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ジュニアからU-13年代までに必要な良い姿勢の保持方法とは?/清水エスパルスが取り組む体幹トレーニング2

COACH UNITED ACADEMYで公開し、反響を呼んだ清水エスパルスアカデミーで実施する体幹トレーニング。今回は以前配信したものの続編としてジュニアから中学3年生までが実践する、体幹トレーニングの実技と導入にあたってのポイントを、清水エスパルスアスリート育成コンディショニングコーチの齋藤佳久氏に紹介してもらった。今回紹介する体幹トレーニングはサッカーのパフォーマンス向上に繋がる重要な要素なので、ぜひ参考にしてほしい。(文・鈴木智之)

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体幹トレーニングの難易度は年代別に徐々にステップアップさせていく

清水エスパルスが実践する、パフォーマンス向上に必要な体幹トレーニング。齋藤氏によると「トレーニングをSTEP1からSTEP3まで、段階を経て実施している」という。

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「STEP1はジュニア年代から中学1年生まで。STEP2は中学2年生、STEP3は中学3年生になります。エスパルスではサッカー選手を育成する前提として、『まずはアスリートを育成しましょう』という考えを持っています。アスリートとは、運動に見合った身体(可動域や筋力、コーディネーション)を持ち、身体と自分で対話ができる能力や向上心を備えた選手のことです。そのベースを作った上で、サッカーの技術やスキルを身につけていきます」

エスパルスのアスリート育成プロジェクトは姿勢と動き作り、コンディショニング、食育この三つを柱として行っている。その中で姿勢と動き作りのために行うのが、体幹トレーニングだ。

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「体幹トレーニングのSTEP1では良い姿勢の保持。STEP2は重心移動。STEP3はサッカー動作へとつなげていきます」

齋藤氏は体幹トレーニングをする上での注意点として、下記の項目を挙げる。

・トレーニングの意味を理解できていること
・日常生活の基本姿勢が習得できていない場合には実施しないこと
・回数や秒数はあくまで目安であり、痛みが出ない、基本姿勢が崩れないなどを条件に、可能な範囲から実施すること
・痛みは伴わないこと
・客観的な評価を定期的に実施すること
・不明な点は自己判断せずコーチやスタッフに報告相談すること

これらを踏まえた上で、STEP1のテーマから解説していく。

体幹トレーニングを実践するベースとなるのがSTEP1(基本姿勢の保持)

STEP1「安定性」
・良い姿勢の保持
・どこに負荷をかけるのか

STEP2「重心移動」(2次元)
・体幹トレーニングのために重心をどこまで移動させるのか

STEP3「安定した中での動作、スキル」(3次元)
・何のための体幹トレーニングか? サッカーの動きを考慮
・体幹安定性→体幹バランスへ→スキル

時期の目安としては、STEP1がジュニアユースに入る前、もしくは中1の夏まで。(デイリーメニューとしては中1冬まで実施)。STEP2は中1の冬~中2の夏頃までと中2の夏頃から中2の年末年始のオフ明けまで。STEP3は中2の年末年始のオフ明けから中3の夏。さらに中3の夏からユースに入る前と段階を分けている。

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トレーニングの前提条件を紹介したところで、ここからは具体的なメニューに移りたい。STEP1のメニューはフロント、サイドベンチ、バック、パワーポジション、パワーポジションジャンプ(スクワットジャンプ)、パワーポジションロッキング、ランジ、片側立位(腸腰筋)。エスパルスの選手は、これらを練習前に行っている。

「体幹トレーニングのSTEP1は、基本姿勢(立ち姿)をベースに行います。基本姿勢は骨盤が起立し、耳、肩、股関節を結ぶ線が床に垂直であること。肩幅に足を開き、肩甲骨の間とへその下を意識すること。左右のバランスを均等にするといった部分に意識を向けてください」

動画では、体幹トレーニングの基礎となる「フロント」の動きから、順に実演していく。

さらには「パワーポジション」についても言及。パワーポジションとは、素早い動作を行うための動きやすい姿勢のことで「最適な準備の姿勢」と言われている。やり方としては、肩幅に足を開いて、ひざとつま先は正面を向き、足の上にひざと股関節が乗った状態だ。横から見ると骨盤が起立し、体幹とすねは並行。肩、ひざ、つま先を結ぶ線が床と垂直になり、体重は拇指球(足の裏の親指の付け根)に乗せる。

「ドリブルを仕掛ける時やボールを奪う瞬間に足を出す時、ゴールキーパーの構えの姿勢など、パワーポジションはすべての動きの姿勢に共通するものなので、ぜひ身体で覚えてください」

動画ではパワーポジションをとるための、基本姿勢のトレーニングを紹介。さらには、パワーポジションの姿勢でジャンプをするという、動きの発展形も収録されている。ほかにもパワーポジションロッキング、ランジ、腸腰筋のトレーニングなど、導入編であるSTEP1のトレーニングを実演しているので、正しいやり方と悪い例をよく見ながら、参考にしていただければと思う。

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【講師】齋藤 佳久/
理学療法士(PT)、国際PNF協会認定PNFセラピスト、スポーツ栄養スペシャリスト。PTとして10年以上スポーツを専門とするリハビリとサッカーのトレーナー活動に携わる。現在、エスパルス育成部PTとしてメディカル部門を担当する一方、アスリート育成コンディショニングコーチとして、身体作りやパフォーマンス向上、食育に対しての取り組みも行う。姿勢・動作分析から選手を客観的に評価し、必要に応じてパーソナルトレーニングも実施している。