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プレーモデルがあっても、それが絶対ではない。全国大会ベスト8のジェフ千葉が考える戦術を柔軟させる重要性

2023年末に行われた、「第47回全日本U-12サッカー選手権大会」。育成年代の指導法を幅広く動画で紹介する「COACH UNITED ACADEMY」に出演経験のあるクラブ・指導者も多数出場した。

激戦区・千葉を制し、全国大会出場を決めた、ジェフユナイテッド千葉U-12。盤石の勝ち上がりを見せたグループリーグを経て、準々決勝でFCアロンザ(愛知)と対戦。大会屈指の好ゲームを繰り広げた。(取材・文:鈴木智之/写真:渡邉健雄)

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(グループL 第3節。ジェフユナイテッド千葉(黄色)vs スフォンダーレSS(白))

「相手に応じて普段の守備のスタイルと少し変えました」(茂垣監督)

グループリーグ2連勝を経て、迎えたスフォンダーレSS(奈良)戦。ジェフユナイテッド千葉U-12は、引き分け以上で決勝トーナメント出場が決まることもあり、前半10分に竹内奏人選手のゴールで先制すると、その後は落ち着いた守備で対応。

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(ジェフユナイテッド千葉の9番、竹内奏人選手)

後半アディショナルタイムにセットプレーから失点を許したが、引き分けで決勝トーナメント進出を決めた。

試合後、茂垣将太監督は「最後、セットプレーで失点しましたが、そこまでやられる感じはありませんでした。守備の原則に基づいて、粘り強く守ることはできたと思います」と振り返った。

過去にCOACH UNITED ACADEMYで「前線から連動して、ボールの奪い所を定める守備」をテーマに、茂垣監督にトレーニングを実施してもらったが、

この試合に関しては、引き分け以上で決勝トーナメントに進めることもあり「リスクを冒して前から守備をするというよりも、相手の前線に速い選手がいたので、背後のスペースを使われないようにしました」と話すとおり、相手に応じて守備のポイントを変えていた。

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(大会中にインタビューを受ける茂垣監督)

「僕らのプレーモデルとしては、前からアグレッシブにプレスをかけて、高い位置でボールを奪うこと。それはCOACH UNITED ACADEMYでやった通りです。でもこの試合は、相手がGKを含めて8人でビルドアップをしてきたこともあり、普段のプレッシャーのスタイルと少し変えました」

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大切なのは選手の特徴を活かし、チームに組み込んでいくこと

今大会のジェフユナイテッド千葉U-12は、最終ラインに背の高い選手が多く、相手の攻撃を跳ね返す部分がストロングポイントだった。それも踏まえて、茂垣監督は「もちろんプレーモデルも大切ですが、選手の特徴にマッチしていることが大事だと思います」と話す。

「今年の子たちは守備能力が高いので、そこを伸ばしてあげたいという意図もあります。最終ラインの3人は中学生になって11人制になったときに、センターバックとしてプレーすることになると思うので、8人制の中で育成する上でも、そこを頭に入れながらやっています」

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プレーモデルはありながらも、それが絶対ではない。大切なのは選手の特徴を活かし、チームに組み込んでいくこと。

「僕らとしては、ジェフらしさを出すことを考えつつ、サッカーは相手がいるスポーツなので、試合の状況や得点差なども考えながら、柔軟にプレーすることが大切だと思っています。この子たちは理解力が高いので、そこに関してはいつも以上にできているなと感じています」

選手に目を向けると、別格の存在感を放った、キャプテンの片切康誠選手を筆頭に、サッカー理解に優れた選手が多かった。

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準々決勝で、決勝に進んだFCアロンザ(愛知)に破れたが、この試合は個と組織が高いレベルで融合する、大会屈指の一戦だった。

毎年、好チームで参戦する、ジェフユナイテッド千葉U-12。今後の躍進に期待は募るばかりだ。

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