TOP > コラム > バスケットボールの理論から生まれた「ダイヤモンドオフェンス」/相手のDFラインを攻略するための攻撃戦術

バスケットボールの理論から生まれた「ダイヤモンドオフェンス」/相手のDFラインを攻略するための攻撃戦術

COACH UNITED ACADEMY、今回の講師はスペインでコーチングライセンスのレベル3(最高位)を取得した坂本圭氏。講義の前編では「ポジショナルプレーとは何か?」について「5レーン理論」などを使って解説してもらった。後編では坂本氏が考案した、ポジショナルプレーをベースとした「ダイヤモンドオフェンス」の詳細をお伝えしたい。(文・鈴木智之)

この内容を動画で詳しく見る

<< 前回の記事を読む 

sakamoto02_01.png

相手のファイナルゾーンを攻略する攻撃メソッド「ダイヤモンドオフェンス」

坂本氏が提唱する「ファイナルゾーン(ゾーン3)」を攻略するための攻撃メソッド「ダイヤモンドオフェンス」。

sakamoto02_02.png

「ダイヤモンドオフェンスは、私がスペインのコーチングスクールを受講していたときに考案した攻撃メソッドです。バスケットボールの攻撃メソッドである『トライアングルオフェンス』をベースに編み出しました」

ダイヤモンドオフェンスとは、文字通りダイヤモンド(菱形)を描くように、選手がポジションを取る攻撃の形のこと。ボール保持者の後ろに必ずサポートの選手が入り、安全なパスコースを確保すると同時に、ボール保持者がボールを失った場合、サポートの選手がカウンタープレッシングを実行し、相手のカウンターアタックを避けることができる利点がある。

sakamoto02_03.png

「サポートの選手は、攻撃をしながら守備の準備をします。ボール保持者がボールを失った時に『カウンタープレッシング』と言って、背後にいる選手がボールを奪った選手に対してプレスをかけます」

ダイヤモンドオフェンスのベースとなったのが、バスケットボールの伝説的監督、フィル・ジャクソンが採用した「トライアングルオフェンス」だ。この攻撃メソッドはフィル・ジャクソンとタッグを組んだテックス・ウィンターコーチが編み出したものだ。

「フィル・ジャクソン監督はトライアングルオフェンスについて『バスケットボールコートのストロングサイドに、3人の選手によってサイドライントライアングルを形成します。そしてすべてのプレイヤーを巻き込み、ディフェンスの位置取りに応じて動きます。ディフェンスが何をしているのかを読み、それに応じて反応する。予測しながら行動する。それがトライアングルオフェンスの考え方です』と説明しています」

トライアングルオフェンスとダイヤモンドディフェンス、そしてポジショナルプレーには親和性がある。坂本氏は次のように説明する。

「ゾーンに対するオフェンスパターンは、あるエリアでオーバーロード(注:密集を作って数的優位を作ること)することでスペースを作り出し、空いたスペースにボールと選手を移動させること。つまりポジショナルプレーと同じ考え方です」

ダイヤモンドの形を作ることが選手間のバランスを保つ

ダイヤモンドオフェンスの前提条件は、4つのプレーオプションと個人プレーだ。ボール保持者のプレーの優先順位の1番は深い縦パス。2番は深い斜めのパス。3番目はスペースに対してドリブルを使って前進すること。4番目が横パス(サイドチェンジ)。それでも選択肢がない場合は、バックパスを選択する。ボール保持者の近くにいる選手は、ボール保持者が4つのプレーオプションと個人プレーができるようにダイヤモンド(菱形)にポジションを取らなければならない。

sakamoto02_04.png

選手間の距離は15~20 メートルで、FW、MF、DFという各ライン間のバランスを保つためにも、ダイヤモンドの形は非常に有効だ。まず、各ラインの選手はボールが位置するラインのチームメイトに対して、斜めの位置を保つ。次に前後2つのライン(例えばボールがMFラインにある場合、FWラインとDFライン)の選手は縦の関係になる。そして選手は進行方向に深さを保ち、ボールを受ける。

「4つのパスコース・オプションを、右サイドレーン(ゾーン3)でウイングの選手がボールを受けた状況で説明しましょう。第1オプションは中央方向へ斜めのパスを送る、ポストプレーです。第2オプションがバックパス、サイドチェンジ。第3オプションが横パス、ライン間(相手のDFラインとMFライン)の選手にパス。第4オプションが、ウイングの選手と同じサイドレーンに入る選手への縦パスです」

sakamoto02_05.png

動画では具体的な動き方を説明。例では4-3-3システムを用いて、プレーの優先順位の第1から第4までを紹介するとともに、「ゴール前では選手同士の連携、相手の状況次第で直感的に判断する『即興プレー』をします」と話し、「カットイン(バックドア)」「スプリットの動き」「CFWのターン」「逆のスプリット」「センタリングへの入り方」「クワトロ・ゼロ」「旋回の動き」「ファルソ9」「オーバーロード」などの様々な攻撃バリエーションを紹介している。

これらの単語を「聞いたことはあるけど、具体的にはどのような動きかはわからない」「ぜひチームに取り入れたい」と感じた人は、COACH UNITED ACADEMY動画をご確認いただければと思う。

最後に坂本氏が読者にメッセージをくれた。

sakamoto02_06.png

「この動画を見て、ポジショナルプレーとダイヤモンドオフェンスについて理解が深まったのではないかと思います。スペインにいた時は幼少年代を指導していたのですが、この年代から戦術指導を多く取り入れていました。戦術も、幼少の頃から取り組まなければ、身につけることが難しくなります。ぜひ、技術と戦術の両方をトレーニングできるように学んでいただければと思います」

<< 前回の記事を読む 

この内容を動画で詳しく見る

【講師】坂本圭/ 北海学園札幌高等学校で13年間保健体育の教員(サッカー部顧問)を務めた後、スペイン・バルセロナでスペインサッカーコーチングコースを受講し、レベル3(S級相当)を取得。各育成年代で第一監督やアシスタントコーチを務め、2016~2017シーズンはバルセロナ近郊のクラブCF Badalona(スペインリーグ3部)のトップチームでスカウティングを担当し、リーグ5位に貢献する。