトレーニングとなっている。プレー強度も高い状態で行うことができるので、ぜひ動画を参考にし、日々の活動に取り入れていただければと思う。

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【講師】大西晃平/
履正社医療スポーツ専門学校を卒業後、2012年からYF NARATESOROで指導者としてのキャリアをスタートして現在12年目。 2014年にはクラブ初となる「全日本U-12サッカー選手権大会」出場をはじめ、5回の全国大会出場に貢献した。JFA公認B級コーチ、JFA公認GK-レベル1、JFA公認キッズリーダー。