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攻守の素早い切り替えを習慣づける/セビージャFC考案の U-10年代までに身につけておきたいスキル

COACH UNITED ACADEMYでは、福島県で活動する「セビージャFC サッカーアカデミー福島」のトレーニングを公開中。セルヒオ・ラモスを始め、数々のスター選手を輩出するセビージャのアカデミーでは、U-10の選手に向けてどのようなトレーニングをしているのか?後編では「攻撃から守備への切り替え」をテーマに行われた、練習の様子を紹介したい。(文:鈴木智之)

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マイボールを失った瞬間、守備へ切り替える意識を持つ

最初の練習は「ドリブル⇒パスから守備への切り替え」。設定としては、フットサルコート1面を使い、対角線上にボールを持った選手が一列に並んでスタンバイする。下図のように、まず片方の選手がドリブルスタートし、黄色いマーカーに到達した時点で外側に交わし、中央で待っている選手に向けてパスを出す。そして、パスを出した瞬間に反対側にいる選手がドリブルをスタート。パスを出した選手は攻撃側から守備側へ役割を変え、ドリブルする選手を追いかける。

ドリブルする選手は追いかけてきた選手のプレッシャーに負けることなく、スピードを上げてマーカーの外側を通り、中央で待っている選手にパスを出す。そして、パスを出した選手が今度は守備側になるという形で、絶え間なくプレーが行われていく。

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ここでロドリゴ氏は「パスを出して終わりではないよ。ボールを奪われたら、すぐに守備をしなくてはいけない」と攻守の切り替えの重要性を伝え、「ドリブルをする選手を追いかけて、プレッシャーをかけよう」とアドバイス。最初にパスを出す際には「まずは味方に正確なパスを通すこと」と話し、ドリブルをする選手には「攻撃側の選手はパスを出した瞬間を見逃さず、縦に速いドリブルをしよう。そして、黄色いマーカーの外側にボールを持ち出し、外から中へパスをすること」を重点として伝えていた。

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トレーニグ中、ロドリゴ氏は選手のプレーをつぶさに観察し、良いプレーには「ビエン!(いいね)」や「バモ!(行け)」などと声をかけ、名前を呼んで褒めていた。そうすることで、選手たちがトレーニングに集中する環境を作り出していく。

また、このトレーニングはパスだけ、ドリブルだけ、シュートだけと、それぞれのスキルが切り離されることなく、パスと守備、状況判断とドリブルといったように、常に複合的な要素を同時に実行する設定となっている。さらに、守備から攻撃への切り替え時には、全力のスプリントが要求されるなど、瞬発力やプレーの連続性などにもアプローチすることができる。選手たちを飽きさせることなく、様々な要素を試合に近い状況で向上させるトレーニングと言えるだろう。

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守備のことを考えすぎず、まずはシュートを枠に収めるのが最優先

「攻撃から守備への切り替え」。次のトレーニングは「ドリブル⇒シュートから守備への切り替え」だ。まず攻撃側の選手(シュート役)はフットサルコート中央部からスタートし、ドリブルで前にボールを運び、シュートを打つ。シュートを打った瞬間、サイドにスタンバイしているドリブル役の選手がスタートするので、意識を守備へと瞬時に切り替えて、ドリブルを止めるために全速力で追いかける。

トレーニング開始直後、シュート役の選手が「シュートを打った後に、守備に切り替えること」に意識が行き過ぎてしまい、シュートが枠を外れたり、しっかりボールをミートできないといった現象が起きていた。そこでロドリゴコーチは「まずはシュートをしっかり決めることを考えよう」と話し、「守備のことを意識しすぎない」とアドバイスをしていた。

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COACH UNITED ACADEMY動画の前編、後編を通じて、ロドリゴ氏が子どもたちに対して、きめ細やかに意識を配っている様子が見てとれる。また、コーチングで多くを求めすぎず、ポイントを絞って重点を伝えること。選手のプレーを絶えず観察し、良いプレーは褒め、良くないプレーについてはアドバイスを送って向上をうながすといった、コーチとしての基本を大切に指導する様子を見ることができる。このあたりの姿勢は、普段、自分の指導を顧みることの少ないコーチにとっては大いに参考になるだろう。

ロドリゴ氏は日本の子どもたちについて、「みんな真面目で素直。学ぶ姿勢や行動がとても良く、しっかり教育がされていると感じます。トレーニングでは常に集中をしていて、人の話をしっかり聞くことができる」と高く評価する。

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一方でサッカーについては「一人ひとりが良いテクニックを持っていますが、気持ちやモチベーションといった部分は比較的低いと感じています。自分をさらけ出す事が足りないので、そういった点をしっかり子供達と向き合い伝えていければと思っています」と向上すべき部分を話してくれた。

育成に定評のあるセビージャ下部組織が実施するトレーニング。そして子どもたちに対するロドリゴ氏の姿勢については、ぜひ動画で詳細を確認していただきたい。

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【講師】ロドリゴ・ラサルテ/
スペイン・バレンシア出身。バレンシアFCの下部組織で育ち、 スペイン3部、ドイツ2部にてプロとして活躍。現役引退後は、アスレチック・ビルバオ、バレンシアの育成指導者として、若手エリートの育成にあたる。育成指導者時代にセビージャFCとも関わりがあり、スペインサッカーとセビージャサッカーを熟知した指導者。