TOP > コラム > 安定した身体づくりに必要なU-14~15年代に取り組むべきこと/清水エスパルスが取り組む体幹トレーニング2

安定した身体づくりに必要なU-14~15年代に取り組むべきこと/清水エスパルスが取り組む体幹トレーニング2

清水エスパルスアカデミーの選手が行う、体幹トレーニング。これまでSTEP 1(良い姿勢の保持)から段階的に理論と実技を紹介してきたが、今回は発展形であるSTEP 2(重心移動)とSTEP 3(サッカー動作)の実技を紹介したい。

段階を経て、体幹トレーニングを「サッカーの動き」に近づけていくメニューを清水エスパルス アスリート育成コンディショニングコーチを務める齋藤佳久氏が実演しているので、普段体幹トレーニングをしている人や、これから始めようとしている人にとって、非常に参考になるだろう。(文・鈴木智之)

この内容を動画で詳しく見る

saito02_04.jpg

<< 前回の記事を読む 

STEP2、3のポイントは身体の軸を動かさずに姿勢を保持すること

齋藤氏は、動画の内容を次のように説明する。

「後編ではSTEP1の発展型であるSTEP2、STEP3を実技形式で行っていきます。STEP2は、STEP2-1とSTEP2-2に分かれています。STEP2-1はSTEP1の基本姿勢を基本として、その中で手や足を動かしていきます。ポイントは重心移動をどの範囲で行うのかです」

saito02_01.jpg

体幹トレーニングはアスリートとしての動きづくり、身体づくりのベースとなるもので、「より良いサッカー選手になるため」に行うものである。その目的に対して、齋藤氏は意識すべきポイントを挙げる。

「STEP2-2では最終的にSTEP3の『サッカーの動作』に結びつけていきたいので、STEP2-1で行った動作を、できるだけ姿勢を崩さずに、スピードを意識した状態で行います。まずは重心移動をできる限り少なくした状態(軸を動かさない状態)で、手足を動かします。手足を動かす範囲は前後左右です。一方向での運動の中で、できるだけ軸を動かさないように姿勢を保持して、運動を行っていくのがSTEP2です」

ここで例に挙げるのが、四つ這いのポーズだ。体幹トレーニングのベーシックな動きなので、見たことのある人、体験したことのある人も多いのではないだろうか。

saito02_02.jpg

「この姿勢は両膝両足と両手の4点で支えています。この4点の中に重心が入っていると、姿勢を保持することができます。STEP2-1で実施するのが、この状態で手や足を上げる動作です。手を上げると4点で支えていたものが、3点になります。そのため、4点で支えている時の重心の位置では、姿勢が崩れてしまいます」

重心移動が多い姿勢は身体全体で支えているので、楽にキープできる。しかし、それでは効果的な体幹トレーニングとは言えない。ポイントは「身体の軸を動かさずに姿勢を保持すること」なので、体幹や背中側の筋肉を働かせることで、姿勢を維持するように心がけたい。

「もし、大きく重心が移動してしまったり、手や足を動かしてバランスをとると効果が薄れてしまうので、できない場合は手を動かす程度で十分です。手足の運動に関しても、自分が出来る範囲をしっかりと理解した上で行った方が、効果は大きくなります」

STEP2の体幹トレーニングはSTEP1の基本姿勢がベースとなる

ここからはSTEP2-1のメニューを紹介したい。

フロント上肢
STEP1で行ったフロント姿勢が基準。左右に軸がぶれていない状態で手を前方に伸ばして上げていく。ポイントはできるだけ重心移動が少ないこと。まずは前に伸ばし、できるのであれば真横に開いて前に戻す動きを行う。

フロント下肢
軸を動かさないように足を上げ、できるのであれば横に開く。横に開く場合は重心がぶれない範囲で行う。

バック(ヒップリフト+下肢)
ひざを曲げて足の裏を地面につけた状態を作り、お尻を上げる。両腕は地面につけるやり方と、胸の前で組むやり方がある。後者の方が難易度は高い。次に、お尻を上げたまま重心を移動させず、足を上げる。足の高さは太ももの高さと同じ。その状態保持したまま、足を横に開いていく。

COACH UNITED ACADEMY動画では、サイドベンチ、ランジ(上肢)、片脚立位(下肢前後・左右)、腸腰筋(スイング)といった残りのSTEP2-1のメニューを齋藤氏が実演しているので、ぜひ確認してほしい。

重心移動を出来る限り少なくし、サッカー動作をイメージして行うSTEP3

STEP3-1はスキルの段階になるので、サッカーの動作をイメージした運動を行いながら、姿勢を保持するところがポイントになる。サッカーの動作、スピードを意識した中で回数を実施し、重心移動をできる限り少なくする。そして、軸を動かさない状態で手足を動かす。身体をひねる動きも加わり、実際の動きへと近づけていく。

saito02_03.jpg

・フロント(キック)
・サイドベンチ(キック)
・バック(キック)
・片脚立位(キック)
・腸腰筋(走行動作)

STEP3-1もCOACH UNITED ACADEMY動画で齋藤氏が実演しているので、ぜひ確認してほしい。

エスパルスの選手が練習や試合の前に行っている体幹トレーニングの詳細を動画で確認してもらい、ぜひ日々のトレーニングに取り入れて頂ければと思う。

<< 前回の記事を読む 

この内容を動画で詳しく見る

【講師】齋藤佳久/
理学療法士(PT)、国際PNF協会認定PNFセラピスト、スポーツ栄養スペシャリスト。PTとして10年以上スポーツを専門とするリハビリとサッカーのトレーナー活動に携わる。現在、エスパルス育成部PTとしてメディカル部門を担当する一方、アスリート育成コンディショニングコーチとして、身体作りやパフォーマンス向上、食育に対しての取り組みも行う。姿勢・動作分析から選手を客観的に評価し、必要に応じてパーソナルトレーニングも実施している。