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鹿島アントラーズで15年指導のコーチが伝授!ジュニアの指導で必要な知識と練習メニュー/イベントレポート前編

COACH UNITED ACADEMYのU-8、U-10向けのトレーニング動画の講師として、好評を博しているのが、蹴和サッカースクール代表の上田原剛氏だ。

15歳の時にジーコサッカーキャンプに参加、ジーコにスカウトされアントラーズユースへ入団、その後大学を経て指導者の道へ進み鹿島アントラーズのアカデミーで15年間指導。その後、「選手だけでなく、指導者の育成に携わりたい」という想いで、蹴和サッカースクールを立ち上げた。

この度、上田原コーチがCOACH UNITED ACADEMY会員の指導者向けに、選手育成やトレーニングに関するセミナーを開催した。テーマは「ジュニア年代の指導で必要な知識と、練習メニューの考え方」。

ジュニア年代を指導する上での悩みを解決するための、たくさんのヒントが詰まったセミナーの様子を、2回にわたってお届けしたい。(文・鈴木智之)

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(鹿島アントラーズのアカデミーで15年間指導、2021年より蹴和サッカースクールを立ち上げた上田原剛氏。セミナーはオンラインで実施。)

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サッカーとはどんなスポーツかを考え、定義づけする事が大切

上田原コーチの指導理念は「関わった人、すべてが成長すること」。これには選手だけでなく、保護者や指導者も含まれている。

ピッチ内では「戦術的に解決できる選手・指導者の育成」をコンセプトに掲げており、「育成で一番大事なのは、選手をやる気にさせること」と話す。

「僕が伝えたいのは、『サッカーとは、どんなスポーツか?』という考え方です。なぜかというと、サッカーというスポーツを、自分の中で明確に定義していないと、どんなトレーニングをすればいいか、選手のどこを見ればいいいかが定まらないからです」

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上田原氏は「そこが定まっていないと、練習メニューを考えるときに悩んだり、試合で良いプレーができない原因を、フィジカルやメンタルのせいにしてしまう」と指摘する。

そして、セミナー参加者に向けて「ここでは、サッカーとはどんなスポーツかを、考えるきっかけにしていただけたら嬉しいです」と話し、持論を展開する。

「僕は、サッカーはまず戦いであると考えています。戦いの目的は、ゴールを奪うこと。そのために、スペースと時間を取り合う戦いであると定義しています。将棋やチェスのように、いかにして全員が有効に繋がり、陣取り合戦をするのかというイメージです」

さらに「僕が『サッカーは1対1が重要なスポーツだ』と定義していたら、練習でも1対1をたくさんすると思います」と話し、「試合の分析をするときも、1対1の局面にフォーカスして見ると思います」と続ける。

このように、サッカーというスポーツをどう定義するかで、チームのスタイルも、取り組む練習も変わってくる。その出発点がないと視点が定まらず、どんな練習をしていいかがわからなくなってしまうのだ。

日本サッカーの課題の1つに戦術的な理解度があげられる

それを踏まえた上で、上田原コーチは「日本サッカーの課題は様々ですが、戦術的な理解度を上げることは、大きなポイントだと思っています」と述べる。

「田中碧選手や堂安律選手が、ヨーロッパの国と試合をした後に、日本サッカーの戦術面について言及していました。それはつまり、日本サッカー全体の課題と言い換えることができます。そこは、育成年代から取り組んでいった方が良いところなのではないかと思っています」

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技術的なことより、戦術的なことで困ってる選手の方が多い

さらには、18年を数える自身の指導を振り返り、「小学生からJリーガーまで、技術的なことで困っている選手より、戦術的なことで困ってる選手の方が多いと感じています」と述べる。

上田原コーチの言う「戦術」とは、システム論やチームとしての戦い方に関することではない。もっとベーシックな、サッカーにおいて普遍的なものだ。

「僕は『この状況で何をしよう?』と考えることが、戦術的な行為だと思っています。小学校低学年の子が、ボールを持ったときに、右に行くと人が多いから、左に行こうと考えるのも戦術的な行為です。ボールや人の流れなどの状況を認知・予測・判断・実行する。それがすでに戦術だという捉え方です」

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サッカーでは互いにゴールを目指す中で、様々な問題が生まれてくる。それらの問題を解決する行為。それこそが戦術なのだと、上田原コーチは定義する。

「戦術イコール、選手を型にはめること。ここにボールが来たら、この選手はこう動いて、こうやってボールを回していくものだと思っていると、小学生にはまだ必要ないといった議論になると思いますが、戦術とはそのようなものではないというのが、僕の考え方です」

上田原コーチはが掲げる育成のキーワード。それは「サッカーにおける普遍的なものを、長期的にトレーニングすること」である。

「10年後も20年後も、サッカーにおいて変わらずに大切なことを、長期的に時間をかけてトレーニングしていくのが、育成のキーワードであると考えています」

セミナー内では映像を用いて考え方やメニューを紹介している

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セミナーでは、そのために必要な「スペースの概念」「ポジショニング」を深掘り。スペースを認知し、プレーの判断要素に加えること。攻守における基本的なポジショニング、立ち位置と役割。数的優位、質的優位、位置的優位なども紹介している。

「判断の質や、決断し、実行に移すスピードも、10年後、20年後も変わらず、サッカーをする上で大切なことです」

セミナー動画では、これらのテーマを指導経験の少ない人でもわかるように、体系立てて説明している。

サッカーというスポーツを理解し、トレーニングを組み立てる上でベースとなる話を聞くことのできる機会は貴重なので、今回紹介したトピックの中で少しでも気になるものがある人は、ぜひ動画で全容を確認してほしい。

次回の記事では、具体的なトレーニングメニューを紹介した上で、ジュニア年代のサッカー指導の本質に迫っていく。

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【講師】上田原剛/
15歳の時にジーコサッカーキャンプに参加、ジーコにスカウトされアントラーズユースへ入団、その後大学を経て指導者の道へ。CFZ(ブラジル)で指導者をスタート。2005年〜2021年までの15年間は鹿島アントラーズのアカデミーにて指導。茨城県トレセンU12、ナショナルトレセン(関東)U12担当。2021年4月に蹴和サッカースクールを立ち上げ現在は小中学生の指導にあたる。スクールのほか指導者育成活動(練習会や講義)を行い、2021年6月からスタートした「お父さんコーチ向け練習会」には既に150名以上の指導者が参加している。