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認知がなければ正しくプレーしているとは呼べない?/東急Sレイエス流プレーモデルの作り方と実践方法

Jクラブと対等に戦える街クラブが神奈川県にはある。それが東急SレイエスFCだ。通称レイエスは、2008年以降、U-15のカテゴリにおけるクラブユース選手権神奈川県大会を計6回も優勝するなど直近10年で台頭してきた強豪チームだ。そしてその躍進の立役者が阪本洋平氏だ。(文・内藤秀明)

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2008年に県大会で初優勝に導くと、2011年~2016年は代表業務も兼任。2017年には一度退職して中国1部リーグの河北華夏甲北速球倶楽部でアカデミーの立ち上げ業務を経験するが、2018年にレイエスに復職。2019年よりチームダイレクター兼U-18監督を務めている。

阪本氏は2019年よりチームダイレクターに就任するにあたって、スペインのフットサル代表監督やレアル・マドリードで育成部長を務めたハビエル・ロサーノ氏から助言を受けてプレーモデルをゼロから作成し、それをチームとして運用することを決めた。

今回は街クラブのレイエスがプレーモデルを作る上で注力したポイント、具体的なプレーモデルそのもの、中でもレイエスがチームとして重要視しているサッカーの認知能力についてなどをCOACH UNITED ACADEMYで紹介してもらった。

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サッカーのゲームにおけるプレーとは何か

阪本氏はチーム内で協議しながら、クラブにおいて大切にしたいミッションやフィロソフィー、ビジョンやバリューを整理したのち、より具体的にサッカーにおけるプレーについても明確にクラブ内で言語化したそうだ。

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「まず我々は、サッカーのゲームにおけるプレーとは、『戦術的行動』のことと定義しました。戦術的行動とは、認知して、決断し、実際に実行するという一連の流れのことです」

「特に実行の場面ではボールを触る技術的な動きが結果に反映され、その結果を自ら評価し、メモリーに残し、次の認知に影響をあたえるという仕組みになっていると、改めて言語化しました。この行動全体をプレーと位置付けたので、認知のないプレーは存在しないと考えます。我々は『認知がプレーの前提となり、決断の精度と速度を助ける』とも考えています。そのため何も認知せず、意図のないランニングなどは、プレーですらないという認識です」

と語ります。

認知とは情報を処理する能力のことと定義

続けて阪本氏は認知について

「認知とは情報を処理する能力のことです。『ピッチ上でのプレーの良し悪しに影響するプレーヤーの知的所有物』とも言語化しました。プレーの前提であり、インテリジェンスの源ですね。『みる』 だけを意味するものでも、『感じる』 といった抽象的な表現だけで満たされるものではありません」

「またゲーム中は戦術的、心理的なプレッシャーの強度や時間、身体的な疲労度なども影響を与えます。トレーニングにより養うことのできる能力であり、フィジカルコンディションのように長期間刺激されないと衰えることもあると考え、定期的なトレーニングが求められます。"プレー" の前提と位置づける我々にとっては、インテリジェンスな選手の育成と創造性あふれるゲーム展開のために、トレーニングや評価などの場面において、最も見識を深めなければならない要素ですね」

認知的目標とは「誘導」「割る」「掛ける」の三つがある

また一つひとつのプレー、つまり戦術的行動には、それぞれに戦術的目的がある。レイエスでは戦術的目的について以下のように語った。

「各フェーズにおける相手の攻略目標を図のように整理しました」

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「我々は攻守それぞれに物理的目標と認知的目標があると考えています。特に認知的な目標については『誘導』『割る』『掛ける』の三つがあると考えています。『誘導』については守備では誘導というものの、攻撃では引き付けるなど言葉が変わってしまうことのほうが一般的かもしれませんが、できるだけ使うワードを減らすためにも、統一して『誘導』というワードにしました」

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その後、戦術ボードを用いて具体的な認知的目標について解説したほか、チームでプレーモデルを運用した結果のメリット、デメリット、プレーモデルを練習メニューに落としこむため方法論などを動画内で解説している。その詳細はCOACH UNITED ACADEMYで閲覧していただきたい。

後編では、プレーモデルを活用した実際のトレーニング模様を紹介していく。

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【講師】阪本洋平/ 東急SレイエスFCチームダイレクター・U-18監督。川崎フロンターレのユース出身で、大学卒業後の2005年からレイエスでコーチとして携わる。2011年~2016年は代表業務も兼任したが、2017年には一度退職し中国1部リーグの河北華夏甲北速球倶楽部でアカデミーの立ち上げ業務を経験した、2018年にレイエスに復帰し、2019年より現職に就任した。