TOP > コラム > 相手の守備を惑わす状況「オーバーロード」の作り方/ブロックを作り引いて守るゾーンディフェンスの崩し方

相手の守備を惑わす状況「オーバーロード」の作り方/ブロックを作り引いて守るゾーンディフェンスの崩し方

「サッカー指導者のためのオンラインセミナー『COACH UNITED ACADEMY』」、今回の講師はスペインサッカーコーチングライセンス・レベル3(S級相当)を持ち、「ダイヤモンドオフェンス サッカーの新常識ポジショナルプレー実践法」を出版した坂本圭氏(COEDO KAWAGOE F.C初代監督)。昨今、よく耳にする「ポジショナルプレー」や「立ち位置」などのキーワードにピンと来た方はぜひ参考にしてほしい。

動画では「ブロックを作り、引いて守るゾーンディフェンスに対する崩し方」をテーマに、前編では、引いて守るゾーンディフェンスの攻略に有効な「ダイヤモンドオフェンスの解説と攻撃サポートの構造化」について解説してもらった。(文・鈴木智之)

この内容を動画で詳しく見る

sakamoto05_01.png

ゾーンディフェンスを攻略するための攻撃方法は4つ

坂本氏は「後ろに引いた守備ブロックを崩すための方法論として、ポジショナルプレーの中にダイヤモンドオフェンスがあります」と説明。「ダイヤモンドオフェンスはポジショナルプレーの一つの方法論です」と定義する。

「ダイヤモンドオフェンスを用いて、ゾーンディフェンスを攻略するための攻撃方法は4つあります。それがオーバーロード。フリープレー。相手の守備と逆の配置。相手の守備と同じ配置です」

sakamoto05_03.png

まずはオーバーロードの説明からスタート。前提として、ゾーンディフェンスとは、各ゾーンを選手1人で守っている状態を指す。(図①)。ゾーンで守る際、1人のセンターバックに対して、相手のFWとウイングが近寄ると、守備側は1対2の数的不利になる。

sakamo05_02.png

そこで守備側のサイドバックが中央に絞り、センターバックと2人で、中央のゾーンで2対2を作るとする。その場合、サイドバックが中に移動して空いたスペースを、別の攻撃側の選手に使われてしまうことがある。

このように、攻撃側の意図的なプレーにより、守備側に高い負荷をかけて攻める状況を、坂本氏は「オーバーロード(高負荷)」と定義している。

「ゾーンのウィークポイントを見つけた攻撃の選手がそこへ入っていくことで、ディフェンスはその選手をカバーする必要があります。さらにディフェンスがヘルプに回ることで、さらなるウィークポイントが生じます。これがオーバーロードの考え方で、ゾーンディフェンスは、オーバーロードに対応することが非常に難しくなります」

続いては、相手ゴールを攻略するための「アシストゾーン」について。

「ダイヤモンドオフェンスでは『アシストゾーン』を攻略することを前提にします。ピッチを5つのレーンに分け、真ん中をセンターレーンとします。その両脇にハーフスペースがあり、これはセンターサークルの横にあるもので、アシストゾーンと繋がっています。そして、両サイドにサイドレーンがあります」

sakamoto05_04.png

坂本氏によると、ダイヤモンドオフェンスのポイントは「相手のDFとMFのラインの間にポジションをとり、ライン間でフリーマンを生み出すこと」だという。そうすることで相手を動けなくさせ、そのゾーンでオーバーロードの状況を作り出していく。

動画では選手のイラストを使い、どのようにしてオーバーロードをかけるかをわかりやすく解説している。「前方にスペースがある場合は、コンドゥクシオン(ドリブルでスペースにボールを運ぶ動き)で、相手を引きつける」「相手が守るゾーンでオーバーロードを発生させて、3人目の動きを使う」などのポイントが提示されているので、ぜひ動画を見て、基本の動きを理解してほしい。

sakamoto05_05.png

ダイヤモンドオフェンスを仕掛けていくための5つの原則

次に、ダイヤモンドオフェンス時の「フリープレー5原則」を紹介。それが下記の5項目だ。

(1)「個々の選手の動きにルールを設定すること(ボール保持者の近くにオーバーロード発生させる)」

(2)「2、3人のグループ戦術を共有し、ボール保持者の近くにいる選手と遠くにいる選手を分けて考える」

(3)「戦術の展開を予測するための選手間のコミュニケーション(戦術の意図や優先順位に関する)非言語による指示(アイコンタクト、ジェスチャーなども含む)」

(4)「ウイングのきっかけのアクションから、近くの選手がアクションを連続させる。もしくはウイング以外の選手がグループ戦術を先に仕掛ける」

(5)「フリープレーがうまく機能しない場合は、ダイヤモンドオフェンスの基本的なプレーオプションを用いる。もしくは組み合わせて局面を打開する」

この5つの原則をもとに、ダイヤモンドオフェンスを仕掛けていく。

さらに動画では、坂本氏が「ダイヤモンドオフェンスを含めた、ポジショナルプレーの醍醐味」と語る、「相手の守備と逆の配置」についての講義も収録。「ライン間、ライン上に立つことの重要性や効果」「3人目の動き」など、「配置でどう優位に立ち、相手の守備を崩すのか」を整理したい人にとって、必見の映像になっている。ぜひ繰り返し見て理解を深め、チーム戦術に新たなエッセンスを取り入れていただければと思う。

sakamoto05_06.png

後編では「ダイヤモンドオフェンスを使い、引いて守るゾーンディフェンスを攻略する方法」をお届けしたい。

この内容を動画で詳しく見る

【講師】坂本圭/
保健体育の教員(サッカー部顧問)を務めた後、スペイン・バルセロナでスペインサッカーコーチングコースを受講し、レベル3(S級相当)を取得。各育成年代で第一監督やアシスタントコーチを務め、2016~2017シーズンはバルセロナ近郊のクラブ「CF Badalona(スペインリーグ3部)」のトップチームでスカウティングを担当し、リーグ5位に貢献。
2020年からは、埼玉県川越市をホームにJリーグを目指す社会人サッカーチームとして設立された「COEDO KAWAGOE F.C」で初代監督を務める。