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「集中しろ!」と言わずに子どもの集中力を高める方法/選手の意識・行動を変える!コーチに必要な質問力

COACH UNITED ACADEMYでは「しつもんメンタルトレーニング」の藤代圭一氏による「選手の意識、行動を変える! コーチに必要な質問力」動画セミナーの様子を公開中。ジュニアからトップアスリート、保護者など多くの人々のメンタル面のサポートをしてきた藤代氏。セミナー後編のテーマは「質問を使いこなすための実践トレーニング」と題し、具体的な質問の例を挙げながら、選手たちをより良い方へと導いていく方法を紹介したい。(文:鈴木智之)

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試合中に気になることは練習時まで温めておく

藤代氏は「セミナーの前編では『質問には種類や方法がある』ということで、答えたくなる質問、正しい質問をするために『なぜ?』ではなく『どのように?』という質問を活用しようという話をしました」と振り返り、「後編では実際の場面をイメージして、一緒に質問を考えていきたいと思います」と説明。

「質問が役立つケースはいくつかあります。ひとつは試合前、もうひとつが試合後です。試合中に問いかけることももちろん可能ですが、試合中には課題や気づきなどをストックしておいて、練習のときに質問を通じて、子どもたちにアプローチしていきます」

試合前によくある光景。それが、子どもたちが試合に向けて集中しておらず、注意力が散漫になっていること。年齢的に仕方のない場合もあるが、コーチとしては集中して試合に臨んでほしいと思うもの。そこで藤代氏は次のように語りかける。

「試合前、子どもたちが集中していないとき。あなたは、どんな質問をしますか?」

セミナー参加者はこの問いかけを受け、自分ならどのような質問をして、集中力を高めていくかを考えていく。そこで藤代氏は「質問の仕方のヒント」を提供する。

「質問をするときは、意識をして問いかけることが重要です。質問をすることでどこに焦点を当て、何を考えてほしいのかといったイメージを持つと、良い質問ができると思います」

ここで藤代氏から、質問のイメージが伝えられる。藤代氏は子どもたちが集中していない状況では「試合が終わったときに、どうなっていたら最高だと思う?」という問いかけをするという。この質問は、未来やポジティブな部分、可能性に焦点を当てることでそこに意識を向け、行動をうながす効果が期待できる。

「『この試合でできることは何がある?』と問いかけることもあります。これは、いまできることに向き合ってほしい、試合の中で何ができるかを考えるきっかけを作りたい時の質問です。さらに『どんなことにチャレンジしたい?』という質問をすると、選手たちは試合の事を想像します。そうすることで、集中力を高めていく狙いがあります」

他には「もし負けるとしたら、何が原因かな?」というように、未来に起こりうるリスクに対してアプローチすることもあるという。セミナーでは、「格上との対戦で劣勢が予想される場面」「試合に勝ったとき」「負けたとき」などの具体的なシチュエーションが提示され、それに適した質問を考えていく作業を通じて、理解が深められていった。

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迷ったときは「9つの質問」に戻るべし

さらには「試合中の質問をどう考えるか」というテーマに入っていく。

「前提として、コーチは『試合が始まったら、大きな変化は起こせない』という考えがあります。練習でできないことを試合でやるのは難しいので、試合は次の練習や試合前に質問することをストックする場として考えると良いと思います。ここでは『9つの観察のポイント』を通じて、子どもたちの様子を見ていってください」

<次の練習に向けた観察のポイント> ・ポジティブ ・ネガティブ ・大きい/抽象的 ・小さい/具体的 ・可能性 ・リスク ・過去 ・いま ・未来

具体的な説明はCOACH UNITED ACADEMY動画をご覧頂ければと思うが、藤代氏は「質問をするときは、9つのポイントに何度も戻って考えてほしい」と言葉に力を込める。

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さらには「試合でうまくいったことや、改善点を活かして課題の確認をしたいと思ったあなたは、子どもたちにどんな質問をするでしょうか?」という問いかけを通じて、過去のポジティブなことに焦点を当てた「(試合を振り返って)うまくいったことは何があった?」という質問や、過去のネガティブなことに焦点を当てた「(試合を振り返って)うまくいかなかったことは何があった?」。過去の抽象的なことに焦点を当てた「どんな課題が見つかった?」。過去の具体的なことについて尋ねる「守備の面で、どんな課題が見つかった?」など、質問の視点を意図的に操ることで、選手の考えを深め、具体的な行動につなげるように導いていく方法が紹介されていた。

そして「どうすれば、いまより良くなると思う?」という、いまからできる具体的なこと、可能性に着目する質問で行動をうながしていく。

セミナーではさらに具体的なサッカーのシチュエーションにフォーカスした、質問の仕方にも言及。サッカーコーチの経験を持つ藤代氏ならではの着眼点を、ぜひ参考にして頂ければと思う。最後に、藤代氏からCOACH UNITED ACADEMYユーザに向けたメッセージを紹介して、この記事を締めくくりたい。

「コーチングの一つの考え方に『自分で考えた答えが自分のものになる』というものがあります。アドバイスや指示が悪いわけではありませんが、質問を活用することによって、選手自身が自分で答えを見つけるきっかけを作ることができます。コーチが意識して質問することによって、子どもたちが辿り着きたい目標や、なりたい自分になるための、より効果的なサポートをすることができます。ぜひこのセミナーをきっかけに、できるところから取り組んで頂けたら嬉しいです」

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【講師】藤代圭一/ スポーツメンタルコーチ。1984年、名古屋生まれ。東京都町田で育つ。スポーツスクールのコーチとして活動後、教えるのではなく問いかけることで子どものやる気を引き出し、考える力を育む「しつもんメンタルトレーニング」を考案。全国優勝を目指す様々な年代のチームから地域で1勝を目指すチームまでスポーツジャンルを問わずメンタルコーチを務める。全国各地でワークショップを開催し、スポーツ指導者、保護者、教育関係者から「子どもたちが変わった」と高い評価を得ている。2016年からは「1人でも多くの子どもたち・選手が、その子らしく輝く世の中を目指して」というビジョンを掲げ、全国にインストラクターを養成している。著書に「子どものやる気を引き出す7つのしつもん」(旬報社)がある。