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何のためにショートパスでボールを動かすのか?/狭いスペースでも打開できる技術と判断の指導法

COACH UNITED ACADEMYでは、多摩大目黒高校サッカー部監督、中学総監督の遠藤雅貴氏が指揮を執るトレーニング映像を公開中。遠藤氏は現役時代、富士通川崎サッカー部(現・川崎フロンターレ)で選手として活躍し、2008年から多摩大目黒高校の監督を務めている。2017年度に全国中学校サッカー大会で3位に輝くなど、全国レベルの強さを誇る多摩大目黒のトレーニングを紹介する。(文:鈴木智之

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「いつ」「どこで」攻撃のスイッチを入れるのか?

トレーニングのテーマは、狭いスペースでも打開できる正確な技術と判断、そしてサポートの動き。COACH UNITED ACADEMY前編では、ウォーミングアップを兼ねたスクエアパス、6対2を実施。後編では難易度を上げ、より実戦に近い設定でトレーニングを行っていく。

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まずは「6対2+2」からスタート。長方形のグリッドをゾーンで区切り、最初に片方のサイドで6対2を行い、逆サイドのスペースに「プラス2」の選手2人が待機する。ボール保持側は6対2でボールポゼッションをしながら、逆サイドで待っている2人(プラス2の選手)にパスを出すことが目的となる。

プラス2の選手にボールが渡ったらゾーンが変わり、今度は逆サイドで待つ2人の選手(プラス2)にパスを渡すことが目的となる。(ボールを奪われた側の2人組は、すぐにディフェンス側になる)

ここでの優先順位は、まずはボールを失わないこと。6対2の数的優位なので、ディフェンスの位置をしっかり見てパスをつないでいく。さらにはボールを動かしてディフェンスを食いつかせ、逆サイドの「プラス2」の選手へパスを送ること。ディフェンス側の選手は、ボールを奪った瞬間に攻撃側になるので、素早い攻守の切り替えも求められる。

遠藤監督が攻撃側の選手に対して、意識的にコーチングしていたのが、リズムを変えること。6対2の数的優位なので、落ち着いてプレーすればパスは回る。ただ、このトレーニングの狙いは「守備側をおびき寄せて、空いた逆サイドのスペースにボールを運ぶこと」にある。そのためには、パススピードの変化やコンビネーションプレーを使い、ディフェンス側を動かす必要がある。

「何のためにショートパスでボールを動かすのか。それはディフェンスを引き出すため。ディフェンスの位置を見て、相手を引き出して裏を取る。ボールスピードでリズムを変えるのか。味方と声をかけあって、ディフェンスを引き出してスイッチを入れるのか。それを全員で共有して縦パスを入れよう」

また、ディフェンス側には「攻撃側のサポートが遅い、ボールが浮いた状態はチャンスなのでハイプレッシャーをかけよう」とアドバイス。狭いグリッドの中でプレーするため、素早い攻守の切り替え、プレー強度を高めるような声掛けが行われていた。


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いまグループで何をすべきか判断する

最後のトレーニングは「5対3+2対1」。ゴールを1つ使い、ゴールキーパーが1人入る。攻撃側から見た左サイドのエリアを使って、5対3を実施。攻撃側の目的は、中央からファーサイド付近にいる攻撃側2人対守備側1人(2対1)の所へボールを入れること。


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攻撃側は左サイドでパスを繋いで相手を引きつけておき、タイミングを見て中央にいる攻撃側のFW選手に長いパスを送る。その瞬間、7対4+GKに設定が変化する。(守備側がボールを奪ったら、攻撃側の背後にあるライン をドリブルで突破するか、2つのミニゴールへパスを狙う)

サイドで数的優位を作り、パスを繋いで相手をおびき出し、中央へパスを送る。これは試合中によくあるシチュエーションだ。遠藤監督はパスのスピードやタイミング、ボールを動かして相手を引きつけることなどをコーチング。

「逆サイドの味方にボールが入ったら、なるべく時間をかけずにシュートまで持って行こう。時間をかけるとディフェンスが戻る時間ができてしまう。逆サイドの選手は受け身ではなく、チャンスだなと思ったら『こっちに出せ!』という声かけをしよう」とアドバイスを送っていた。

遠藤監督は「狭いスペースでもディフェンスの位置を見て、グループでいま何をすべきなのか?ポゼッションすべきなのか、縦パスを入れて素早くゴールを目指すべきなのか、そういった判断の部分をトレーニングしています」と、このトレーニングの目的を話してくれた。

中高一貫で6年間指導できるということで、しっかりボールを動かして主導権を握っていくサッカーを目指す多摩大目黒。しかし、ボールを動かすサッカーと言っても、ボール回しだけで終わるのではなくて、縦に早い攻撃もできるし、ポゼッションもできる、カウンターもできるといった、相手に応じて選手が判断し変えられるサッカーを目指している。

時間とスペースがない現代サッカーにおいて、どのようなトレーニングで技術と判断を向上させていくのか、詳細はぜひCOACH UNITED ACADEMY動画でご確認頂ければと思う。

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【講師】遠藤雅貴/
多摩大学目黒サッカー部 高校監督・中学総監督。現役時代は富士通サッカー部(現・川崎フロンターレ)でプレー。引退後は川崎フロンターレの巡回指導コーチを経て、仙台育英学園サッカー部で高校、中学でヘッドコーチを務める。横浜FCサッカースクールU-12強化カテゴリー担当コーチとして活動した後、2008年より現職。2017年度は全国中学校サッカー大会でチームを3位に導いた。